神経伝達物質:その機能とタイプについて

18 8月, 2020
今回の記事では、神経伝達の原理をより深く理解できるよう、以下のような側面について探究していきます。

神経が電気刺激を介して互いに情報を伝達し合っていることについては、誰もが耳にしたことがあるでしょう。一部のシナプスが純粋に電気だけを用いるのは事実ですが、実は神経間の結びつきのほとんどが化学物質を媒介して行われています。これらの化学物質が、神経伝達物質と呼ばれるものです。これらの物質のおかげで、神経は学習や記憶、知覚といった複数の認知機能に携わることができます。

近年、シナプスという言葉は何十もの神経伝達物質の存在を前提として使われています。神経伝達という機能に関する研究が進んだことで、向精神薬の設計や効果の理解といった側面で大きな前進につながりました。神経伝達物質の中でも特によく知られているのが、セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリンとも)、アセチルコリン、グルタミン酸、GABA(γ-アミノ酪酸)などでしょう。

今回の記事では、神経伝達の原理をより深く理解できるよう、以下のような側面について探究していきます。まずは、シナプスに影響を及ぼす際の神経伝達物質の様々な作用の仕方について学んでいきましょう。そして次に、シグナル伝達カスケードという最も一般的な神経伝達物質の仕組みを見ていきます。

神経伝達物質

神経伝達物質が持つ効果の種類

神経伝達物質の主要な役割は、ニューロン間のシナプスを調整することです。これにより電気接続がより複雑になり、そこから生まれる可能性が広がります。もし神経伝達物質が存在せず、神経がシンプルなワイヤーのような働きをしていたら、今ある神経系の機能の多くは実現されていなかったでしょう。

神経伝達物質のニューロンへの働き方は、常に同じというわけではありません。科学的効果によるシナプスの変容には、以下の二つの種類があります。

  • イオンチャネルを介したもの:ニューロンの外部と内部との差異を利用して電気インパルスを生み出します。イオン(電荷を帯びた原子団)が移動することでその差異が変動し、活性化の閾値に達するとニューロンが刺激されます。一部の神経伝達物質にはニューロンの細胞膜に存在するイオンチャネルに付着する機能があり、これらが付着しているとこのチャネルが開き、さらに大規模にイオンが移動できるようになるのです。そしてこれがニューロンを活性化させます。
  • 代謝調節型受容体を介したもの:こちらは上記よりもさらに複雑な調整です。ここでも神経伝達物質は細胞膜にある受容体に付着します。しかし、この受容体は開いたり閉じたりするチャネルではなく、ニューロン内で別の物質を生成するという役割を持っているのです。神経伝達物質が付着すると、ニューロンは内部にプロテインを放出し、これがその構造や機能を変化させます。では、次のセクションでこのタイプの神経伝達をさらに詳しく見ていきましょう。
神経伝達物質 機能 タイプ

シグナル伝達カスケード

シグナル伝達カスケードとは、神経伝達物質がニューロンの機能を調整するプロセスのことです。このセクションでは、代謝調節型受容体を介して神経伝達を行う神経伝達物質の機能に焦点を当てていきましょう。これらの物質の主要な作用法が、こちらのタイプの伝達だからです。

このプロセスは四つの段階で成り立っています。

  • ファーストメッセンジャー、あるいは神経伝達物質:まず神経伝達物質が代謝調節型受容体に付着してその形状を変化させ、これによりGタンパク質と呼ばれる物質と接合できるようになります。受容体とGタンパク質が結びつくことで、細胞膜内に酸素が放出され、セカンドメッセンジャーの放出を促します。
  • セカンドメッセンジャー:セカンドメッセンジャーは、Gタンパク質と結びついた酸素を放出するタンパク質です。その役割は、キナーゼまたはホスファターゼを見つけるまでニューロン内を移動します。いずれかにセカンドメッセンジャーが付着すると、これらの物質は活性化します。
  • サードメッセンジャー(キナーゼまたはホスファターゼ):これは、セカンドメッセンジャーがキナーゼと接合するかホスファターゼと接合するかで結果が変わります。キナーゼと結びつくと、活性化が起きてリン酸化反応のプロセスがニューロンの核で起こり、そのニューロンのDNAがそれまで生成していなかったタンパク質を生成し始めます。しかし、セカンドメッセンジャーが結びついたのがホスファターゼだった場合、正反対の効果が得られます。リン酸化反応プロセスの活性が抑えられ、特定のタンパク質の生成が止まるのです。
  • フォースメッセンジャーまたはリンタンパク質:キナーゼが活性化すると、ニューロンのDNAにリンタンパク質が送られてリン酸化反応を引き起こします。リンタンパク質は転写因子を活性化させますが、この因子はタンパク質の生成だけでなく遺伝子の活性化のきっかけにもなります。ここで生成されたタンパク質が、その質に応じて複数の生物学的応答を引き出し、最終的に神経伝達が調整されるのです。一方でホスファターゼが活性化すると、リンタンパク質は破壊され、リン酸化反応プロセスが止まります。
神経伝達物質

神経伝達物質は私たちの神経系の中でも非常に重要な化学物質です。これらは、様々な脳核間の情報の調整や伝達を司っています。また、ニューロンに及ぼす効果は数秒間から数ヶ月間、あるいは数年間続く場合もあります。このような研究のおかげで、私たちは学習や記憶、注意力といった多数の複雑な認知プロセスの相互関係を理解することができるのです。