高い知性とうつ病:奇妙な関係性

人よりも聡明な人は、より思索的な傾向があり、また、通常は自分とは関係のない現実から疎外されていると感じています。こうしたことがすべて、何らかの感情障害に苦しむリスクを高めています。
高い知性とうつ病:奇妙な関係性
Sergio De Dios González

によってレビューと承認されています。 心理学者 Sergio De Dios González.

によって書かれた Valeria Sabater

最後の更新: 30 9月, 2024

知性の高い人がいつも最善の選択をするわけではありません。また高いIQは幸せを保証するようなものでもないのです。そして、知性の高い人の多くが自身の心配や怒り、そして絶望に悩まされているのです。

芸術的、数学的、そして科学的天才たちは「気難しい」生き物として見られる傾向があります。どこか変わっていて、その奇妙さに本人が結びついているような雰囲気もあります。ヘミングウェイやエミリー・ディキンソン、ヴァージニア・ウルフ、エドガー・アラン・ポー、そしてモーツァルトを思い浮かべてみてください。華麗で創造的、そして卓越した心を持っていますが、同様に悲劇的な不安を抱えています。

「誰かの知性はその人が耐えることの出来る不確実性の量によって測ることが出来る。」

-イマヌエル・カント-

しかし、それは真実なのでしょうか?高いIQとうつ病には直接的な関係があるのでしょうか?まず、高い知性が必ずしも精神的な病気の発達に影響を与えることはありません。

しかし、そこには過度の心配や自己批判、歪んでいる否定的な世界観など特定の素因があると言えるでしょう。多くのケースで、このような要素がうつ病の原因となるのです。

つまり、そこにはもちろん例外もあるわけです。私達の社会には、己の人生だけではなく社会に投資して、潜在能力を最大限生かすことの出来る素晴らしい人達が存在します。そして、多く研究や書籍ではIQが170を超える人はうつ病と独特な関係を持っていると言われているのです。

前を見つめる髭の男性

知的な人の個性

「The Creative Brain」という本は最も賢く創造的な人の脳がどのような働きをするのかを理解するにはとても役に立つ本で、神経学者のナンシー・アンドレアセンによって執筆されました。彼女は、世の中にいる天才たちが双極性障害やうつ病、不安症、そしてパニック障害などの特定の病気を発症する特定の傾向について実証しました。

さらに、あのアリストテレスでさえ知性は憂鬱と深く関係していると示しました。実際に、アイザック・ニュートンやアーサー・ショーペンハウアー、チャールズ・ダーウィンなどの天才は神経の病気や精神病に苦しめられていました。また、ヴァージニア・ウルフやヘミングウェイ、そしてゴッホも皆自殺を試みた人達なのです。

ゴッホ

彼らは皆、有名な人達です。しかし、寡黙で理解されず、自分だけの世界に住んでいる孤独な天才もいます。彼らは一般的な世界とは繋がっていません。その世界は彼らにとって混沌で、意味がないように思え、絶望的に見えてしまうのです。

高い知性を持った人についての研究

ジークムント・フロイトは娘のアナと共にIQが130を超えている子どもの発達について研究をしました。そして、その研究の中で約60%の子どもたちが大うつ病性障害を発症することが分かったのです。また、20世紀初頭の教育心理学のパイオニアであるルイス・ターマンの有名な研究も興味深いものです。

高い知能を持った子どもの長期的な研究は60年代から始まりました。170を超えるIQを持った子どもが、心理学の歴史の中でも最も有名な実験の一つに参加しました。実験では、子どもは「シロアリ」と表現され、その結論が出たのは90年代になってからでした。

インテリジェンス:重い負担

ルイス・ターマンの研究に参加した「シロアリ」と呼ばれた子ども達は、時間がたって中高年になりました。そして、彼らはとても興味深いものを実証してくれました。その発見によると、高い知性と生活の満足感の低さは繋がっていたのです。「シロアリ」達の多くが有名になったり、社会で重要な地位を獲得する一方、その中の多くが自殺を試みたり、アルコールなどの依存症に陥ったのです。

また、彼らは世界の問題に対して過敏でした。ただ不公平や飢餓、そして戦争を心配するだけでなく、エゴや不合理、そして非論理的な行動に悩まされていたのです。

高い知性を持つ人の感情的な死角

専門家によると、高い知性を持つ人は解離性同一性障害(多重人格)を患うこともあると言われています。彼らは自分達の世界を第三者のように外から見ているのです。その客観性はとても細かく、まるで自分はその一部ではないように感じてしまいます。

これは「ブラインドスポット」(死角)に影響します。ブラインドスポットは、感情的な知性と関連のある概念であり、ダニエル・ゴールマンが同じタイトルの本を出版し議論しました。ブラインドスポットは自己欺瞞や知覚に関係する深刻な問題で、集中したいものを選ぶ時や責任を逃れる為に無視することでもあります。

ようこそ現実へ

そして、高い知性を持った人がよく行うことは、何が彼らの環境に欠けているかということに集中してしまうことです。それは、繋がりのない物事や世界のエゴ、そして彼らが馴染むことが出来ない世界で、この複雑な世界に対して、彼らは平和を見つける感情的なスキルを持ち合わせていないのです。

また、彼らは感情という重要な分野が欠けていることもよくあります。もしかすると、IQを測定するには別の要素を加える方が良い、ということなのかもしれません。

これは、日々の生活で幸せになる為に必要な知恵の要素の話です。この知恵はあなたの自己イメージ、自尊心、そして幸福な生活の為に必要不可欠な部分なのです。


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