幼少期の愛着パターンが恋愛関係に影響する?

愛着パターンに関する最近の研究では、人が最初に築く人間関係(通常は親子関係)の性質や構造が大人になってからの人間関係やコミュニケーション方法に著しい影響を及ぼすことが分かっています。
幼少期の愛着パターンが恋愛関係に影響する?
Laura Rodríguez

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Laura Rodríguez.

最後の更新: 21 12月, 2022

幼少期の愛着パターンは、成人期に健全でバランスのとれた恋愛関係を築くために非常に重要な役割を果たすものです。カップル専門のカウンセラーの間では、この幼少期の愛着パターンが成人になってからの愛着パターンに大きな影響を及ぼしていると考える人が今まで以上に増えてきています。

ジョン・ボウルビィの愛着理論では、一生を通じて自分をとりまく人達と築く感情的なつながりのことを愛着と定義しています。まず、愛着は幼少期に親に対して抱きます。後に、兄弟や親戚、友人、パートナーといった他の人達にも抱くようになっていきます。自分の世話をしてくれる人に対して抱く情緒的なつながりは、安心感や守られているという感覚に直接響きます。

親からもらっていると感じる安心感や自信の度合いで、幼少期の愛着パターンが決まります。 と同時に、その幼少期の愛着パターンが大人になってから築く恋愛の仕方に影響を及ぼしたりします

では、愛着パターンの様々なタイプとそれらがどのように恋愛関係に影響するのかを見てみましょう。

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幼少期の安定した愛着パターン:信頼とポジティブさに包まれた関係

安心感と信頼は、幼少期において安定した愛着を築く土台となります。こうした感情を抱かせてくれるのは保護者です。

安定した愛着パターンでは、親が子供の情緒的ニーズを理解し、そうしたニーズに応えてくれます。この構図が子供に「自分は愛され、守られている」という感覚を抱かせます。信頼で満たされた関係なので、子供にとって自分の気持ちを自由に表現できる安全な環境となります。また、受け入れてもらえないかもしれないという恐怖を抱くことなく、自分らしくいることができます。

愛着の対象となる大人や相手がこの二つの要素(安心感と自信)をうまく促すことができれば、自分に自信が持てて、他人を信頼できる子供に育てることができます。また、自分の気持ちを適切にコントロールし、良い社交習慣を築ける能力を持った子供に育ちます。ダーウィン・サイコロジー・サービスの所長であり心理学者のラファエル・ゲレロはこう述べています。

「幼少期に安定した愛着を受けた人はより健全でバランスの取れた恋愛関係を築く傾向にある。」

安定した愛着パターンを形成した人は、依存問題を避け、自分のパートナーを信頼できるようになる確率が高いのです。また、上手にコミュニケーションができ、お互いのニーズを認識できることが多いようです。

回避型愛着パターン:不安定で距離のある関係

この愛着パターンを持った子供は、親から受け入れてもらえないことで苦しみ、自分のニーズを十分に満たしてもらえなかった経験があります。

保護者が傍にいてくれなかったため、親との間に情緒的な距離があり必要な時に誰もおらず、何かあっても頼りにできるような関係と言えるものではありません。助けや支えが必要だと感じた時に、親は側にいてくれる存在ではなかったのです。

  • こうした幼少期を経験した人は、他人と親しくなったり、情緒的なつながりを築くのを避けることを学習してしまっています。これは、幼少期に愛着の対象に頼ることはできないと学習してしまった結果です。
  • こうした人は自分という存在を否定されたり、関心を払ってもらえないのではと恐れるために、自分の気持ちを表現するのが苦手です。これは、幼い頃に保護者の下で同じ様な経験で苦しんだためです。
  • この愛着パターンを形成した人は自分を守るために見えないバリアを張り、幼少期に学んだ方法を基に自立はしていても他人には頼らない印象の自分を築いてしまいます。そうした方法は、受け入れてもらえないかもしれないという恐怖から学習したものです。

回避型愛着パターンにある恋愛関係では、二人のうち一人が相手を心から信頼できないでいるので、どこか距離がある関係になる傾向にあります。 自分とパートナーに対して不安と恐怖があるため、情緒的なつながりを避けているのです。更に、他人に助けを求めたり、また他人からの援助を受け入れたりすることがとても難しかったりもします。

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回避型愛着は不安定で依存的な関係

回避型愛着において、子供にとって親は不安定な存在です。一貫した理由や動機のないまま、時に子供を否定し受け入れません。

このような不安定さのせいで、回避型愛着を持つ子供は身の周りの世界を冒険しようと思わなくなります。助けを求めても自分の要求を受け入れてもらえるか分からないためです。

この愛着パターンを持った人は、情緒的に依存する傾向が非常に強く、人間関係においても恐怖と不安と共に生きることを学びます。またネガティブな自己像や低い自尊心を持つ傾向にあり、起こった出来事に対して自分にできることはあまりないという無力感を持つ傾向にあります。

そして、見捨てられるのではという不安を持っており、たくさんかまってほしいという、自分に対する注目を強く要求します。自分を愛してくれているという素振りを常に示してもらう必要があるのです。

まとめとして、ここにご紹介した愛着パターンが後の恋愛関係との関連性を説明するものと言えます。幼少期に最初に築いた愛着関係で愛着の対象になった人が、後に人生においてパートナーとなる人のタイプに影響するようです。また、身近な人と今後も築いていく人間関係のパターンや、そのつながりの性質に影響を及ぼすのです。


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