ゴリラの死の儀式
ある研究グループによるゴリラの死の儀式の動画が、世界を驚愕させました。この動画から、ゴリラにとって死が何を意味するかが分かり、彼らも喪失の悲しみを抱き、嘆いているかのように感じます。実際、ゴリラは人間の死の儀式に似た行動をとるのです。
まず、西洋文化は人類中心であり、特にヨーロッパを中心にしていることを頭にいれておきましょう。人間は人類が動物であることを忘れがちです。また、原住民は人間でなかったかのように、「心がなかった」と考えていました。そして動物に関しては、人とはまったく別の生き物だと考えます。そこで、ゴリラが死の儀式を行っていると知ることが、現代の科学において非常に重要になるのです。
ゴリラの死に対する姿勢は明らかに人間のものと同類です。ゴリラは私達のように感情をもっており、非常に賢い生き物なのです。
「この世界の動物は皆それぞれの理由で存在する。人間のために生存しているのではない。」
タイタス:有名なゴリラの死の儀式
エイミー・ポーターの研究の一つに、タイタスと名付けられたゴリラがいました。タイタスは、研究対象となった高齢ゴリラで、群れのボスでした。
この儀式が見られたのは、ルワンダの火山国立公園です。ある日、若く、ボスになりうるオスゴリラがタイタスの群れに入ろうとしました。そして、この若いゴリラはリーダーの地位を争い、タイタスと闘おうとします。そこでタイタスは、このライバルを群れから追い出すために、タイタスは彼を残して群れを引き連れ、長距離を歩くことにしました。そして、これに成功します。
しかし3週間後、タイタスは疲労から3日間休みます。そして、亡くなってしまいました。タイタスの親友だったゴリラは昼も夜もタイタスに寄り添いました。群れのゴリラたちは、一匹ずつタイタスの遺体の前に数分ずつ立ちました。これは、亡くなったリーダーへの尊敬を示す儀式だったのです。
この一連のシーンがゴリラの死の儀式のひとつです。また、DNA検査の結果、驚くべきことが分かりました。タイタスのライバルは、我が子だったのです。これは、フロイトの研究にも劣らない物語です。
タスクの死
タスクはタイタスの群れの中で、唯一の大人のメスでした。群れに若いオスゴリラがやってきたとき、彼はタスクに向かって性的に攻撃的な行動をとります。しかし、メスゴリラも子どもたちも、その若いゴリラの交尾に答えようとしませんでした。
タイタスが亡くなって1年後、タスクは病気になりました。その後20日間かけて病状は悪化し、ついには亡くなってしまいます。タスクの側にはオスゴリラが2匹付き、最期を過ごしました。また、息子も2匹のメスを連れ、見舞いにきました。
このケースでは、おかしな行動がいくつかみられました。若いゴリラは、母であるタスクの体に近づき、乳を飲もうとしたのです。長年、このような行為をしなかった若いゴリラにこれがみられたのです。専門家はこの行為を「慰めの看護」と呼びます。
また、年上の子どもは、遺体を蹴るなど、攻撃的な行動をとりました。さらに、群れの新たなリーダーもそこにいて、タスクの胸を激しくたたきました。専門家はこれを攻撃的な行動ではなく、タスクの死に対する拒絶とフラストレーションの表れだと説明しています。
見知らぬゴリラへの敬い
コンゴのゴリラの群れの研究でも、死の儀式がみられました。このケースで、死亡したのは群れのメンバーではありません。彼らが歩いていたところに、知らないゴリラの遺体を発見したのです。
ゴリラの群れは、静かにその遺体を囲み、数分間観察しました。臭いをかぎ、舐め、毛づくろいしました。静寂と悲嘆の姿勢をとり、敬意を示したのです。
ここでも攻撃的な行動がみられましたが、攻撃したのはボスゴリラのみでした。その姿は、群れのネガティブな気持ちを拒絶するかのようでした。そして、すべてのゴリラが遺体の臭いをかぎ、舐め終わると、ボスゴリラは遺体を茂みの中へと投げ入れました。
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Estrada, A. (2012). Comportamiento animal. El caso de los primates. Fondo de Cultura Económica.