自分で自分の身を守った王女様の物語

自分で自分の身を守った王女様の物語

最後の更新: 06 1月, 2018

昔々、自分で自分を守った王女様がいました。毎日外を歩き、太陽の光も風も気にしない、名もない王女様でした。つまづくけれど、立ち上がり、何かを怖いと思うこともよくあるけれど、素敵な秘密や克服もたくさんありました。誰も彼女の勇気をほめませんでしたが、別に構いませんでした。それは彼女の心にしっかりと刻まれていたからです。

勇敢な王子様は必要ありませんでした。部屋の隅に小さくなっている代わりに、窓からドラゴンの様子を観察して、弱点を知っていたからです。化学を勉強して、ドラゴンに麻痺させられる前に使うためのすばやく効果的な解毒剤の作り方を知っていたからです。この物語には、王子様もキスも出てきません。彼女の度胸は内面から生まれたもので、他の人のおかげではないし、その勇気は自ら行動することで育ったもので、待つことで大きくなったわけではありません。

一人で自分を守った王女様

王女様が一人で身を守った背景には、彼女の中にとても大きな力があると理解していた両親の影響がありました。彼らは迷わず彼女の夢を育てました。たとえそれがピンク色や薄紫色に似合わなかったとしても、たとえそれが赤ちゃん人形との散歩やお人形のヘアメイクでなかったとしてもです。両親はそれを残念にも思ってはいませんでした。そういう遊びが大事だと特には感じていなかったのです。

何でも信用する女の子ではなかった王女様は、ベッドに横たわるおばあさんを見てすぐにあやしいと気づきました。それでオオカミが彼女を食べるチャンスもなく、彼女の方から銃をとり、闘いを挑んだのです。オオカミに手錠をかけ、物語の交番に連れて行ったのは王女様自身でした。こうして、王子様を服従させていた悪い登場人物をみな、一人ずつ捕まえていったのです。

秋の森に立つドレスの女性

人の助けを必要とした王女様

もちろん、王女様は人の助けを必要としました。でもそれはけして、一見無邪気な物語の中で生き続ける吟遊詩人のように詩を朗唱する王子様ではありませんでした。彼女を応援する周りの人の助けを必要としました。どうしたらいいのか選択肢を聞いたり、時には一番いい方法を教えてもらったりしましたが、けして自分の代わりに誰かにしてもらうことはありませんでした。でももし誰かがそうしてくれたなら、迷わずお礼を言い、お返しをしたのでした。

なぜなら自分で自分の身を守った王女様は、この世界が人々が助け合うことで機能していることを理解していたからです。でもその助け合いの中で、いつもいつもキスや愛情でお返しされることもなく、彼女がキスや愛情でお返しする側になることもありました。人を助けるのがとても上手でした。

王女様は毎日病院へ行き、白衣を着て他の人の身体に棲みついた病気に立ち向かっていました。どんな男の人も彼女を上から見降ろさず、どんな女性も、彼女のように女性であることで軽蔑されることのない世界について常に考えていました。できるかできないかの方程式には、疲れや手段などの多くの変数がありましたが、性別は変数にならない世界です。

党を去る王女

 

そんな自分であることを誇りとしていた王女様

自分で自分を守った王女様は、自分の感受性を誇らしく思っていました。身体にはもう少し違った形だったらいいのにと思っていた部分もありましたが、自分の鼻や耳が素晴らしい才能の持ち主だといつも考えていました。彼女に個性を与えてくれましたし、さらにわずかな匂いも感じ、他人の鼓動が聞こえるほど完璧に機能していました。時が経つにつれてこの鼻や耳が大好きになり、望むような形ではなかったものが自分にもたらしてくれる全てをありがたく思うようになりました。

ある時、その上で祈りを捧げていた石に書かれていた、変えることのできないものを愛することは知性の訓練であるというメッセージを読み、心に留めました。毎日仕事に行く前に通っていたメトロの駅に描かれていた、死ぬ前に生があるという言葉も、同様に心に留めました。

それ以来、自分の行動が特別すばらしいと思い込むことなく、その考えを座右の銘としました。単に自分がしていることは首尾一貫していて、自分の持っている能力で到達できることだと考えていました。こうしてその王女様は、かよわそうな身体で、自分で自分を守ったのでした。

画像はシャラ・リモーネ(Shara Limone)さんのご厚意により使用させていただきました。


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