マーシャ・リネハン:BPDを乗り越え患者から心理士へ

マーシャ・リネハンの興味深く感動的な物語をご紹介します。BPDの改善と対処のための努力に満ちた人生を覗いてみましょう。
マーシャ・リネハン:BPDを乗り越え患者から心理士へ
Sergio De Dios González

によってレビューと承認されています。 心理学者 Sergio De Dios González.

によって書かれた Cristina Roda Rivera

最後の更新: 08 11月, 2023

マーシャ・リネハンは、心理学者、教授、アメリカ人作家、弁証法的行動療法の発案者です。弁証法的行動療法とは、境界性パーソナリティ障害(BPD)の患者のために考えられた治療モデルです。リネハン氏の療法は、異なる行動療法テクニックと、現実の受容など禅や哲学の考えから得た原理を組み合わせています。

しかし、リネハン氏はまだ自身の過去の境界性パーソナリティ障害の烙印を抱えています。腕の火傷や傷は、彼女の歴史の証です。若いころ、リネハン氏はとても深刻な病状を抱えた患者でした。26ヶ月も病院で過ごしています。この経験に関して今語るとき、リネハン氏は「地獄だった」と表現します。

 

空虚感、感情の不安定、他人を満たすニーズは、境界性パーソナリティ障害の患者にとって悪夢です。自分のアイデンティティーが、他人の認識するかに左右されます。捨てられるという激しい恐怖を感じ、その恐怖によって本当に周りの人が遠ざかっていきます。

リネハン氏の境界性パーソナリティ障害との辛い生活

20年間も治療を受けるために専門家を探してきたため、リネハン氏は境界性パーソナリティ障害は克服率が低いことを知っていました。 自殺未遂に及んだこともあります。そのたびに、病院送りになりました。こんなことがあったにも関わらず、リネハン氏は回復したいと願っていました。境界性パーソナリティ障害と戦いつつ、保険会社で仕事を見つけ、大学の夜間クラスを受講し始めます。

苦しむ女性

リネハン氏は、強い信仰心を持っていて、よく教会へ通いました。教会に行く時のことを、このように思い返しています。「ある夜、教会でひざまづいていました。十字架を見つめていたら、チャペル全体が金色に変わったんです。突然何かが自分に向かってやってくるように感じました。その後自分の部屋へ駆け込み、はじめて自分自身に言いました。私自身を愛してる。その日からわたしは変わったんです。

1年の間、彼女は自分の気が沈むような思考を変えることに注力しました。この時、自分の感情的な嵐を理解し受け入れました。自分をよりよく知ることができたため、感情に対処する方法が学べました。もちろん勉学にも励みます。1971年に、シカゴのロヨラ大学から博士号を取得して、自分の病気への理解がより一層深まりました。

 

リネハン氏の経験を変えたのは、そのままの自分を受け入れたことです。受容は、自殺願望を持つ患者を扱うクリニックや研究の中で、患者の治療の中でより重要になってきました。

リネハン氏の治療の提案

リネハン氏は、治療は患者に新しい行動を得ることを可能にして、これまでとは違ったふるまい方を学ぶことだと説得しようとしました。彼女が直面していた問題は、かなり自殺願望が強い人は病気に打ち勝つことに「失敗」してしまうということです。リネハン氏は、新しい理論づけをします。これらの人の姿勢は、苦しみに直面していてもとても論理的であるということです。

リネハン氏は、2つの考え方に重きを置いています。

  • 人生を「こうあるべき」と考えるのではなく、ありのまま受け入れる。
  • 変化して現実を受け入れる必要性。

リネハン氏は、自分の理論を現実世界で実験します。「自殺願望のある人を助けようとしました。彼らは世界で最もみじめな思いをしているからです。彼らは自分が悪いと思っているけど、私にはそうじゃないってわかるんです。私自身が希望もなく苦しみの地獄を切り抜けてきたから理解できるんです。」

リネハン氏は、自殺行為などを含む危険な行動に特徴づけられる境界性パーソナリティ障害を診断された人を選びだしました。これらの人たちと「契約」を交わします。患者は、生きる機会を得るために最後まで治療にコミットするというものです。

学者としてのリネハン氏

リネハン博士は、1977年にアメリカ・カトリック大学からワシントン大学へと学術分野の階段を上がっていきました。1980年代、1990年代には、境界性パーソナリティ障害を持つ自殺のリスクが高い100人の患者の状況を示した研究を行います。患者は毎週弁証法的行動療法(DBT)を受けます。他のセラピーと比べて、弁証法的行動療法を受けた患者は、自殺行為の回数が減り、病院に運ばれることも減りました。

弁証法的行動療法の基本的な目的は、患者が極端な感情や衝動を自分で制御することを学ぶことです。こうすることで、心の状態に左右される不適応挙動を減らすことができます。また、患者は自分の経験、感情、思考、ふるまいを信頼し、受け入れることを学びます。

涙する女性

他の認知行動問題と違って、弁証法的行動療法はマニュアルにのっとったものではなく、セラピー的な原理に基づいています。それぞれの重要性に基づいて作られたセラピーの目標のヒエラルキーによります。次が個人の治療の中での優先順位です。
  • 自殺的な行動を解決する。
  • 姿勢を変えて、セラピーで介入する。
  • 生活の質に影響するふるまいをなくす。
  • 行動スキルを身につけ、幸福を手に入れる。

この構造は、各患者のニーズに沿った柔軟なアプローチです。さらに、変化に治療のフォーカスを置いていることも重要です。

従来の認知行動セラピーは、認知行動的変化による感情的な問題の解決にフォーカスしていました。しかし、リネハン氏は受け入れることと認めることに重きを置いています。このような理想が多くの患者に変化を生み出すと信じています。実際に、彼女のお陰で世界中でたくさんの人の命が救われています。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。