不安を抱える人にみられる5つの態度
人の性格のうち一部は、実際には性格ではなく、不安の結果として現れ定着する態度や癖であり、本当の自分の性格と混同してしまうことがよくあります。この混同された部分のせいで、危険でおかしな人だとか失礼な人だと思われてしまうこともあります。あなたの本当の人格も知らずに、それらの態度によって判断されてしまい、生きにくくなることもあるのです。
今回は、これらの態度について分析してみましょう。なぜなら、こういった態度を知ることが、不安や感情をうまくコントロールしたり、自分の良い部分を表に出したり、本当の性格を示す助けになるからです。
「恐れは感覚を研ぎ澄ませ、不安はそれを麻痺させる」
-カート・ゴールドステイン-
1. 何につけても謝る
不安を抱えている人は、いつも他の人に迷惑をかけていると感じたり、あるいは逆に常に他の人を満足させなければならないと考えて、何かにつけて謝ります。どんなことでも何もなくても、いつも謝っていて、まるでコントロールできない癖のようです。
他の人の真の居心地の悪さはこの態度によるもので、他の様々な癖と同様、健全と言えないだけでなく迷惑なものです。大したことでないことやその人のせいではない日常の状況に対して謝られ、どう返事をしていいか分からないのは気まずいものです。
2. すべてのコメントを真に受ける
この癖は、前述のものと深く関係があります。何か言われたり、些細なことを指摘されたりすると、考えすぎるのです。一日中ずっとそのことを考えて、話をだんだん大きくしてしまい、無邪気なコメントでしかなかったものを、個人的に攻撃されていると受け止めてしまいます。
これは悪循環につながりやすいものです。そのコメントが気になり神経質になりぐるぐると考えをめぐらすことは、不安を長引かせるだけです。こういう考えを追い払うために、感謝や謝罪のふりをすることもあります。これがかえって、ばかばかしく感じたり余計気になったりするもとになります。
「心配は、明日の苦痛を消すのではなく、今日の力を消し去る」
-コーリー・テン・ブーム-
3. 急にいなくなったり、会話を途中で辞めたりする
多くの場合、不安は人の一番良いところを追いやり、悪い兆候を感じたり、状況に耐えられないと感じた時に、避けたり逃げたりする態度をとらせます。不安のもう一つの余波は、その人が不安やその原因のことだけを考えてしまい、会話などそれ以外の刺激については全く見向きもしなくなってしまうことです。
人といるのが嫌だというわけではなく、不安に耐えられなくなり、その最良の解決法が、その場を離れるか別のことを考えるかです。そのせいで失礼な人だと思われても関係ないのです。
4. 考え得る最悪の状況を想像する
これが、不安がもたらす最も特徴的な態度です。誰でも人生のある時点、ある状況では、最悪の状況を考えたことがあるものですが、不安を抱える人は、考え得る最悪の状況が起こる可能性を大きく考えすぎる癖があります。常に最悪の事態に身を置くということは、身体的・精神的な影響や慢性的な疲れをもたらし、人間関係にも困難を生じます。
未来に起こることを先取りすることが身を守り不安を防ぐと信じているのですが、実は逆で、より恐れや不確かさが生まれ、悪いことばかり考えることで不安も強くなり、何も楽しめず、多くの場合その最悪の状況が現実となってしまうのです。
状況を注意して観察し、できる限り見定めることはできます。しかし、未来を予言したり何が起こるかを知ることができないことは明らかです。また、その状況を避けたところで自分を守ることが出来るわけではなく、ただ人生を満喫する幅を狭めるだけなのです。
「毎朝、二つの持ち手のうち、不安という持ち手で持つか、信という持ち手で持つか、である。」-ヘンリー・ウォード・ビーチャー-
5. 決断に時間がかかる
不安を抱く人は、非常に細かいところまで状況を分析する傾向があり、決断することがほぼ不可能になっています。これは例えば、今日着る服や食べるものなどの単純な決断や、正解や誤りがないような場合でも同じです。この態度は、不安のある本人だけではなくて、職場・パートナー・子供たちにも影響を及ぼしてしまいます。
決断するということは、誰にでも不安を生むことがあります。誰でも間違えるのは怖いものですが、細かいことまで物事を分析しすぎて決断を避ける態度は、決断することや、恐らくは間違えてやり直すよりもさらに不安を引き起こすことになります。
直面する決断の多くは、そこから逃げられるものでも、人にゆだねることができるものでもありません。決めるということは、日常的な行動で、その結果には様々な要素がからんでいます。運のように思い通りにならない要素もありますが、態度のようにコントロールできるものもあります。そういう要素に注目して働きかけなければなりません。
良からぬ態度が不安を生み、ふくらませる
この記事で示したかったことは、不安がある人の良からぬ態度がさらなる不安を生むことがあるということです。ですから、状況を知ることが避けるための第一歩であると同時に、他の人があなたを助けられるように、ふくらんでしまった不安についてオープンに話すことが大切です。
もう一つ、こういった状況や態度に対処するにあたって重要な要素は、自分ひとりで立ち向かう必要はないということです。不安を抱える人は、他の多くの人と同様、自分の問題解決を助けてくれる人は誰もいないと考えたり、助けを求めることに抵抗があるものです。それは現実とは程遠いことです。どう感じているかを共有することで、周りの人があなたに起こっていることを間違って解釈することを避け、理解してくれることに近づくでしょう。