兄弟の敵対:上の子が場所をとられる時
兄弟の敵対は、子どもによくあるものです。下の子が生まれると、突然上の子は一家の王様ではなくなります。自分よりもたくさんの注目を必要とし、より愛情のこもった眼差しと笑顔を受け取るもう一人と、王座を共有しなければなりません。それは、どうしても比べずにはいられない相手です。
子どもが切望する、安心でき愛されていると感じる場所を失う時、子どもは恐怖を覚えます。皆が注目し、守り、愛してくれる特別な場所を失うことが恐いのです。安定した愛が脅かされ始めます。
その場所をとられると、子どもは、自分は親にとって重要ではないと考え始めます。新しい小さな赤ちゃんが得るのと同じ注目を受けたいのです。これが、注目への終わりない闘いの始まりです。
兄弟の誕生が世界の終わりである時
弟や妹が生まれると、上の子どもはフラストレーションや力のなさを感じます。恐ろしく、破滅的な思考が頭の中を回り始めます。今までに受けた愛が自分にはふさわしくないのではないかと考えます。
そして、その愛のために争わなければならないと感じます。何もせずに受けていた注目や甘さを、同程度まで取り戻すために何かしなければなりません。
通常、兄弟間のこの程度の嫉妬は、成長するにつれ消えていきます。ところが、ある程度までは合理的であるこの嫉妬が消えず悪化する時、問題が生じるのです。
他にも関係する要因はあります。実際、親の多くが最終的には嫉妬する子どもにより注目するようにはなりますが、それでもその子どもにとっては十分ではありません。子どもは、自分のしたいようにして、癇癪を起こして特権を得ることに慣れていきます。
すべてのケースが異なるということを理解することが重要です。そもそも嫉妬しやすい子どもがいます。また、下の子ができてから、怒りをぶつける子どももいます。下の子の誕生と同時に、またはそれがきっかけとなり、親に感情障害を示す子どももいます。家族や状況はそれぞれ異なるのです。
兄弟の敵対の原因を理解する
すべてのケースが異なるように、兄弟の敵対の原因も様々です。子どもの性格、または親の愛情表現の仕方かもしれません。また、赤ちゃんが誕生する時の家族の感情の状態の結果かもしれません。
親が上の子がなぜそのような状態にあるのか理解できると、より効果的に対応することができます。子どもは共感を必要とします。子どもには自身の感情があり、どんなに幼くても、他の人と同様にその感情は大切にされるべきものです。しかし親は、そういった子供の感情が、家族により大きな苦悩や混乱を与えないようにしなければなりません。
注目を減らすこと、または、良い行動に対してのみ褒めたり、注目することにより、下の子への怒りに対する罰を子どもに与えることが必要です。
子どもたちが協力の姿勢や自信を示した時、それを評価し、認めて強化していくことが重要です。なぜなら、たとえ子どもが口に出して言わなくても、これは子どもが求めていることだからです。自分や自分の環境に対して自信をもち、安心したいのです。
精神的に安定した環境を作る
不安定で一貫性がなく、変わりやすい環境は、子どもの精神的発達に混乱をもたらします。そのため、親はできる限り、子どもがどれほど愛されているかを感じることができる健康的な環境を作る必要があります。子どもは、頻繁に、真似ることにより学びます。
そのため、対人関係に適応できる価値観を彼らの中に築くことが重要です。人のために喜ぶことができる価値、連帯感などです。そうすると、怒りや妬みで仲間の達成をみるのではなく、自分の安全には影響しないと考えることができるでしょう。結果として、世界観が変わり、より健康的になります。さらに、兄弟の敵対は減るでしょう。
親が子どもの達成を無視していては、子どもが兄弟のために喜ぶことは難しいでしょう。そうではなく、子どもは「横領者」と比べ続けてしまいます。子どもは、失敗を指摘され続けるより、ポジティブな行為が認められる環境で安心を感じます。不調へとつながりうる不適応行動をなくし、健康的な行動を褒めましょう。