攻撃的なふるまいに気候は影響するか
様々なスペインの科学者たちが実施した研究が、2018年12月10日に『サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロンメント(統合環境の科学)』に発表されました。同研究では、熱波と攻撃性の関係を関連付けています。この研究によれば、気候は攻撃的なふるまいに影響を及ぼします。
カリフォルニア大学バークレー校とプリンストン大学の研究者は、この問題に関して研究を行っています。そして、気候の変化は、世界中で起こる多くの暴力的な状況に密接に関連しているという結論にたどり着きました。
比較的小さな気温の変化や雨が、暴力と対立のリスクを大きく高めます。それを受けて、研究者たちは、地球の気候がどれくらい人間のふるまいに影響するかを証明しました。
この研究では、次のことを議論しています。
- インドとオーストラリアでは、より多くの家庭内暴力が発生しているという事実。
- 暴力、殺人、そして暴力的なふるまい一般がアメリカとタンザニアで増えているという事実。
- 熱帯地域での内戦。
- ヨーロッパと南アジアで起こっている民族闘争。
- ブラジルでの地域侵略。
- オランダでの警察隊の使われ方。
気候の変化:暴力的なふるまいへの引き金
これらの新しい研究は、現在の気候が人間に及ぼす影響を予測することに関して、重要な役割を果たしています。多くの世界的な気候モデルが、次の50年で、少なくとも摂氏2度気温が上昇することを予測しています。
科学者たちは、気候の変動に影響を受ける、3つの種類の対立を発見しました。さらに、対立は絶えず気候に反応します。27の研究が、高い気温と暴力の増加の相関性を示しています。
これらの研究者たちは、一般的な枠組みの中の全体的な結論を導き出すべく、45の異なるデータを含む60の既存の研究から情報を集めました。「結果は驚くべきものでした」、と話すのは、カリフォルニア大学バークレー校のゴールドマン・スクール・オブ・パブリック・ポリシーの教授である、ソロモン・シアン氏です。
熱波で女性差別の暴力が上昇するか
数人のスペイン人の研究者が研究を行い、これら2つの変数の間には関係があるということを結論付けました。 『熱波と親密なパートナーによる暴力のリスク(原題:Heat wave and the risk of intimate partner violence)』は、『サイエンス・オブ・トータル・エンバイロンメント』誌上で2018年12月10日に発表されています。
この研究では、近しいパートナーによる暴力は、熱波の3日後に上昇すると述べています。 パートナーの手によって暴力の被害者になったことを報告・主張する多くの女性に基づいて、研究者は、これらのケースで攻撃的なふるまいに影響する要因を特定することが「非常に重要である」と強調しています。
警察の報告によれば1日後となっていますが、研究者たちはこのデータに基づき、熱波の3日後の女性卑下の暴力のリスクを議論しています。
ジェンダー関連の暴力を経験した女性からのヘルプラインへの電話は、熱波の5日後に増加します。パートナーに女性が殺害されるリスクは、熱波のあと28%も増加します。
研究者たちは、研究の結論で次のように述べています。「我々の結論では、熱波が近親者間暴力(IPV)の増加に関連していることを示しています。IPV増加の影響は、分析された暴力指針の違いによって、遅れが出る場合があります。」
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Hsiang, S. M., Burke, M., & Miguel, E. (2013). Quantifying the influence of climate on human conflict. Science. http://doi.org/10.1126/science.1235367
Sanz-Barbero, B., Linares, C., Vives-Cases, C., González, J. L., López-Ossorio, J. J., & Díaz, J. (2018). Heat wave and the risk of intimate partner violence. Science of the Total Environment. http://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2018.06.368