集合的記憶と祖父母の話
共有されるべきストーリーは存在します。話は、世代から世代へと語り継がれるものです。このようにして、過去の出来事の記憶や解釈を共有します。「集合的記憶」とは、これらの話が伝わっていくことです。世代から世代へ語り継がれた記憶です。
しかし、これらの話とはどんなものでしょうか?話というのは、私たちが物語へと組み込んでいく過去の描写です。物語の筋には、はっきりとした初めと終わりがあり、連続していて因果関係に一貫性があります。さらに、物語には、最も重要だと思われる出来事が必ず含まれています。グループが一つの物語を過去の解釈として受け入れる時、それは彼らの集合的記憶の一部となります。
集合的記憶における先入観
集合的記憶は、過去の物事の客観的または中立的な解釈ではありません。これらの共有された物語は選択的です。別の言葉で言えば、覚えておきたいことを覚えているということです。そのため、先入観が入っています。
実際、集合的記憶には、正当化の要素が含まれています。特に、口頭伝承の場合は、各世代の偏見が元の話に加えられます。現代的な考え方に合わせていくのです。
祖父母が重要な歴史的出来事に関して話す時には、自分たちが最も覚えていることを話します。祖父母にとって大きな影響を残した部分です。また、話の中でどちらの側に立つかを選ぶこともあり、それは話の語り方に現れます。
集合的記憶のタイプ
口頭伝承の集合的記憶の話を出しましたが、他にも物語を伝える方法はあります。集合的記憶を作り出す記憶には次のようなものがあります。
- 大衆記憶:これらは、社会の一員が作り題した過去の描写です。このような大衆記憶は、意見調査などで見られます。
- 公的な記憶:公的または政府的な機関が、過去の特定の解釈を受け入れる場合です。例えば、国立博物館や教育機関によって認められた教科書などです。
- 自伝的記憶:歴史的な出来事を直接的に経験した人の記憶です。これは、祖父母から聞く話です。これは、過去の知識の主な資源です。
- 歴史的な記憶:科学界が過去を説明する方法です。
- 文化的な記憶:ジャーナリズム、記念、記念的建造物、映画、建物などを通して社会が過去を見る方法です。
集合的記憶:戦争と紛争
物語が戦争や紛争に関することである場合、常に選択的で偏見が反映されています。自己中心的な、簡易化したものの見方です。
一般的に、物語は少なくとも4つの主題に触れます。
- 相手の合法性の否定。
- 物語を語っているグループのポジティブな像の提示。
- ひとつのグループだけを唯一または最も重要な被害者として提示。
- 対立の始まりの正当化。
これらの物語は、対立の中2つの重要な役割を果たしています。1つ目は内面的なものです。グループがこれらの物語を承認する時、大衆記憶の一部になります。結果、物語の語られ方がグループの心理的な反応に影響し、必然的に行動も影響を受けます。そのため、ライバルに対してネガティブな見方をして、自分たちに対してポジティブな見方をする可能性が高まります。
集合的記憶の影響
集合的記憶の物語は、平和的な解決策や和解の妨げとなります。グループの一員に、ネガティブで信頼できないと思っているライバルと和解することを、思いとどまらせようとするからです。偏見を受けた物語は、交渉の邪魔になります。
「2つの耳と1つの口がある。話すより、2倍聞くことができるということだ。」
-エピクテトス-
多くの場合、集合的記憶は、自己中心的で偏見が含まれています。すべての見方を考慮すべきです。自分たちの集合記憶に反するものも含め、すべての物語に耳を傾けることで、過去の理解に役立ちます。