アストロサイト:神経経路の建設者
アストロサイトは脳神経の一種で、グリア細胞群の主要構成要素です。以前はあまり重要視されてきませんでしたが、今ではその大切さがわかっています。
アストロサイトはグリア細胞群の一部を形成します。その重要性に関しては、長年疑問が抱かれてきました。アストロサイトの働きはニューロンの移動に関連するもののみだったため、専門家はその機能を過小評価してきたのです。しかし、これは単に受動的機能を遂行するのでもなければ、ニューロンの補完のみがアストロサイトの働きではないことが分かってきました。
実際、このタイプのグリア細胞は、神経経路の構成や、その他下記のような機能を司ります。
- 移動時、ニューロンを導くこと
- 血液脳関門レベルでの形成を引き起こすこと
- ニューロンの代謝サポート
- ニューロン生成における援助
お分かりいただけるように、アストロサイトに関しては学ぶべきことがたくさんあります。例えば、アストロサイトの神経活動への反応や修復の仕方、伝達は驚くべきものです。アストロサイトについてさらに詳しく見ていきましょう。
アストロサイトの種類
アストロサイトは脳の毛細血管を取り囲み、脳と神経の間に物理的障壁を作ります。これには、様々な変種を生成する多様な類型があります。
- 原形質型アストロサイト:灰白質にあります。球形で突起が付いており、それが不規則で湾曲した別の分岐へと伸びています。外側の突起は、血管、髄膜表面、シナプスを覆います。
- 線維型アストロサイト:白質に存在します。細長く繊維状で、突起はありません。先端は、軸索のランビエ絞輪や血管を取り囲みます。
興味深いことに、これらの細胞を形成するアストロサイトの先端は、星の形に似ています。また、これは隣接する細胞にまで伸びています。
さらに、アストロサイトは細胞骨格内にグリア細胞線維性酸性タンパク質と呼ばれるタンパクを持ちます。これはアストロサイトの特徴で、このタイプの細胞のみに存在します。
機能
アストロサイトは、脳の情報を移送するための経路を構築します。アストロサイトが神経のつながりを作るので、軸索を伸ばす手伝いを担っています。これは、ひきつけ合ったり反発し合ったりする分子を通して行われます。
優秀な建設者であるアストロサイトは、神経系で何が起きているかを認識しています。そして、ニューロンや脳の恒常性を保つタスクも担っています。また、この機能により神経細胞のイオンバランスを保つことによって、代謝支援も行います。
このようなタスクを遂行するのに加え、アストロサイトは神経一般のメンテナンスや成熟にも関わります。さらに、ニューロンへの酸素や栄養の供給、そしてニューロンの予備隔離も行います。
また、食作用と呼ばれるプロセスにより、これらの細胞は脳の代謝から残留物を取り除くことができます。これは不要物や病原体の排出になる有益なプロセスです。また、血液に残留物を移動させることにより、それを排出させることも可能です。さらに、発作が起こったときにアストロサイトが病変部位へ向かい、死んだニューロンを除去します。
また、非常に重要な血液脳関門の一部を形成し、フィルター機能として循環系とニューロンの間の中間体になります。このように、血液から脳への分子の経路の調整も司っています。
アストロサイトは神経伝達物質ともつながり、能動的に反応し、これと結合する受容体も持っています。これがこのタイプのグリア細胞の実際の伝達法で、これはシナプス接合部の間に空間を作ったり、ニューロン間のシグナル変調器として働くためのメッセージを伝達するなどの機能も持っています。
アストロサイトと反応性グリオーシス
急速に異常な数のアストロサイトを増やす病的過程があります。このプロセスは炎症を伴い、反応性グリオーシスと呼ばれます。
このタイプの増殖が見られる時のアストロサイトには二つのタイプがあることが発見されています。一つは修復機能を持つA2、もう一つは神経組織の劣化を引き起こすA1 です。
神経系に病変が起こると、反応性グリオーシスが発生します。そして、損傷が起こった部位において、これらの細胞の増殖が見られます。実際、この現象は多くの研究により示されています。
反応性グリオーシスは何に役立つ?
反応性グリオーシスは、神経の生存を司る神経栄養因子を合成するため、有益なものです。一方で、軸索の成長の障壁となるグリア性瘢痕を作るため、有害でもあるのです。
この現象は新たな治療法を生む希望になるため、臨床的研究において非常に重要です。例えば、神経再生を促す神経栄養因子を使った幹細胞移植の研究が行われています。実際、アルツハイマーやパーキンソン病など神経変性疾患の治療を生むための研究もあります。
まとめ
アストロサイトは、細胞と神経系の伝達ポイントを作ります。また、有害な物質の隔離や除去を司り、脳の損傷にも働きます。さらに、これらの伝達経路の再構築も行います。
アストロサイトは、様々な部位と解剖学的機能的要素の接続に備えます。例えば、循環系、ニューロン間と脳神経伝達物質の血液脳関門がこれに当てはまります。さらに、神経系に内的均衡を維持させる働きがあり、神経経路の維持に関しては非常に優秀です。
これらの研究結果を考えると、脳科学にこれらの細胞や潜在的適応の研究を続けてほしいですよね。そうすれば、これらのタイプのグリア細胞に関する新たな進歩へ道が開くでしょう。
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- Nedergaard, M., Ransom, B, & Goldman, S. (2003) New roles for astrocytes: Redefining the functional architecture of the brain. Trends in neurosciences, 26(10), 523-530.