主題統覚検査(TAT)とは

主題統覚検査を使うと、その他の客観的な評価法によって生じる阻害を避け、対象者の人格を分析することができます。ここでは、主題統覚検査(TAT)の使用と解釈についてお話します。
主題統覚検査(TAT)とは
Elena Sanz

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Elena Sanz.

最後の更新: 21 12月, 2022

人格の分析は、心理学においても非常に複雑で興味深いものの一つです。人格分析のために 様々な学派を取り入れた評価法が心理学者や研究員によっていくつも作られています。ここでは、非常におもしろい利点のある主題統覚検査(TAT)をご紹介します。

この検査では、様々な分野における人の態度や人格を探求することができます。さらに、これは主観的で、投影法に基づいた方法です。言い換えると、対象者は心理学者が何をみているかが分かりません。そのため防衛的障害が大きくなりにくくすむのです。

 

投影法

主題統覚検査は、心理学でみられる数少ない投影法のひとつです。投影法の目的は、無意識な投影から人格を分析することです。そのために検査者は、不明瞭な絵を提示し、それに基づき絵を描く、物語を作る、連想するなどの創造的な作業を行わせます。

主題統覚検査では、一連の不明瞭な絵が使われます。そして対象者はそこに何が見えるかを答えます。ロールシャッハテストはこの種のテクニックの代表で、もっとも知られている検査であることも間違いないでしょう。

この種の検査の主な利点は、心理学者が何を評価しているかが対象者にはわからないところにあります。より明確な方法を使う時に生じやすい障害やしぶりを避けやすくなります。この検査は、本質的に真の人格や気づいていない衝突を自由に、制限なく表現しやすくするのです。

「意識的な理由がみえず、どうすることもできない時でさえ、人の無意識な心は正しく物事を見る」

-カール・ユング-

主題統覚検査

 

主題統覚検査(TAT)

主題統覚検査の道具は、様々な場面を表す31枚の白黒の絵からなります。全員に共通のものと対象者の性別や年齢に合わせて使われるものがあり、対象者に2回のセッションで20枚の絵が示されます。

それぞれの絵を見た後、対象者は過去、現在、未来の物語を作ります。この時、その絵の中の登場人物がどう感じているか、どう考えているかを強調する必要があります。

これを通し、対象者が用いた脈絡、言語、解釈の仕方を元に、形式的な分析が可能になります。これに加え、心理学者が物語の内容を分析し、そこから人格や心に潜んでいる衝突に関する情報を得ることができます。

 

解釈のカギ

それぞれの絵は、様々な関連的分野を探るようデザインされています。そこには基本的なカギとなるものがいくつかあります。それぞれの絵で「ヒーロー」となる人物を認識することが重要です。これは、対象者が認識する人物と関係します。物語の中のヒーローの行動や感情は、心の深い所にあるニーズに関するものなのです。

一方で、その他の登場人物の行動や感情は、対象者が自分の環境をどう感じているかを投影します。求めていること、恐怖、また、心の中の無意識な衝動や認めたくない拒絶がここに現われます。

次は、絵の中で評価されるものの一例です。

  • 目標、願望、困難、希望
  • 攻撃性、罰、罪悪感、抑えられている行動
  • 性的アイデンティティ、傾向、関係性
  • 母親像、父親像に対する態度や関係
  • 権威者、ライバル、受動性との関係
  • 自己像、孤独や放棄、将来の反映
主題統覚検査 TAT

 

主題統覚検査はどう役立つか?

簡単に言うと、この検査は、人格についてたくさんの情報を与えてくれます。物語を通し、セラピストは自己認識、自分の置かれた環境での人間関係、隠された衝突の存在などを明確にします

しかし、この検査の解釈は非常に主観的です。そのため、専門家はこの検査を補完検査として使います。主題統覚検査から得られたデータと他の方法を比べる必要があるということです。

「心理学は自分について考えることではなく、行動である。私達は人生を通して人格を作る。自分を知るには、自分を主張すべきだ」

-アルベール・カミュ-


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