私が生まれてきた時のことをもう一度教えてください

· 2018年3月16日

お母さん、私はどのようにして生まれてきたのか教えてください。お父さん、その時あなたが感じたことを教えてください。私が生まれてくるまで、どんな気持ちで待っていましたか?

その時の喜びはどんなものでしたか?私を初めて見た時、私はあなたが思い描いていた容姿でしたか?もう一度生まれてきた時のことを詳しく聞かせてください。

思い出すことは、もう一度その瞬間を生きること、記憶を味わうこと、そして幸せを共有することだと言います。

子供はどこかで、自分達がどのようにこの世界へやってきたのか、好奇心を抱くことがあります。時々、両親、または祖父母によって出産時の話(おそらくトラウマ的な部分)の一部を聞くことがあるかもしれません。

その時の感情に焦点を当て、人生へのスタートを神秘的で象徴的なストーリーで満たすことは、子供達に意味のある原点を与えてくれるのです。

「人間の主な任務は自分自身を生むことだ。」

-エーリッヒ・フロム-

私達の家族に織り込まれたこの物語達は、私達を人間として明確にします。「自分が生まれた時に何が起こったのか」を知ることや私達を初めて見た時の親を想像することは、私達を位置づけ、人生のタイムラインに最初の一歩を記すことが出来るのです。なぜなら、誰も生まれてくる時のことを容易に思い出すことは出来ないからです。

古代ギリシャの哲学者プラトンは、生まれてくるという行為は「忘れ」始めることを意味すると言いました。このアテネの賢人が説明したように、私達の魂が体の中に閉じ込められている時、元々私達に残されていた広大な知恵の宇宙を失ってしまうのです。

その為に、私達は、もう一度学習すること、一度知っていて自分の物だったことを「思い出さなければ」いけません。

彼の思い出に関する論理は興味深い意味合いも含んでいます。それは、赤ちゃんはどのような本能的、または原始的知識を平和で流動的な子宮の中で獲得するのか?と、いう疑問です。

子宮の中の赤ちゃん

私達は生まれる前から顔を認識することが出来る

この世界に足を踏み入れる前から、赤ちゃんは人間を知っています。未熟な脳の中では、本能の世界に住み着き、脳細胞が激しく鼓動しています。そして、その遺伝子の中には私達が必要とする全てが記されているのです。

その為に、赤ちゃんはこの世界で何も見たことが無くても、顔を認識し、それに反応することが出来るのです。

2017年の6月、イギリスのランカスター大学は雑誌「Current Biology」(現代生物学)に興味深い記事を掲載しました。それは、34週間の胎児がどのように人間の顔のような形に反応するかを説明したものでした。

研究者達は、妊婦の子宮の壁を通して光を投射し、赤ちゃんが顔のような絵にどのように反応するか頭を動かすことによって観察しました。そして、赤ちゃんはその他の刺激や形には何も反応しなかったのです。

この実験では2つの素晴らしい事実が明らかになりました。1つ目は、33週間から34週間の胎児は感覚的な情報を処理し、異なる情報を区別出来るということです。

2つ目はさらに魅力的で、私達は同じ種族と繋がるようにプログラムされているということです。それは生後、両親の見た目を知る必要が無くても同じ種族と認識できるということです。

赤ちゃんは自分達の特徴や見た目には気づいていません。もちろん、やがて自分達の種がどのような側面、形、を持っているのか「気づく」、または「思い出す」(プラトンが言ったように)のです。

手の中の母と赤ちゃん

生まれてきた時は何を覚えているのか

私達がこの世界に生まれてきた時に覚えていることは何もありません。それは時間の海の中で失われるのです。これは、成熟した前頭前皮質が形成されておらず、脳の折り目の中に消えていくからです。

この記憶は存在していたとすれば曖昧なものです。それは、新生児の脳は機能的な海馬をほぼ持っていない状態だからです。海馬は感覚的情報を「長期的記憶」に変換します。

まだ活発ではありませんが、子供が3歳ぐらいになると重要な記憶を残し始めます。

「人間の人生には素晴らしい2日間がある。1日は生まれてくる日。もう1日は、なぜ生まれてきたのか、その理由を発見した日だ。」

-ウィリアム・バークレー-

しかし、心理学者は、生後3か月から6ヵ月の赤ちゃんはよく特定の記憶を持つという発見をしたのです。それらは無意識な記憶であり、小脳に保存されます。

これらの記憶は、赤ちゃんと母親の持つ声と暖かさや安心を結びつけるよう導きます。これは私達の本能と関係しており、脳が持つ安らぎを与えるささやきは、私達を動かし、同じ種族と繋げるという、とても重要なことです。

誰も自分が生誕の瞬間など覚えていません。外部の世界にある全ての形、色、そして音と繋がった時自分が何を感じ、考えたのかなんて誰も知りません。

それは脅威的なものに感じていたかもしれませんし、パニックを起こしていたかもしれません。しかし、母の胸元に寄せられた時、その恐怖は消え去ったでしょう。

私達は自身の記憶を持っていません。家族が伝えてくれるその時の物語に感謝しましょう。それは、ユニークで特別な自分自身の物語なのです。