母性:魂の地震
母親になることはどういう意味なのか、私達はその多くを知っていると思います。しかし、多くの人にとって母性に伴う危機への現実的なアプローチはほとんどないでしょう。ローラ・グットマンは著書の「マタニティ:影と直面する」で、女性が母になったときに「影」と向き合うことを解説しています。
私達が「影」と呼ぶものとは?
ここでの「影」という言葉はカール・ユングによって使用されました。この概念はフロイドの有名な概念である「無意識」とは違う意味を指します。そして、この言葉は私達の知られていない精神的な面とスピリチュアルな世界に関係しているのです。
この世界には全て裏表があります。昼と夜、男性と女性、肯定と否定、光と影です。そして、私達の精神世界もまたこの光と影の部分があり、その暗闇に何があるのかは見えないからと言って、存在しないということではないのです。
私達の「影」は幼少期から発達します。小さい頃から性格やエゴを構築しますが、あるタイミングで痛々しい気持ちや出来事が起こり、それを感情的に消化することが出来ず、その代りに忘れてしまいます。私達は人生を続けていく為にその感情に「背を向ける」ので、この未解決で、無意識の領域は私達の「影」となります。
「私達は皆、自分自身の暗闇を見る必要がある。そして、そこには情熱というエネルギーがある。人はそれを恐れる。なぜなら、それは私達が否定し続けている自身の一部を握っているから。」
-スー・グラフトン-
母性が始まると女性には何が起こるのか?
年齢に関係なく、幼少期の自分自身は今も自分の中で生きています。その内なる小さな自分は私達を楽しませるために助けてくれます。しかし、それは私達の最も脆弱な部分に繋がることもあるのです。それは、最も恐れている記憶や自分に欠如していることでしょう。
母性は私達を揺さぶり、感情的な不足や傷を露にします。そして、自分を育て、感情的にも養ってくれた父と母との経験を思い出させるのです。 これは、幼少期の最も感情的な記憶を戻し、その記憶はおそらく痛々しいもので今まで封印されていたものです。
妊娠すると、あなたの幼少期の記憶がよみがえります。昔の争いが戻り、古傷が開くでしょう。そして、この感情の出現全てが妊娠の心理的変化やホルモンの変化と共にやってきます。
この場合、混乱や悲しみを感じるのは一般的で、その結果多くの女性が病院に行くことになります。通常、医師は「うつ病」、または「産後うつ」と診断しますが、それは正解でも不正解でもあります。
これは大抵、感情や考えをブロックする医薬品の処方に自動的に繋がるでしょう。しかし、医薬品は一時的な解放をしてくれますが、心理的な治療をしないとその問題は治ることなくただ埋められた状態になるだけです。
治療までの道を見つけるには?
一つの真実を挙げるとすると、女性の心理にある多くの隠された部分は、母性の中で活性化し、姿を現すということです。通常、これは暴露、危機の時でもありますが、治療や他のサポートで助けることの出来るプロセスなのです。
無意識だった部分を意識することで、私達は成長し、成熟します。痛みを意識して、それを明らかにすることは癒す方法でもあるのです。すると、私達が弱っている時に、それが自分に逆らってくることはありません。
私達の自己愛を取り戻すことは、子供時代からあった痛みのある感情的な傷を癒すためにも必要なことです。これは、自分自身に生き続けている幼少期の自分を見つけて、癒すことなのです。
自分自身をもう一度作り上げることは、傷ついた態度や行動を正す方法です。治癒することは可能なことであり、より健全で、よりバランスが良く、より幸せな人生と母性を持つことも実現出来ることなのです。
「全ての人間に課せられたことは、幼少期を思い出し、自分自身の影を見つける。そして、その影を光へ導き、治癒への真実の道を共に歩んでいくことです。」
-ローラ・グットマン-