夢遊病の脳科学

27 1月, 2020
夢遊病に興味がある人は多いでしょう。これに関する話は多く、裁判でもこれを理由に成功したケースがあります。脳科学では夢遊病はどのように考えられているのでしょうか?

夢遊病は、よく知られた睡眠障害です。夢遊病の人は無意識に歩き回ります。特に目的もなく歩いたり、料理や運転などより複雑な行動をする人もいます。

夢遊病には、次の2つの決定的要素があります。

  • 複雑な行動
  • 意識の状態の変化

夢遊病の症状が出ている間、本人は無意識の行動を示し、外的刺激に反応することはできませんが、自律神経活動が高まります(発汗、心臓の高まりなど)。症状が出ている間に目覚めると混乱しますが、一般的には自分で寝室に戻って何もなかったかのように眠り続けるのです。

夢遊病 脳科学

 

睡眠の段階

この障害を理解するには、睡眠の仕組みを理解する必要があります。筋緊張、脳の活動、眼球運動により、睡眠は2つのタイプに分けられます。

  • ノンレム睡眠(非急速眼球運動睡眠):ノンレム睡眠は、N1(寝始め)、N2(浅い眠り)、N3 (深い眠り)に分かれます。
  • レム睡眠(急速眼球運動睡眠)

眠っている間に段階が変化し、これらの段階は良い休息には欠かせないものです。

 

ノンレム睡眠の睡眠時随伴症状

夢遊病はN3の間に起きます夜恐症や錯乱した覚醒と共にノンレム睡眠の睡眠時随伴症状に分類されます。この睡眠時随伴症状は一度の覚醒で複数の症状が伴う状態だとする理論があります。

夢遊病の症状の前に、徐波睡眠が多く見られます。徐波あるいはデルタは、一定のリズムで同期されたゆっくりとした活動を脳の中心や前部に示します。これは、電圧が高い段階の無活動波で、数ミリ秒間続きます。

夢遊病 脳科学

 

夢遊病の脳科学

夢遊病の症状は広く知られており、50年以上研究が続けられているにも関わらず、未だに謎に包まれています。原因も分かっていないのです。そうはいっても、可能性のある仮説はいくつか立てられています

一つには、徐波睡眠障害であるという理論があります。夢遊病の人の脳は夢遊病でない人に比べ、レム睡眠の継続性がみられず、頻度と長さが急速に変わります。症状が出た時、徐波睡眠の間に錯乱した覚醒があり、そのほかのステージで脳の活動がより多くみられます。

一方で、夢遊病は覚醒障害または脳活動の障害だと考える人もいます。完全な脳活動とノンレム睡眠の間に夢遊病の症状が出ます。これは、完全に覚醒した状態でも完全に眠った状態でもないことを意味します。行われるべきでない時に前頭前野の活動が小さく行われていると考えられます。しかし、この活動がなぜ起こるのかはまだ分かっていません。

夢遊病 脳科学

 

まとめ

夢遊病には、睡眠遮断、分裂、発熱、薬物使用、ストレスなど複数の要素が関係し、驚くべきことに、妊娠も関係します。また、強迫性障害、統合失調症、不安、うつ病、脳疾患、認知障害、片頭痛などの病気も夢遊病を引き起こすことがあります。

このような症状との関係から、医師は神経伝達物質が関係していると考えます。夢遊病に効く治療法はありませんが、ベンゾジアゼピン、抗てんかん薬、抗うつ剤、メラトニン、ストレス緩和薬などが処方されています。

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