子供の死の受け止め方と悲しみから救う方法
身内で不幸があったとき、誰もが大変な時間を過ごすことになります。そして、それは大人だけではなく、子供達も人の死によって苦しめれます。しかし、子供たちの死の悲しみを理解することは難しく、大人がいつも彼らに共感できているわけではありません。子供たちの悲しみ方は大人のそれとは異なっており、どのように彼らに手を差し伸べるかが分からなくなってしまう人も多いと思います。子供たちは死をどのようにして捉えているのでしょうか?
確かに、子供たちは死というものを理解しています。しかし、それを大人とは違った形で嘆いているのです。これは、子供の年齢や環境によっても左右され、彼らの死に対する考えを理解することで、子供たちが大変な時間を過ごしているときに手助けをすることができるようになります。
「時間とは悲しさを癒してくれる医者である」
-ダイフィル-
3歳以下における死の悲しみ
子供は3歳になるまで、身体的にも精神的にも母親など自分を世話してくれる人に依存しています。そのため、自分を愛して守ってくれる人の死は子供に多大な負荷を与えます。
彼らは死というものを理解していなくても、自分の生活にとって必要不可欠な人がいなくなったということには気づており、生後6ヵ月~8ヵ月の赤ちゃんでもその不安や苦しみが行動に反映されます。子供たちは、大事な人がもう存在していないということを直観的に理解しているのです。
それにより、彼らは自分が見捨てられ、無防備な状態であると感じるようになります。そして、いなくなった人を捜しまわったり、その人が戻ってきてほしいという意思の表現として泣き続け、新しい自分の保護者への拒絶や睡眠障害、摂食障害、癇癪などに繋がります。もしそれが言葉をすでに話せる子であれば、一見忘れているように見えても、数分おきに死んでしまった人物のことについて尋ねてきたります。
生まれたばかりの幼少期において、子供はできるだけ早く愛情や保護愛を感じる必要があります。そのため、親がいなくなることで、いつまでたっても子供はその帰りを待つようになりますが、彼らはそうすることで自分の悲しみを少しずつ緩和していき、落ち着きを取り戻しているのです。
3歳~7歳における死の悲しみ
子供は3~7歳まで成長すると、出来ることの幅が増え、理解力も身に付きます。しかし、死が絶対的なものであるということは理解しておらず、いくら説明しても、一度死んだ人が蘇ると考えているケースが多いです。
それでも、大切な人が欠けているという恐怖心や悲しみ、怒り、罪悪感は子供にとって大きな負荷となります。そして、親と離れ離れになってしまったという不安感は精神面のみならず行動面にも現れます。
死によるこれらの悲しみは、子供たちの態度の悪さや反抗、癇癪として突出します。さらに、新しいことへの興味関心を持たなくなり、お漏らしや悪夢にうなされることもあります。このような行動は時間が経つにつれて収まっていきます。もし、改善されない場合は、子供が上手く死の悲しみと向き合えていないということなので、カウンセリングなどを受けさせる必要があります。
「悲しみを抑えつければ、それは倍増する。」
-モリエール-
6~12歳における死の悲しみ
6歳~7歳くらいになると、死や人が死ぬということの意味を理解できるようになります。この段階になると、死の悲しみに対する向き合い方も少しずつ変わってきます。そのため、まず初めに起こるのは、拒絶と否定です。愛する人の死を告げらえれたときに「そんなことはありえない」というような反応をする人も多いでしょう。
死の事実を否定することと同様に、子供たちは罪悪感を感じたり、故人を責めることもあります。このような行動の原因は、6~7歳の子供たちが全てのものを擬人化するという成長プロセスにあります。また、愛する人と同じように自分も死んでしまうのでないかという不安から、怒りや恐怖心も抱くようになります。
「死の悲しみというのが恐怖心であるということを誰も教えてはくれなかった。」
-C・S・ルイス-
さらに暴力や家族への反発、問題行動、悪夢、集中力の欠如などが悲しみの対価として現れます。また、子供が時々みせる故人と会いたいという欲求の現れを見逃してはいけません。そのような考えは自殺に繋がることもあるので、大人は常に気を使っておく必要があります。
子供に愛する人の死を受け入れさせてあげることはとても大切なことです。子供が苦しい時間を過ごしているとき、その周りにいる先生や友達、親戚の存在はとても重要で、彼らが悲しみをしっかりと昇華させ、立ち直っていくための手助けとなります。