馬に対する恐怖心、ヒッポフォビアについて

馬は私たちが日常的に触れ合う機会のある動物ではありませんが、中には彼らに対して極端な恐怖心を抱いている人々がいます。馬に対する恐怖症(馬恐怖症)はエキノフォビア、またはヒッポフォビアと呼ばれており、認知行動療法によって治療することが可能です。
馬に対する恐怖心、ヒッポフォビアについて
María Vélez

によって書かれ、確認されています。 心理学者 María Vélez.

最後の更新: 21 12月, 2022

進化論的意味で言えば恐怖心とは自然な反応であり、私たちのことを何らかの危険性から守る役目を果たしてきました。同じ理由から、特定の動物に対して敬意を(時には過剰な敬意を)抱いている人が多くいます。そしてこの敬意は、場合によっては恐怖心へと変わる可能性があるのです。今回の記事では、動物の中でも特に馬に対して抱く恐怖心を分析していきましょう。

馬への恐怖というとあまり一般的でないように思えますが、世の中にはこの動物に対して強烈な恐れを抱いている人が存在しており、それが不安発作に繋がるほど深刻なケースもあるのです。その対象が馬の場合、馬恐怖症ということになります。

美しくて気高く、強さの象徴として多くの人から賛美されている馬という生き物ですが、日常生活の中に身近な存在として馬がいる、という人はあまりいないでしょう。この親しみのなさや知識の貧弱さが、一部の人々に強烈な恐怖心を植えつけてしまうのです。しかしながら、フォビア(恐怖症)とは不合理な恐怖心であり、本当の脅威とは関係がありません。

馬 恐怖心 ヒッポフォビア

ヒッポフォビアが引き起こす症状

あらゆるフォビアと同様に、馬への恐怖心も不安感を生み出します。最もよく見られる症状が、発汗、ふるえ、頭痛、吐き気、めまい、頻脈、過呼吸、嘔吐などです。

ヒッポフォビア(馬恐怖症)の判定を受けるには、行き過ぎた恐怖心に加えて上記の症状を少なくとも6ヶ月以上経験していなくてはなりません。

これらの症状は大抵馬の姿を目にした時、あるいは馬が近くにいる時に起こるのですが、ただ馬について考えただけで起こる場合もあります。

つまり、馬に対して強い恐怖心を抱いている人々は、単に馬の画像を見ただけで大きなダメージを受けてしまいかねないということです。また、知り合いから馬に関わりのある話を聞いただけでも発作が起こる場合があります。人によって、そして刺激の種類によってこの恐怖心が現れるかどうかは変わってきます。

日常生活で馬と遭遇する機会はほとんどないため、このフォビアに過度に苦しめられている人々であっても生命を脅かされることはほぼありません。しかし、このフォビアを持つ人は馬を目撃することになるかもしれない状況を全て回避しようとします。

この恐怖心は別の経験にまで拡大する可能性があり、例えばメリーゴーランドに馬の置き物が置かれているのを見たことがあるという理由だけで、その後一切遊園地やお祭りに行かなくなるかもしれません。

原因

概して、フォビアというのは恐怖の対象に関連するトラウマ的経験から生まれます。具体的に言うと、馬恐怖症の場合は落馬した経験や馬に怪我をさせられた経験が元になっている可能性があるということです。ただし、必ずしもそのような個人的トラウマがきっかけとは限りません。誰かが馬に関わる危険な経験をした話を耳にしたことや、あるいはその様子を遠くから眺めていたことが恐怖心の根源となる場合もあるのです。

また、その他のフォビアと同様に、馬恐怖症も親から引き継がれる恐れがあります。つまり、母親あるいは父親から「馬は危険性の象徴だ」と教えられて育ったが故にヒッポフォビアになってしまう人々もいるということです。幼い頃から回避行動を開始し、馬という存在を危険という言葉とリンクさせて考えるようになります。

時には、過去に患った不安障害が原因でフォビアが引き起こされることもあります。不安障害というのは、全く無関係な刺激に対する恐怖心や「危険だ」という感覚を生み出してしまいかねないのです。また、特定の動物に対する生存のための恐怖心は系統学的な意味で人類の祖先から遺伝しているのだ、という仮説も存在しています。実際はそのような恐怖を抱いていない人の方が多いのですけれどね。

馬に対する恐怖心、ヒッポフォビアについて

馬恐怖症の治療法

その他のフォビアと同様に、馬恐怖症に関しても認知再構成法と系統的脱感作法、そしてリラクゼーションテクニックという三つのテクニックを取り入れて治療を試みるのが一般的です。

一つ目の目標は、認知再構成法を用いて馬に対する考えをもっと適応性があって現実的な形で形成し直すことです。

系統的脱感作法で行われるのは、馬恐怖症のきっかけとなる刺激に患者を少しずつ触れさせるという作業です。セラピストはまず、恐怖を感じ得る馬に関連した出来事やシチュエーションを患者とともに全てリストアップし、引き起こされる不安の度合いに応じてそれらを並び替えていきます。

リストづくりが完了したら、セラピーの中にはリラクゼーションテクニックが組み込まれます。その後患者は、不安や感情の強度に応じてゆっくりと刺激に晒されていきます。

つまり、もしリストの一番最後の項目(トラウマ性が最も低い項目)が例えば「馬が何頭もいる馬小屋を思い浮かべること」だとしたら、セラピストはこの想像を患者にさせつつ、同時にリラクゼーションテクニックを実行して不安を和らげるということです。

患者がその想像による恐怖心を乗り越え、馬小屋を思い浮かべても影響を受けなくなったら、セラピストはリストの次の項目に進みます。

効果的なテクニック

このテクニックが非常に効果的なのは、患者自身が選んだ項目に基づいて行われる治療法だからです。そして治療が終了する頃には馬に近寄り、触り、そして乗馬することすら可能になるでしょう。

状況がどんなものであれ、馬やその他の動物への恐怖心を克服したいのであれば、専門の心理士に助けを求めることをお勧めします。治療により恐怖心を大幅に削減するあるいは完全に取り去ることができるだけでなく、その他のフォビアに対処する際のツールを手に入れることもできるのです。


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