人の賢さを決定づけているものとは?

一体何が人の賢さを決定づけるのでしょうか?その答えは実は、研究史のどの部分を見るかによって変わってきます。こちらの記事で、古代ギリシアに始まり現在に至るまでの知能研究の道筋を辿っていきます。
人の賢さを決定づけているものとは?

最後の更新: 11 12月, 2020

知能は心理学の研究領域として一般的です。実は、その歴史と発展が心理学という学問の方法論の大部分に良い刺激を与えてきました。しかしお察しの通り、知能を研究するにあたって頭痛の種となるのがその計測についてです。つまり、そもそも何が人の賢さを決定づける要因なのかが把握できていない限り、ある人物が知的か否かを判断するのは不可能だということです。

知能という言葉にはたくさんの定義があります。事実、ざっとインターネットで検索するだけで数多くの検索結果が得られるはずです。しかし中にはかなり本質とは異なるものや、少々恐ろしいものもあります。

賢さとは問題解決技術に現れ出るものだと考える人がいる一方で、問題を投げかける技にこそ賢さが反映される、と考える人々もいます。さらには、意思決定技術に関するものだと信じる人もいるようです。とにかく、「技術」というと単なるスキルの話にしか聞こえませんが、これこそが、生産性に欠ける空虚な知能にはほとんど価値がないこと、そして少なくとも他人に理解してもらえるものではないということを思い出させてくれるものなのです。

この記事を読み進め、一体どんなものが人の賢さを左右するのか見ていきましょう。

“あなたには自分の意見を持つ権利はありません、あなたが持っているのは情報や知識に基づいた意見を持つ権利です。無知でい続ける権利など誰にもないのです

-ハーラン・エリスン-

人の賢さ

アインシュタインはモーツァルトよりも賢い?

この問いは音楽ファンと物理学愛好家を対立させてしまうかもしれません。なぜなら、これによって少なくとも、人を楽しませたり悲しい気分にさせるような作品を作り出すクリエイティブなタイプの知能への疑念が強められてしまうからです。一般的にほとんどの人が、天才とはある程度の痛みや努力を経験してきた人々だ、と理解しているのです。

また、社会的観点から知能という概念にアプローチすべきだと主張する人も多くいます。つまり、他者と結びつきを持つ必要性という観点から、そして自分自身や身近な環境、あるいは社会全体のために獲得できる強みという観点から知能を研究すべきだということです。

例えば霊長類に着目してみると、彼らの社会環境はとても複雑ですよね。いかさまが頻繁に行われますし、利他主義とも呼べるような行動も見られます。 霊長類が「心の理論」を持つかどうかについては、公開討論すら存在するほどです。心の理論とは、集団内の他者からは切り離された独自の個体として自己という感覚を言います(Gallup、1982年; Hauser、MacNeilageとWare、1996年)。

賢い人々の知的能力

知能は知的能力と直接的に結びついています。これは学習したり記憶したり、問題解決や新たな状況への適応のために新しい情報を利用したりする能力です。これに関する初期の研究を見ると、チャールズ・スピアマンやフランシス・ゴルトンなどの著名人の名前が見つかります。

しかしその中でも際立つ存在なのがアルフレッド・ビネーでしょう。なぜなら、彼は教育という文脈の中で自身の研究を進めたからです。また、彼が知能研究へ関心を抱いていたのは教育システムを改善するためでした。彼は、学習に困難を抱える子どもたちを手助けする手段を見つけようとしたのです。

研究仲間だったテオドール・シモンとともに、ビネーは子どもたちの知的能力を計測するためのテストを設計しました。それにあたり彼らが作り出したのが、各年齢に応じて回答できるようにした、子ども向けの個々のテスト項目です。

以下にその例を挙げています。

  • 3歳の子どもは自分の口や目を指差せるはずだ。
  • 9歳の子どもは一年の各月の名前(英語圏)を適切な順番に言えるはずだ。
  • 12歳の子どもは3分以内に60の単語を挙げられるはずだ。

この査定が世界で最初のIQテストとなったのです。

人の賢さ

どんな要因が人の賢さを決定づけるのか?

ソクラテスはその様々な功績で歴史に名を残していますが、その中でも特に重要なのが「産婆術」と呼ばれる問答法を生み出した点でしょう。この問答法を利用する人々は、質問を投げかける術に秀でている必要があります。

同様に、科学は人々が関連する回答を得る前に重大な問いかけを行うことができた時に前進します。したがって、知性を示す一番の指標は疑問や質問を生み出す能力の有無と言えるでしょう。

それとは対照的に、普通、論理的な問題を解決する技術に長けた人々は賢い人だと見なされます。そのため、数学はその文化的変数の抽出しやすさゆえ、知能をテストするための分野として好まれてきました。最も影響力が大きくて包括的な現代理論はおそらく、ハワード・ガードナーによるものでしょう。

ガードナーの理論は、人間は情報を様々な独立したあるいは部分的に独立した「チャンネル」を介して処理している、という考え方に基づいています。彼は知能を以下の8つの共通タイプに分類しました。

  1. 論理数学的知能
  2. 空間視覚的知能
  3. 音楽的知能
  4. 言語的知能
  5. 運動感覚的知能
  6. 対人的知能
  7. 内省的知能
  8. 博物学的知能

かなり興味深い考え方ですよね。実は、この理論は学習を強化するための情報を個別にできるような手法を採用しようとする流れに繋がっています。

最終考察

最後に、ポジティブ心理学は心の知能の重要性を強調することで、何が人間の知的さを決定づけるのかという疑問への回答を押し広げてきました。この学派では、感情あるいは情動性およびそれに関連する直感は知能と共同で働いているのだという考え方を強めています。さらにポジティブ心理学は、賢い人々は感情を適切にマネージメントする能力や重要なメッセージを聴き取る能力、そして自身のエネルギーの最適な放出法を選択する能力に優れている、という主張をも支持しているのです。


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