情緒的分離障害とはいったいどんなもの?

幼少期に十分な愛情を与えられなかった結果引き起こされる状態の一つに、情緒的分離障害というものがあります。どんな障害なのか、そしてどう特定されるのが一般的なのかをご紹介します。
情緒的分離障害とはいったいどんなもの?

最後の更新: 21 9月, 2020

情緒的分離障害とは、幼少期に十分な愛情を受けずに育ったことで生じる一連の特性を指す言葉です。幼少期というのはどんな人であれ非常にか弱い状態にある段階です。この数年間のうちに起こる事象はそのまま心に留まり続け、その後も生涯を通じて姿を表す可能性があります。

幼少期に受けるべきだった愛情が不足していると、情緒面の健全な発達が妨げられます。乳幼児はスキンシップや言葉、労りの気持ち、情緒面のサポートなどを通して認められているという感覚を得る必要がありますが、これを受け取ることができない場合、ダメージが生じて心理的な発達が自然な形で行われなくなるのです。

情緒的分離障害は、「自分は愛されることのない存在だ」という深い思い込みの結果として生じます。また、そこには自分自身に対する大きな不満と、見捨てられることへのかなりの恐怖心も存在しています。ある人物が生涯を通じてそういった特性を有している可能性があるとしても、その出現の仕方は年齢に応じて異なってきます。

“何が牢獄を消し去ってくれるか知っているか?あらゆる深くて真正の愛情だ。友人でいること、兄弟でいること、愛すること、それが最上の力、魔力的な力によって牢獄の鍵を開くのだ。これらが欠けていれば人は死んだままだ。だが、愛情が蘇ればいつだってそいつの命も息を吹き返す”

-フィンセント・ファン・ゴッホ-

情緒的分離障害

情緒的分離障害の兆候

情緒的分離障害を抱える人々には、いくつか共通する特性が見られます。愛されていないと感じたことがある人は大勢いるはずですが、症状が持続しているかどうかによってこの障害を有しているのかそうでないかを区別することができます。

情緒的分離障害の兆候として最もよく見られるのが、以下のようなものです。

  • 無価値感。自分にそれほど価値があるように感じられません。常に自らの能力を疑っており、ほとんど全ての状況が自分の手に負えるものではないと信じ込んでいます。
  • 失敗者の感覚。この障害を抱える人は、実際にはそうでないにも関わらず自分は惨めに失敗したのだと感じている場合が多いです。また、自分のことを辛辣に批判します。
  • 自己愛の欠如こういった人々は自分自身に対する同情心を全く持ち合わせていません。自らの心から美徳を見い出すことが困難で、もしできたとしてもすぐにそれらを最小化してしまいます。本質的に自分のことを軽蔑しているのです。
  • 社会的状況からの逃避。この障害を抱える人にとって、考えていることや感じていることを他人に伝えることは困難です。これは、拒絶されることに対して強い恐怖心を抱いているためです。また、拒絶を経験するとこういった状況に抗うことになります。
  • 不安定さ。対人関係において不安定な傾向があります。結果として、安易に愛情を投げ出してしまいます。

情緒的分離障害の年齢ごとの発現

先ほどお伝えした通り、情緒的分離障害は年齢に応じて異なる発現の仕方をします。しかし、成熟度や環境によって現れ方は多様ではあるものの、どの年齢でも見られる本質的な特性というものがあります。

年齢を考慮した時の情緒的分離障害の現れ方の例がこちらです。

  • 乳幼児期。この障害を抱える乳幼児は泣くことが多く、ほとんど笑わず、感染症に頻繁にかかります。消化の問題が見られることも多いようです。さらに、正常に成長しない場合もあります。
  • 未就学児期。同じ年頃の子どもたちとの関係性に不安を覚え、言語にも難がある場合が多くなります。
  • 小学生期。学習障害や集中力の問題が生じたり、自分には価値がないという感覚を抱くことがよく見られます。自分自身に対して疑いを持ち、自分のことをネガティブに描写します。また、自分は他人を煩わせていると思い込みます。
  • 思春期。この障害のある十代の子どもたちは衝動的で活発で、自らの外見を不安に思う傾向があります。すぐに興奮してしまい、中毒の症状がある場合もあります。
  • 成人期。大人になると孤立しがちで、目標や目的の達成に真剣に取り組まず、自分は敗者であると頻繁に感じるというのが共通の兆候です。また、健全な人間関係を築くことができず、仕事にのみ身を捧げるという人も出てきます。
情緒的分離障害とはいったいどんなもの?

対応策としてできることは?

現実的に言うと、情緒的分離障害を完全に払拭することは決してできません。しかし、だからと言って問題のうちのいくつかを解決するのが不可能だという意味ではないのです。 幼少期に愛情を受けられなかったという過去を抱えながら生きる方法を学ぶことなら可能ですし、それを自分の強みにすることすらできるかもしれません。しかし一番難しいのは最初の一歩を踏み出すことです。しかしその一歩が踏み出せれば、やるべきことがはっきり見えてきます。

このようなケースでは、十分に経験を積んだプロと共に心理療法を始めるのがベストです。心理療法や精神分析の中には、この障害に非常に有効な種類のものがいくつか存在しています。しかし、情緒的分離障害を抱える人々には心理療法士を理想化してしまうという傾向があるようです。そのため、プロの方も彼らの過度の期待に対してどう応えるべきかを学んでおかねばなりません。

これは非常に難しい障害ですので、自分一人で克服するのは並大抵のことではありません。外部からのサポートが無いと、彼らは自らの心の傷を治すことを放棄してしまうでしょう。いずれにせよ、アートや読書、瞑想、スポーツといったアクティビティを行うこともかなり有効です。


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  • Alemán, G. C. (1998). Síndrome de carencia crónica afectiva (Doctoral dissertation, Universidad de Granada).


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