スポーツのパフォーマンスを向上させる心理的要素とは?
高いパフォーマンスを発揮するアスリートの90%は、自らの成功はメンタルトレーニングによって成し遂げられていると語っています。プロフェッショナルなスポーツ選手にとって、それぞれの選手のポテンシャルやトレーニング、身体能力に大きな違いはありません。そのため成功の決定的要因は、心理学領域にあるのです。
ここ数年で、スポーツにおける心理学的側面に関心が集まっています。このような関心が高まることで、心理学者やスポーツの専門家に対して、「どのような心理学的要因がスポーツのパフォーマンスを左右するのか」という質問が向けられるようになりました。
精神的要因がスポーツのパフォーマンスに影響を与えていることは明確です。これは、優れたアスリートのみならず、スポーツに取り組んでいる誰にでも当てはまることです。この記事では、これらの考えを確かめる証拠をご紹介します。プロでもアマチュアでも、身体的スポーツに参加している人は特定の心理的ツールを鍛えることで、その恩恵を得ることができます。そのツールによって能力やスポーツのパフォーマンスが向上するのです。
「人生という戦いにおいて、必ずしも強い女性や男性が勝つわけではない。しかし、遅かれ早かれ、勝てると思った人が勝利するのだ」
どのような心理的要素がスポーツのパフォーマンスを向上させるのか?
定期的な運動が人の健康に直接的な影響を与えることは誰もが知っています。さらに、様々な研究で運動が精神的健康にも良い影響を与え、集中力やチームワーク、自尊心を高めることが繰り返し立証されてきました。
自身やモチベーション、感情コントロール、集中力などが、パフォーマンスに主に影響を及ぼすスポーツや運動の心理学的要素です。
- モチベーション:どんな分野でも、自分のパフォーマンスを最大限発揮しようと思った時、モチベーションは重要です。スポーツではなおのことです。浮き沈みや勝ち負けを継続的に経験するアスリートのことを想像してみてください。彼らにとって、本質的なモチベーションや自分の競技への愛が、間違ったパスや酷い投球、予想以下のスコアなどから立ち直ることを手助けしてくれるのです。
- 集中力:さらにアスリートには、深く集中する能力が求められます。すべての動きや最も単純な動きや直感的な動きですら、集中力が必要です。誤った動作は負けや怪我に繋がり、それが数ヶ月の努力を無駄にしかねません。平凡なトレーニングをしている時でさえ、アスリートが気を散らさないのはこのためです。
- 感情のコントロール:メンタルトレーニングで感情や疑念をコントロールすることが、勝敗を分けます。通常アスリートの集中力が感情に左右されてしまっている時、その感情コントロールの乏しさがアスリートのパフォーマンスにも影響を与えてしまいます。
- 自信:最後に、自分にはタスクを完璧にこなせる能力があると信じることは、勝利において必要不可欠な条件です。
恐怖や褒美がモチベーションになるだろう。しかし、それら2つの方法は一時的なものでしかない。そして、そこに最後に残るのは自信なのである。
-ホーマー・ライス-
スポーツのパフォーマンスを向上させるメンタルテクニック
プロのアスリートになるためには、高い感情的介入が求められます。まず、アスリートは自分自身の強みと弱みを判断し、分析しなくてはいけません。そして次に、パーソナライズされたテクニックを使ってパフォーマンスと自信を向上させます。パーソナライズすることが出来ないと、望むような結果を得ることも出来ません。
パフォーマンスを向上させるためにアスリートが主に使っているテクニックは以下の通りです:
- 注意力のコントロール::内的注意力及び外的注意力をコントロールします。自分自身の中で起きていることに焦点を当てるのが内的注意力です(考え、内的対話、気持ち、動き)。また、自分の体の外で起きていることに焦点を当てるのが外的注意力です。
- ゴールを決める:ゴールを決めることで、自分のしなくてはいけないことの全体像を掴むことが出来ます。さらに、最終的なゴールにたどり着くために成し遂げなくてはいけないことを思い浮かべられるようになります。
- 自習:マッサージや、モチベーションや集中力を高めるために自分に言い聞かす短い自己肯定がこれに当たります。ここでは、理性的でポジティブな、論理的、現実味のある肯定文を使うことが大切です。
- リラクゼーション:リラクゼーションテクニックは、身体や精神の緊張をほぐすのに役立つ手段や方法、アクティビティです。これにより、ストレスや不安感を取り除き、安らぎに置き換えることが出来ます。
- 心的表象:心的表象は、現実を再生産する象徴的な方法です。アスリートに限らずとも、視覚化することには大きな力があります。
最後に、スポーツ(特にハイレベルなスポーツ)には、多くの苦痛や困難がつきものだということを忘れないでください。そして、その苦痛とは運動によって引き起こされるものだけではありません。間接的に受けるすべてのことが苦痛になるのです。
このように、スポーツというのは立ち直ることを教えてくれる力強い先生です。アスリートが使う心理的テクニックは、スポーツ以外の競争が激しく厳しい状況において、私たちも用いることができるのです。
「私はトレーニングのすべてが嫌いだった。しかしそれでも私は「やめるな。今苦しんで、残りの人生をチャンピオンとして生きるんだ」と言ったのだ」
-モハメド・アリ、ボクシングのワールドチャンピオン-