ミームとコロナウイルス:苦境の中でもユーモアを

現在の状況において、ミームを見て笑うことは浅はかな行為であるとは言えません。ユーモアの感覚は今、これまで以上に必要不可欠なのです。ユーモアはストレスを和らげ、同じ境遇や共通の問題に共感することでより一層連帯感が生まれます。この記事では、ミームとコロナウイルスについて詳しく説明していきます。
ミームとコロナウイルス:苦境の中でもユーモアを
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

現在のような状況下でもまだユーモアの感覚を持ち続けるべきだ、というのはあまり理解できないことかもしれません。しかし、人類が笑ったり誰かを笑顔にする能力を失ったらどうなってしまうと思いますか?間違いなく、私たちは悲しみに沈んでしまうでしょう。今私たちがミームとコロナウイルス危機が奇妙なほど相性良く共存する様子を目の当たりにしているのも、これが理由なのです。

オンライン世界、人々が繋がりあった世界ではこういったリソースややり取りが多くの人々の不安を和らげています。私たちがソーシャルネットワークやトークアプリを通して共有し合うミームは、私たちに新鮮な空気を吹き込んでくれるのです。では、現在起こっている事態を前にしてもこのような行いをするのは、果たして浅はかだと言えるでしょうか?

その答えはシンプルに「ノー」です。この行為によって私たちは今起こっていることを甘く見ているわけではありません。私たちはただ生き延びようとしているだけなのです。そしてユーモアはそのための理想的な防御機構なので、このような状況下では一層必要性が増します。しかしもちろん、それはユーモアが敬意を欠いておらず、侮辱や間違った情報あるいは考え方でより痛みを生んでしまわない場合に限ります。

それでは、このトピックについてもっと踏み込んで見ていきましょう。

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ミームとコロナウイルス:危機に対処するために

数日前、アメリカの歌手ニール・ダイアモンドは自身の大ヒット曲『スイート・キャロライン』の別バージョンを発表しました。歌詞を”Wash your hands”に変更したこの曲が、今では全世界に拡散されています。また、ロードアイランド州のプロビデンス市にある教会では、主任司祭が玄関扉の前に「四旬節(復活祭に向けて信徒たちが断食や祈りを行なって精進する期間)の間これほどたくさんのことを諦めねばならないとは予定外だった」と書かれた大きなサインを掲げました。

ソーシャルネットワークを開くたびに、私たちは何かしら面白いネタを見つけることができます。悪いニュースや痛ましい画像に紛れて、ほんの少しのユーモアが顔を覗かせているのです。笑ってしまったからといって、罪悪感を抱く必要はありません。なぜなら笑いは私たちを癒してくれるものだからです。笑いやユーモアの感覚は、脳に快感を届けてくれるメカニズムなのです。

私たちは今、ミームがコロナウイルスの動向をくまなく取り入れていく様子に慣れてきつつあります。しかし私たちは未だに、感染者数や死者数、そして苦悩といった、パンデミックがもたらす影響には慣れることができていません。

私たちの頭脳が、永遠に続く先の見えない不安に囚われた状態になっている中で、ユーモアは心の拠り所となり、一時的ではあれ緊張や恐怖を和らげる手段になってくれます。その効果は長続きするものではありませんが、それでも必要不可欠です。

苦境におけるユーモア:誰しもが使えるリソース

コロナウイルスとミームの現象は最近始まったばかりのものですが、私たちは過去にも似たような状況を経験してきました。

第一次・第二次世界大戦中には、人々は当時の状況に関する皮肉のこもった声明や絵を壁に描き、主に敵を嘲笑するために使用しました。この時代の新聞に掲載されたマンガは、今日のミームと同等のものだったのです。

しかし、こういったユーモアの目的は事態を過小評価するためでは決してありませんでした。ユーモアは救命ボートのようなものであり、生き残ろうとする戦士や人々全員を勇気づける存在だったのです。人類がどう考えてきたかに関わらず、人間は最も困難な状況にあってもユーモアのセンスを活用できるように”設計”されているのです。

カナダにあるブロック大学のアン・ギルメッテ博士が、この現象を調査しています。彼女は、テレビやソーシャルネットワーク、あるいは友人間で共有される笑いやジョーク、ユーモアがどうコーピングメカニズムとして機能するかを示しました。これらはストレスや不安、恐怖を軽減し、現在のような苦しい条件下で不可欠なリソースとして働くのです。

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ミームとコロナウイルス:独創性があらゆる人の役に立つ時

コロナウイルスを巡るミームの現象は、私たちを笑わせてくれるというシンプルな(そして必然的な)事実以上の効果をもたらしてくれます。私たちがミームを見て良い気分になる理由の一つは、ある意味で我々全員がその絵や単語の中に自分自身の姿を見るからです。

ミームの力は、ほんの数秒間のうちに私たちの関心を引き、私たちの方もすぐにその意味を理解できるという点でしょう。ミームが示し、伝えるものは私たちに深く関連しています。なぜなら、全員がミームの象徴している状況の一部だからです。

人類全員が同じ状況にあるのだ、と知ることは安堵や嬉しさに繋がります誰もがスーパーマーケットで山のような量のトイレットペーパーを運ぶ人々を目にしたことがあるはずですし、普段とは異なる、ヒーローのような感覚や責任感を持って買い物に出かける心情は全員に共通するはずです。

中には、他の人々よりも感染の恐怖を強く感じている人もいるでしょう。そして、今ではマスクが貴重で羨望の眼差しを集める商品となっています。本当は決して日常生活の必須品になって欲しくはなかったものですよね。

誰もが闇雲に生きる今、ユーモアがバランスを戻させ、私たちを連帯させてくれます。したがって、敬意を重んじた、誤った情報や有害な情報を伝えるものではない限り、ユーモアは歓迎すべきものなのです。共有する価値のある、発想力の賜物と言えるでしょう。


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  • Guilmette, A. M. (2008). Review of The psychology of humor: An integrative approach. Canadian Psychology/Psychologie Canadienne49(3), 267–268. https://doi.org/10.1037/a0012776

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