教師の心の知能の重要性
生徒を叱りつけ、共感力に欠け、「助けが必要ならここにいるよ」と言うかわりに罰を与え、攻撃的に生徒に立ち向かう教師は、心の知能が欠けています。
これらのふるまいは、自分自身の感情を制御できていないことが原因です。家や学校ではこういったことを学びません。だからこそ、多くの人が感情制御方法を欠いているのです。
教師の立場になって考える
本記事は、教師を責めるためのものではありません。多くの教師は、持てる限りの資源を使って最善を尽くしています。多くのケースでは、教師における心の知能の欠落は、家で問題のある生徒、PTAの集まりに参加しない親、要求が高く、なぜ自分の子どもが「低い」成績なのかと詰め寄ってくるような親などに直面する挑戦の不安に更に悪影響を与えてしまいます。
日々、学校ではいじめが起こります。これらの攻撃的な状況のために、誰も教師を訓練してはくれません。問題のあるグループの感情を管理できる経験がある先生もほぼいません。しかし、教師の多くはこのような状況に直面したことがあるのではないでしょうか。
問題のあるグループの感情の管理は、教師自身の感情の管理から始まります。教師は、教室に足を踏み入れた時に、機械になるべきでも、感情すべてを置いてくるべきでもありません。教師は、自分自身の夢と不安で教育をします。
先生が子どもの熱意を失わせてしまったことが原因で、学校を退学していく学生が多くいます。教師は生徒に影響を及ぼすことができます。だから、先生が良い方向に持っていくことができれば、生徒はそこから多くのメリットを得ます。だからこそ、心の知能は教師にとって非常に重要なのです。
「教師は永遠に影響する。その影響がどこまで続くかは本人にもわからない。」
-ヘンリー・アダムズ-
教師の心の知能を改善させるための基本的な技能
心の知能がある人は、5つの基本的な能力を持っています。それを一つ一つ説明するために、これらの技能を次のように体系化したピーター・サロベイの研究が役立ちます。
- 自己認識:自分自身の感情と、思考や行動との関係を知ることで、より自意識が高まる。
- 感情のコントロール:ストレスの多い無秩序な教室環境で起こりえる衝動的反応を防ぐことが出来る。
- やる気を出す能力:教師自身が自分を奮い立たせる方法を理解する。これによって、生徒のことも奮い立たせることができる。
- 共感:生徒とコミュニケーションを取り、より理解する助けになる。授業中に教科書を開かない生徒は、もしかしたら親が離婚協議中であまり構ってもらえていないのかもしれない。
- 社会性・リーダーシップの技能:これによって、権限を失わずに、効果的に生徒と交流できる。
「子どもは乾いていないセメントのようだ。降りかかってきたもので形が変わる。」
-ハイム・G. ギノット-
心の知能によってストレスから守られる
心の知能は、自分自身の行動が生徒の学びと存在に影響を及ぼすストレスの多い状況に立ち向かうことを可能にします。また、問題のあるグループ、生徒の多い教室、やる気の低下などと共にあらわれる新しい挑戦にも対処していくことを可能にします。
私たちは教育を重んじる社会に生きており、理解力のある方法で生徒の問題に対処することが重要です。教師というものは、思っている以上に影響力を持っているのです。
教師でいることは簡単ではありません。たくさんの授業、たくさんの生徒、不安が、教師の日々の生活を定義していきます。
しかし、教師もずっと昔は生徒であったことを忘れてはいけません。自分の問題を抱えて、「誰も理解なんてしてくれない」と思っていたこともあるでしょう。教師から上から目線で見られるのではなく、授業の終わりに話をして、どれだけ自分が特別で先生が支援してくれるということを示してくれたら、どれだけ良かったか考えてみてください。