全力で人と向き合うということ
これまでの人生の中で、人間として大きな力を持った人が力の出し惜しみをしているのを見て、もどかしい思いをしたことがあるでしょう。こちらが一生懸命になるだけでは、相手を一生懸命にさせることはできないのかと、失望したこともあるかもしれません。
人間関係というのは、いつも一言で説明できるものではありませんが、肯定的なことは力になるものです。最後に決断を下すのは相手なので、すべてが私たちの願いどおりにうまく進まないこともあるかもしれませんが、そこに近づくことはできます。
忘れてはならない大切なことは、相手が私たちの望みをかなえられなくても、できる限りの態度で接してくれる、ということです。こういう時は、「我慢」を我が友として、人間関係も輝かせるには育てていかねばならないということを考えましょう。
あなたも他人と同じように価値がある
他人との人間関係においては、自分の願いをきっちり叶えてもらえると思わないことが賢明です。なぜならこの要求が逆効果にもなり得るからです。お互いに見返りを求めたり、自由がなかったりというのは健全な関係とはいえません。そうではなく、柔軟に忍耐強く、あなたができるだけのことを相手にしてあげれば、相手も同じようにあなたにしてくれるでしょう。
友達関係でも恋愛関係でも、あるいは家族関係だとしても、お互いが努力しているときこそ、大切にされていると感じませんか?実際、この持ちつ持たれつの関係を維持することが役立ち、あなたが努力するのと同じように、相手がそのような態度をとってくれることに気づくことができるでしょう。
「もしも愛が、制限なく与え受けるすべを知らなかったら、それは愛ではなく、どちらが多い少ないと主張しあう取引である」-エマ・ゴールドマン-
バランスのとれた対称関係が、意識しなくともお互いに最高の姿に成長する助けとなるでしょう。つまり、お互いに相手が大切だと気付き、よい関係を築けるということなのです。
精一杯尽くすのは信頼のあらわれ
スティーブン・コヴィーが「人の信頼を得たければ、信頼に値する人間にならなければならない」と言ったように、人に心を開いてもらうためには、まずはこちらから腕を広げなければならないのかもしれません。しかし心配することはありません。あなたの不安や長所を知れば、相手も心を許し自分を見せてくれるでしょうし、誰かに信頼できる人だと思われるということは、非常に価値あることなのですから。
全力を注ぐことができるということは、自分の能力が、不安や短所や内面の暗い部分に負けないという自信がある、ということです。自分を知り評価することが、周りの人があなたの長所一つ一つに気づくチャンスにつながるのですから、心配はいりません。
皆があなたが自分に自信を持っていると認め、だからこそあなたと一緒にいれば安心するでしょう。
見返りを求めずに与え、感謝して受け取る
「自分で蒔いた種は自分で刈り取る」ということわざをご存知ですね。そんな風に感じたことがありますか?全力をつくしても、短期間では結果が見えないかもしれません。でも長期的には、きっと幸せの元になるでしょう。
その理由の一つは、与えることの喜びです。二つ目は、より強くなっていく相手との絆。そして三つ目は、頼まなくとも相手から献身してくれるようになることでしょう。
おそらく、他の人とこんな感覚を経験したことがあるでしょうし、相手も私たちに同じように感じたことがあるでしょう。あなたから要求してばかりで、相手が自分のためにしてくれることを認めなければ、相手はできることもしたくなくなるでしょう。しかし普通は、あなたが精一杯してくれるのを見れば、相手も同じようにしてくれるものです。
「足りないものを受け取るに値する人になるために、自分の持っているものを与えよ」
-サン・アグスティン-
大切な人たちの内面を知ることは、自分の中にあるものに気づくのと同じくらい素敵なことです。強く健全な絆を維持しようと努力する二人の人間にとって、持ちつ持たれつ、が重要なのです。その関係は、詩人のネルーダが言うところの「人生から救ってくれる愛」というものに変化するでしょう。