トラウマの記憶を克服する5つのステップ
トラウマを乗り越えるのはほとんどの場合とても困難です。しかし、残りの人生をトラウマに苦しめられることになる前に、それを克服しなければなりません。そのトラウマのためにあなたの性格や、あなた自身が変わってしまうということがあってはいけません。
トラウマとは、人生の中で起こった何らかの負の出来事によってできた、心理的な傷のことです。それはあなたに劇的な影響をもたらし、大きな心の痛みを引き起こします。
過去を変えることはできません。あなたに大きな痛みをもたらした経験(愛する人の死、複雑な恋愛、子どもの頃の虐待など)はあなた自身の一部なのです。自分では意識していなくても、それが価値ある人生の教訓になっていることもあります。それは将来の似たような状況に対し、あなたが準備できるようにしてくれるのです。
回復力:トラウマの成長の仕方
不思議なことですが、トラウマになる経験をした後、以前よりも強くなる人がいます。トラウマを弱さからポジティブなものへと変えることが可能なのです。トラウマを人生の一部にし、それに適応することができるようになればいいのです。
しかし、トラウマから何かポジティブなものを引き出すということは、自分の能力だけでできることではありません。その状況からより一層強く、賢くなって帰ってこれるかは、その周りの様々な人々や物事にもよります。
トラウマからの回復についての素晴らしい一例が、2004年の12月にアルバレス・ベロン一家に起こった出来事です。その日、マリアとエンリケが3人の息子と共に、クリスマス休暇をタイで過ごしていました。
そこで津波に襲われ、彼らの人生は永遠に変わってしまいました。その何千、何万という命を太平洋沿岸から奪った悲劇が起こってから何年も経った今、その家族は全く普通の暮らしをしています。その大事件で起こった変化と共存しているようなのです。
防御装置として記憶をブロックすること
私たちは記憶を選択して覚えているものですが、トラウマに関する記憶に対しては特に選択的です。言い換えれば、こういった状況では私たちの記憶は防御装置として働き、過去を無視して前に進もうとするのです。
この防御装置の主な目標はあなたが経験してきたトラウマからあなたを守ることです。あなたがネガティブな思い出から逃れようと苦しまなくて済むように、それを全てブロックするのです。この「麻酔」が辛い痛みのために内省することのできないものから、あなたを守るために働きます。
トラウマに関する記憶を避けることはとてもよくあることです。起こったことを思い出させるような状況、活動、もの、人のことはなんでも避けようとすることもそうです。この防御装置はそうすることであなたがトラウマのことを思い出さなくてすむようにしているのです。しかしだからといってすべてのネガティブな影響が一気になくなるというわけではありません。その痛み、悲しみ、恐れや怒りは心の中に居座り続けます。
トラウマの記憶を克服するには
周りの人を信じましょう
あなたの話を聞いてくれ、あなたを支えてくれる人に囲まれるようにしましょう。何が起こったかを話すのです。あなたのことを苦しめ、人生を楽しむのを難しくさせている記憶についての自分の感情を外に出しましょう。あなたが信用のおける人は、常にあなたのことを支え、共感してくれるでしょう。
トラウマが、実は実際に起こったことではなく、自分の認識から来ているということもあります。例えば、子どもの頃に自分は愛されていない、拒絶されていると感じていたかもしれませんが、実際はそうではなかったかもしれないのです。
しかしここで大切なのはあなたがそれがまるで真実であるかのように感じたということです。それが実際に起こったことではないとしても、あなたはその結果としての心のトラウマに対処しなければならないからです。
時間をかけて、傷を癒しましょう
どんなトラウマの経験の後にも、癒しのプロセスを経験することになります。それはあなたが精神的に完全に開放されるまで続きます。本当につらい経験をした後、心にも身体にも影響がないということはありえません。トラウマは行動の変化、身体的な変化をもたらすからです。その瞬間から人生の見方も変わってしまいます。
そのプロセスがどれくらい長く続くかは、人それぞれです。感情のこととなると、しっかりしたタイムラインや限界を設定することは難しいのです。気を付けておくべきタイミングは、ひどい痛みを感じることなく過去をまっすぐ見つめ、思い返すことができるようになった時です。
専門家の助けを借りましょう
トラウマに明確な原因がない場合もあります。そこであなたがやらなければならないのは、トラウマがどこから来ているのかを特定することです。それをして初めてトラウマを克服しようとすることができるのです。この場合専門家の元を訪れるのもいいでしょう。セラピーを通して、感情のカオスの根っこがどこにあるのかを見つけることができるかもしれません。
自分のための時間を作りましょう
将来何をするかについて考えることで、自分の人生に目を向けなおそうとしてみましょう。同じような経験について話をするサポートグループを探してみましょう。そうすれば、自分の抱いている疑念、恐れ、感情を、あなたの立場がわかってくれる人たちのいる、心の距離が近い環境で表現することができます。
社会生活に戻って、友達と出かけましょう。大切なことは活動的でいることです。何かのレッスンに参加したり、何かの集まりに行ったりするもの、自尊心を高めるのに役立ついい気晴らしになります。また、運動をするのもいいでしょう。トラウマの記憶と闘っているときは特に、筋力と柔軟性、バランスが良い健康の3つの柱になります。
人生に目的を持ちましょう
人生に目的を探すことで、自分には価値があるという気持ちを高め、何かするための理由を見つけることができます。それはネガティブさの中で行き詰まることのないようにしてくれます。さらに、あなたの回復力を高めるだけでなく、トラウマの記憶があなたの毎日を支配しないようにもしてくれます。
ヴィクトール・フランクルは言いました。人生の目的を探すことは、あなたの存在の本質そのものなのだと。また、私たちの幸せは、自分の住む世界をもっと見たいと思うことにかかっていると言っています。