睡眠サイクル:より良い眠りのために脳を理解しよう
レムサイクル、ノンレムサイクル、デルタ波、シータ波、K複合…睡眠サイクルは非常に興味深く、また生きる上で欠かせないものです。「睡眠は容易ではない:そのため、日中は起きている必要がある」これはフリードリヒ・ニーチェの言葉です。そして眠りについた時、脳はすでにあなたの中にあるもの、つまり夢を見せます。
お気づきかもしれませんが、ここ数十年の間に社会は眠れないものへと変わってきました。人口の約40%が睡眠障害に悩み、90%の人が少なくとも年に1度は回復性睡眠をとれていない状態にあります。生活のストレス、テクノロジーの極端な使用などの特定の習慣は、睡眠衛生に影響を及ぼします。
眠っている間に脳内で何が起きているかを理解するのは、非常に興味深いものです。睡眠中、脳の唯一の目的は深い眠りになります。夜の間、体は健康に必要不可欠なタスクを行います。身体的・精神的健康を保つため、記憶を固め、毒を除去し、不必要なデータや情報を消すためには良質な睡眠が必要とされます。
では、睡眠サイクルの世界をもう少し深く学んでみましょう。
良質な睡眠のための睡眠サイクル5つのステージ
各サイクル約90分で、全部で毎晩5~6時間かかります。ご存知のようにレム睡眠に到達せずに目が覚めると、起きた時に疲れや困惑を感じ、無気力になります。
睡眠中5つのステージすべてを終えるのが理想的です。最低でも、このサイクルが4回繰り返されるのに十分な睡眠を体は必要としています。脳が必要なプロセスを行い再始動させるには、5時間未満の睡眠では足りません。
睡眠サイクルをひとつずつ見ていきましょう。
ステージ1:浅い睡眠
最初のステージはリラックスし、心地よい状態です。15分~20分程続きます。ステージ1は覚醒と睡眠の間のステージです。この浅い睡眠ステージにある人の脳波(EEG)を撮ると、シータ波(3,5~7,5 Hz)が見られます。
ステージ2:浅い睡眠、心拍の低下
このステージでは呼吸がゆっくりになり、心拍が低下し、脳波も遅くなります。ステージ1との違いは、ステージ2では、K波あるいは睡眠紡錘波(周波数の突然の増加)が高まることです。周波数は12~14Hzと非常に遅くなります。睡眠紡錘波は、覚醒を避けるために存在します。
また、皆さんがご存知の経験もこのステージで起こります。それはどこかから落ちる夢のことです。この感覚は、心拍の低下が原因であると考えられています。
脳には、すべてがうまくいっている統制された状態にあるよう管理する働きがあります。この働きにより、脳は突然の刺激を送り、これを自分が本当に落ちたかのように頭が解釈するのです。
ステージ3:転換
睡眠サイクルの中間地点と言えるでしょう。非常に短く約5分程です。この間にゆっくりのシータ波が短くなり、より激しいデルタ波へと変わります。夢遊病が現れるのは睡眠サイクルのこのステージです。
ステージ4:深い眠り
最も深い眠りのステージで20~30分程続きます。脳がこのステージにある時、起きることは非常に難しくなります。完全にデルタ波になり、あらゆる意味で回復効果があります。
また、このステージで起こされると、不機嫌で、混乱し、ぼんやりした状態になります。不眠症の人はこれがよく起こります。一般的に、不眠症の人はステージ4に達しません。
レムサイクル:夢と悪夢のステージ
もっとも重要で興味深い睡眠サイクルです。夢や悪夢がレムサイクルで起こることは、多くの人がご存知でしょう。このステージではシータ波が再び登場します。その結果、EEGで見ると、起きている時と同じような脳活動が見られます。この睡眠ステージでは脳が非常に活発な状態にあるためです。
レムサイクルは矛盾的睡眠とも呼ばれ、睡眠サイクルの約25%を占めます。残りはノンレムサイクル、徐波睡眠と呼ばれるこれまでのステージです。(通常の状態の)睡眠構造は、全部で約90分のプロセスです。
「通常の状態」と強調するのは、睡眠障害の治療薬を服用している場合、サイクルが少し変わるためです。化学物質はステージの流れや脳波に影響します。
もちろん薬を使用せずに良質の睡眠を得られるのが理想です。まずはストレス管理を行い、スケジュールを立て、食に気を付けるなど自然ストラテジーを試してみましょう。また、ブルースクリーンとの接触も制限することが大切です。室温など些細なことも睡眠に影響します。
良い眠りは良い生活を意味します。睡眠サイクルを理解し、深く回復性のある睡眠をとり、毎日の気分を高めましょう。