アーロン・ベックの素晴らしい名言8選
この記事で紹介するアーロン・ベックの名言には、認知の歪みや矛盾のない思考についての彼の考えが詰まっています。また、そうした思考が魂や性格の様々な混乱に影響を及ぼすことについて考察しています。60年代、アメリカ人教授で精神科医であったベックは、現在の心理療法に最も関連性の高い貢献をしています。それは認知療法や認知行動療法(CBT)の形成に手を貸したことです。
ベックは、アメリカ精神医学会とアメリカ心理学会の両方に論文を発表した唯一の精神科医です。事実、後者はベックを史上最も影響力のある心理療法士トップ5の一人とみなしています。
アーロン・ベックの名言は、私達の認知モデルを的確に再構築することがどれだけメンタルヘルスに良いことか、そしてより良い感情バランスの維持に良いことかを説いています。こうした変化は、私達が進歩し、生き残り、問題を克服し、パートナーと共に学ぶために必要な特性を得られることを意味しているのです。
解釈とは事実そのものではなく、何で心を痛めるか
「認知療法は、間違った概念を正すことで心理的な緊張を軽減することが目的である。間違った信条を正すことにより、過剰反応を終わらせることができるのである。」
ベックの思考は、「人は自分に起きた物事に対して特定の解釈をするために苦しむ」という考えに基づいています。事実そのものが原因ではありません。私達の苦しみのほとんどは、私達に起きた出来事に対して与える意味や重要性によるものです。実際に私達の身に起きた出来事ではありません。
心理療法士は事実を変えてしまう患者自身の歪んだ信条を患者が認識できるように手助けしなければならない、というのがベックの信条です。心理療法士の目標は、主体者が事実を変えるのに使う認知モデルを理解し、その固定観念を取り除くことです。こうした認知再構築によって、主観的な次元での出来事の解釈や査定に変化が生まれるのです。
カップルに適用された理論とアーロン・ベック
私達の現実の解釈の仕方は、生活のあらゆる分野に影響を及ぼします。また、こうした思考は、個人的な次元でも関係自体においても、カップルに混乱を招き、被害を及ぼします。
「配偶者同士、結束するという決断の元に協力し、妥協し、前へ進まなければいけない。」
彼の著書、「 Love Is Never Enough: How Couples Can Overcome Misunderstandings, Resolve Conflicts, and Solve Relationship Problems Through Cognitive Therapy」からの引用です。この本には、認知的観点によるカップルの導き方についての手引きがなされており、カップルがこうしたモデルを認識し、転換させることができるようになっています。
「コミットメント、繊細さ、寛大さ、思いやり、忠誠心、責任感、信頼感といった特別な特性がある。これらは全て、幸せな関係を築くのに必須の特性である。」
これが目標とするところは、カップルが有害なパターンを認識し、それらに取って代わる方法を探すように努めることです。このことに気付いて初めて、カップルは繁栄し、成長することができるようになるのです。このことをうまく説明した名言がこちらです。
「夫婦にとって、愛はお互いを助け支え合い、お互いを幸せにし、家族を築くのに強力な誘因ではあるが、愛自体は二人の関係の本質ではない。なぜなら、愛は関係を持続させ、成長させるのに生命線となる人的特性や能力を提供するものではないからだ。」
鬱のモデル
アーロン・ベックは幼少時、避けられない恐怖に苦しみ、その後その苦しみと対峙しなければなりませんでした。こうして認知的に自分の問題にアプローチすることで、何年も後になって治療法を発達させるきっかけとなったのです。彼は特に鬱に焦点を当てました。
「歪みを伴った象徴的な意味をもたらすもの、不合理な理論づけ、間違った解釈といったものに思考がとらわれたら、私達は、実際のところ、盲目かつ耳の聞こえない者になっている。」
彼の場合、鬱症状はネガティブな認知スキーマとそれに続く歪みが発生することで始まりました。彼は鬱を深く研究し、明確に説明したため、鬱の深刻度を測るのに最も一般的に使われているツールの一つは彼の名前を冠して、ベック抑うつ尺度(BDI)と呼ばれています。これは精神医学界と心理学界における大変重要な貢献となり、鬱の心理分析的概念化に対して、最も強力な代替法の一つとなりました。
他の病気にも適用が広がる
また、ベックは自分の認知療法が不安や薬物中毒、様々な人格障害など鬱の他にも多くの病状に対して効果的かどうかも調査しました。彼のアプローチを理解するのに役立つ別の名言がこちらです。
「薬物中毒を見る限り、認知的アプローチは、感情的ストレスへとつながる問題にうまく対処するのに役立ち、また中毒者が不快感から解放されるため、あるいは快楽のために薬物に依存している自分の状態に対して広い視点を持つ手助けになっている。」
統合失調症に関しては、患者の機能不全は単に脆弱性であることを示唆しています。ベックは、専門家の仕事は患者の信条や妄想、幻想に取って代わる、より現実的なビジョンを発達させることだということを教えてくれています。
生まれ変わるための出発点
「表面には、目で見えるもの以上のものがある。」
ベックのモデルは、個人の素晴らしい変化を促す基礎として捉えられています。私達は自分の身に起こる出来事や背景を選ぶことはできません。ですが、出来事への解釈に意識的に介入することはできます。これを時に私達に害を及ぼすことに適用することができます。
ある事実について何を自分のものとして内在化するかを選んだり、ポジティブなこと、あるいはネガティブなことにのどちらにフォーカスするかを決めることができます。
これらは全て、私達の頭が物事をどのように処理するかにかかっているのです。そして、私達はどのように行動するかも選ぶことができます。つまり、どのように反応するかを選ぶことができるのです。アーロン・ベックのこうした一言には全て、希望がたくさん詰まっています。自分に起きている出来事を理解するのに、「希望のわく見方を見つけることはできない」と感じてしまうことはよくあります。自分の物事の解釈の仕方に気付くことで、苦しみの深さをコントロールできることに気付いていないのです。
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