子どものお絵描き:段階と成長

本記事では、子どもの絵の変化についてリュケが行った研究についてみていきます。まず初めに、子どもの絵は現実的です。子どもは、芸術的な美しさよりも、現実の特徴を描き出すことに集中しているためです。
子どものお絵描き:段階と成長
Sergio De Dios González

によってレビューと承認されています。 心理学者 Sergio De Dios González.

によって書かれた Alejandro Sanfeliciano

最後の更新: 21 12月, 2022

子どもはお絵描きが大好きで、これは自分たちの現実を表現する方法でもあります。 自分の想像や世界の特定の見方から表現をします。子どもの絵を見てみると、子どもが自分の周りの世界をどのように見ているかがわかります。

子どもの精神に存在するイメージと子どもの絵の間の関係は、とても密接なものです。精神的なイメージは、模倣を内在化したものですが、これが絵の中に現れることがあります。それ故に、子どもの絵の質の変化を見ていくことで、子どもたちの象徴的な能力をより良く理解することができます。

子どもの絵の段階

本記事では、子どもの絵の変化についてリュケが行った研究についてみていきます。まず初めに、子どもの絵は現実的です。子どもは、芸術的な美しさよりも、現実の特徴を描き出すことに集中しているためです。

子どもの絵の段階には次のようなものがあります。(a)偶然の写実主義、(b)失敗の写実主義、(c)知力に即した写実主義、(d)視覚的写実主義です。

偶然の写実主義

絵を描く行為は、子どもの運動機能の延長として始まります。その為、子どもの初めの作品は、ただの走り書きに過ぎません。これらの落書きは、自分の運動機能を試すための最初の実験です。そしてこれはこれ以降の段階のための基礎となります。

子どものお絵描き:段階と成長

ほどなくして、子どもたちは自分の絵と現実との間に類似性を見つけます。十分な能力が備わっていないかもしれませんが、子どもたちは現実を捉えようと試みます。何を描いているかをたずねてみると、初めは何でもないと答えるかもしれません。しかし、絵と現実の間の類似性を見つけると、子どもたちはこれを現実の描写であると考えるようになります。

この段階は、現実の描写がお絵描きをしている間またはそのあとに現れるために、偶然の写実主義と呼ばれています。最終的に子どもたち自身が解釈を与えることになるものを、 元々描こうと思って描いているのではありません。現実に類似しているのは偶然なのです。しかし、子どもはその事実に興奮します。その類似性を見つけるようになると、それをもっと良くしようとします。

失敗の写実主義

この段階では、子どもは自分の精神の中にあるものを描き出そうとします。残念ながら、いくつかの障害物によって、子どもの意図はくじかれ、失敗をします。主な障害物は、子どもの運動能力です。正確に描き出したいものを再現することができるほど、それが十分には発達していないのです。

子どもの集中力のスパンも問題です。自分の行っていることに細かく注意を払うことができず、描くべき重要な詳細を見逃してしまいます。

リュケによれば、この段階の最も重要なことは、「構造的な能力不足」です。 絵を描くことの要素を統合化して、整えて、順応させることが難しいのです。絵を描くとき、異なる要素間の関係はとても重要です。これらの要素の統合性によって、成功か失敗かどうかが決まるからです。

しかし、子供の成長におけるこの段階において、子どもはまだこの能力に問題があります。例えば、顔を書いている時、目の上に口を描いてしまったりしますよね。

知力に即した写実主義

次の段階では、子どもはひとつ前の段階での障害物を乗り越えます。完全に現実を表現するために、邪魔になるものはもうありません。しかし、子どもの現実主義は大人における現実主義とは異なるということを覚えておきましょう。子どもは、見たままに現実を捉えません。自分が理解している方法で現実を捉えます。その為、リュケはこの段階を知的な写実主義と呼んでいます。

これは、子どもの絵を最も代表する段階ではないでしょうか。研究目的においては、最も興味深い段階です。この段階において、子どもの絵からは2つの重要な特徴が見受けられます。それは「透過性」と「回避」です。

子どものお絵描き:段階と成長

ここでいう「透過性」とは、子どもは隠されていることを描くということです。特定の物体を見えなくしているものを取り去って、明らかにします。例えば、卵の中のひよこや靴の中を描いたりします。

もう一つの過程である「回避」は、子どもはものの遠近感を無視するということです。例えば、上から見たかのように家の入口と部屋のインテリアを縦に描くことがあるということです。

これら2つの特徴は、絵の中で物事を表現する際には、視覚的な要因が関係していないということを示します。代わりに、子どもは自分の精神の描写を参照し、自分の絵の中で知っているものを捉えようとします。そのため、物体の透過性や物の遠近感の欠落などの「間違い」が生まれます。

視覚的写実主義

8~9歳くらいから、子どもはほとんど大人のように絵を描くことができるようになります。見たままに現実を描き出すことが可能です。これを行うためには、子どもは2つのルールを守らなくてはいけません。それは遠近感と視覚モデルの固守です。

知力に即した写実主義の特徴は、完全になくなります。見えない物体を排除して、決まった方向から描いて、空間における比率を維持します。このため、子どもの絵は子どもらしい見た目ではなくなります。多くの子どもが、自分の絵が現実的に見えないと感じ始めて、絵を描くことへの興味を失っていきます。

子どもの成長における段階を絵を通してみる際は、慎重になるべきであるということを覚えておいてください。この成長は、私たちが思っているほど直線的ではなく、より先を行く子どもも、少し遅れている子どももいます。 絵を描くことが難しすぎると感じる子は、早めに絵を描くことをやめてしまうこともあります。


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