中毒の本当の問題は愛着の欠如にある?

中毒は、本質的には世界や物、行動、薬物へとつながる方法である繋がりを求めています。今、中毒に関し私達がもっている知識は「誤り」で、中毒の本当の問題は愛着の欠如にあるということに気づくべきなのです。
中毒の本当の問題は愛着の欠如にある?
Fátima Servián Franco

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Fátima Servián Franco.

最後の更新: 21 12月, 2022

初めて薬物が禁止されたのは、100年前です。「薬物戦争」の時代に、多くの専門家や統治者が中毒について語りました。それは、私達の心に根付き、そのストーリーは真実だと私達は考えがちです。ここで、質問です。中毒になってしまう本当の原因はどこにあるのでしょうか

アメリカ化学会がある変化をもたらしました。 薬物、アルコール、その他の破壊的物質の中毒は、「人格欠陥」の結果ではないと言います。これは自然な脳の化学反応であり、愛着に似ていると言うのです。

ドーパミンの欲しさから中毒になるという研究結果はいくつもあります。この神経伝達物質は人の「幸せの度合い」と関係します(Newcombe, 2016)。

薬物は、まず、腹側被蓋野と呼ばれる部分に運ばれます。この部位は、「報酬センター」として知られています。気分を高めるためにすることすべての処理に関わります。The Washington Post によると、快楽をもたらす化学物質であるドーパミンを生成する部位だと言います。

例えば、中毒者は、他に惹かれるものがなかったためコカイン中毒になることがあります。言い換えると、中毒の反対は、しらふではありません。人とのつながりなのです。

「中毒はおそらく精神の病気である」

-太宰治-

中毒 愛着

 

自分の行動を理解するためのカギ

物質そのものが、あなたの気分を良くしているのではありません。そのように感じるのは、体や脳にシグナルが送られるためです。通常の10倍もドーパミン値を高める物質もあります

過剰なドーパミンに適応するため、脳は特定の化学物質の受容体の数を減らします。そのために、中毒者は摂取量を増やしていくのです。

「幸せな環境にいる人」に関して、イギリス人のヨハン・ハリがいくつか研究結果を発表しています。基本的に、幸せな環境にいる人は日常生活で正常な量のドーパミンを得ています。彼の研究によると、彼らは薬物中毒になりにくいと言います(Swanson, 2015)。

「中毒はいつも痛みから始まり、痛みに終わる」

-エックハルト・トール-

 

中毒の反対はしらふではなく、人の繋がりと愛着だ

ハリはまた、カナダのバンクーバーの心理学教授ブルース・アレクサンダーを引用しています。「中毒は周囲への適応であり、檻のようなものだ」(Alexander, 2010)

ある実験の中で、彼は奇妙な発見をしました。死ぬまでコカイン入りの水を飲んだラットは、かごの中で常に孤独だというものです。薬物を使用する他に何もありませんでした。そこで、彼は環境を変えたらどうなるか実験することにしました。

 

ラット公園の実験

こうして、アレクサンダーは「ラット公園」を作りました。そこには、色とりどりのボール、質の高いエサ、走り回れるトンネルがあり、他のラットもいます。ラットが必要とする以上の物がそこにはありました

アレクサンダーは、ここに水の入ったボトルを2つ用意しました。ひとつは、コカインが含まれ、もうひとつは含まれていません。すべてのラットが両方のボトルから水を飲み始めました。

そして、ラット公園でいい生活を送るラットは薬物水を好まないことに気がつきました。それを避け、孤独なラットと比べ摂取量が4分の1にとどまったのです。そして、一匹も死ぬことはありませんでした。一方で、孤独で不幸せなラットは中毒になりました

周囲により健康的な愛着があったため、幸せなラットは薬物中毒になりませんでした。また、不幸せなラットは、ポジティブな刺激を受けるために、薬物と繋がる必要があったのです

 

この実験の人間への応用

アレクサンダーは、まず、これはラット特有のものだと考えました。しかし、人にも同じような実験が行われたことを知りました。それが ベトナム戦争です。

雑誌タイムによると、アメリカ兵の間で、ヘロインはガムと同様に一般的だったと言います。また、Archives of General Psychiatry には、約20%のアメリカ兵がそこでヘロイン中毒になったと書かれています。

中毒 愛着

同じ研究で、中毒になった兵士のおよそ95%がヘロインを止められたようです。リハビリ・プログラムを必要とした兵士はあまりいませんでした。なぜなら、恐怖の檻(ベトナム)から、温かく歓迎される場所(家庭)へと戻り、薬物を摂取したくなくなったからです。

アレクサンダーは、この発見は大きな一歩だと言います。中毒は自己中心的な行為という昔からの考え方、また、中毒は基本的に脳の化学的連れ去りだという自由主義的考えに反するものです。

これは適合なのだとアレクサンダーは言います。中毒自体が問題なのではなく、その場で何かにすがりつきたいという思いや愛着の欠如が問題なのかもしれません


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  • Alexander, B. (2010). The globalization of addiction: A study in poverty of the spirit. Oxford University Press.
  • Newcombe, R. (2016). Chasing the Scream: The First and Last Days of the War on Drugs. Drugs and Alcohol Today16(3), 229.

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