うつからくる記憶喪失:どのようなもの?
うつからくる記憶喪失:何が起こっているのか?
人からのメッセージを理解することが難しく、さらにメッセージを送るとなるとさらに難しくなります。読んだり、聴いた事を理解するのに問題が生じます。人の名前がそこまで出かかっているのに、思い出せません。運転中、頭が真っ白になり、どこへ向かっているか分かりません。人が話している時、気がそれ、相手を怒らせてしまいます。人に言われたことを思い出せず、焦点が合わず、簡単やり取りが出来ずに誤解は増えるばかりです。
これからも分かるように、うつからくる記憶喪失は、単に忘れっぽいのとは違います。心の霧にはまってしまったように、何もかもが遠く、曇って見えないような状態です。何が起こっているのか、どこにいるのか、何をしたらいいのか分かりません。それが、不快、社会的理解の欠落、さらに:心を痛めることにつながるのです。
なぜこのようなことが起きるのでしょう? この苦痛はどこからやってくるのでしょう?
「スピードアップ」 ニューロン
一般的に、ストレスはうつに近づくひとつの要因です。脅威、恐怖、圧力、警戒、不安…を感じることです。これらにより体内では、(よく知られている)コルチゾールなどの糖質コルチコイドの分泌量が増えます。
コルチゾールに支配されている脳は違った働きをします。ニューロンがスピードアップし、塞ぎこんだり、心配、強迫観念など精神的なプロセスへ影響します。脳内の動きが多くなることで、異常な何かが起こるのです。過剰な活動、疲労、神経細胞の死を減らそうと、細胞は「切断」を始めます。
脳は素早く情報を送ることができなくなるのです。物事を忘れたり、記憶力が悪くなったり、ペースが遅くなり「休止」モードへ入ります。
海馬の縮小
うつからくる記憶喪失の根源は、脳のある構造:海馬です。中でも、脳のこの部分は記憶の蓄積をつかさどります。おかしいようですが、コルチゾールの影響が一番大きな場所です。糖質コルチコイドの毒素の標的となる部分です。慢性的なうつ症状を繰り返しているのであれば、海馬は縮む一方です。
しかし、海馬は優れた柔軟性を持ち合わせています。セラピーや記憶トレーニング、認知ストラテジーを通じて、元に戻すことができます。そうすれば、注意力、記憶なども元に戻ります。
ドーパミンの経路
うつの悲しい実態のひとつはアンヘドニアで、これは喜びを感じられなくなることを指します。この心の問題のために、どんなことも楽しめなくなります。何か新しいことを始める時、外出する時、働く時、人と会う時に、興味、喜び、モチベーションやエネルギーを感じられなくなるのです…
このような(脳がポジティブだとする)ことを感じる脳の部分に、ドーパミンの経路があるのです。落ち込んだ脳では、ドーパミンがうまく働きません。すべてを変えてしまいます。やる気がなくなり、さらに大変なことに、神経伝達物質が不足し、それが原因となり、セロトニン、グルタミン、オピオイド、エンドカンナビノイドの作用に変化を及ぼすのです。
これらすべての神経化学物質が正常に働くなった場合、興味、学ぶ力、集中力、新たな情報の保存、記憶、決断力などを失うことになります。
どうしたらいいのか?
うつからくる記憶喪失はあります。それぞれ、違った体験をします。例えば、軽度のうつであれば、認知療法やトレーニング、支援団体などを通して、認知の欠如から回復することができます。
重度の場合、多分野にわたる治療が必要です。そこで、薬物療法と心理療法、記憶に関するセラピー、時には、マグネシウムやビタミンB群を含むサプリを組み合わせます。忘れてはならないのが、周囲の協力の重要性です。うつを抱える人への理解、共感、感受性が、回復への大きなカギになります。