最もよく見られる依存的行動嗜好とは?
現代社会で、「依存症」という言葉は薬物乱用と結び付けられることが多いですよね。しかし、依存的行動嗜好も同じくらい重要で、しっかりと考えられるべきものです。驚くべきことに、このことについて話題にする人はあまり多くありません。ですが、依存的行動にも、薬物依存と同じ行動パターンが見られる傾向があるのです。
多くの場合、人は現実から逃れようとして中毒に陥ります。しかし時には特定の物質を摂取することではそれが叶わないこともあります。例えば、1日何時間も衝動的にインターネットを使用しその他のことをしようとしない人は、依存的になっているかもしれません。
さらに、心理学者はそれが本当に依存症であるかを見極める基準を構築する必要があります。そのために、いくつかのチェック項目があります。まず、特定の物事に1日何時間費やすかということです。次に、それが日常生活に支障をきたすかどうかという点です。そして、大きな不快感や苦悩を抱えているかどうかもチェックします。
依存的行動嗜好:薬物ではない何かに「捉えられている」
もし、あなたがランニングは悪い事で問題のある行動だと言ったら、相手はおそらく驚き疑問を持つことでしょう。ランニングが依存的になりえると説得するためには、ランニングについてうまく説明する必要があります。
心理療法士は、巧みな評価を行った上で、患者が依存症になっているかどうか、どの程度の依存症なのかを判断します。一方で、依存症であるか害のある行動であるかを区別することが社会において難しいのであれば、あなたが依存症を患っているのか、単に一つのことを行っているだけなのかを区別するのはさらに難しいでしょう。
依存的行動嗜好を定義する主な特性は次の通りです。
- 依存的行動嗜好は心地よく、精神的依存を生み、コントロールを失わせる、繰り返しの行動です(少なくとも、第一ステージではそうです)。
- 依存症の問題は、行為自体(仕事など)にあるのではなく、行動と自分をどう関連付けるかによります。
- その後どのような影響が出るか(家族、健康を失うなど)に関わらず、ある物事を行わなければならないと感じます。
- DSMおよびICDの精神障害分類には含まれていません(ギャンブル障害を除く)
この定義によると、依存の定義はより幅広く、新たな現実へに適応しています。例えば、新しいテクノロジーや座りがちの生活も、テクノロジー依存症の原因になりえます。信じられないかもしれませんが、これも薬物中毒と同じくらいの問題になるのです。
依存的行動嗜好:ネット中毒
今日の社会の特性を表すとすれば、インターネットの多用です。実際、インターネットは欠かせないもので、ネットなしに、銀行振込、メール、役所手続き、テレワークなどは難しいですよね。
これらの使い方は、日々のインターネット使用を必要で最適な範囲では正当化しますが、ご存知の通り、インターネットの利用はこれを超越しています。例えば、娯楽でみると、ソーシャルネットワーク、オンラインゲーム、フォーラム、オンラインチャットなどがあります。
では、これらの使用はどこから依存的になるのでしょう?ネット中毒の特性にはどのようなものがあるでしょうか?
- 過剰な使用:休憩なしで最高20時間のセッションを週40~80時間行う。
- 依存的行動嗜好を隠す。
- ずっと続けるために、なんらかの刺激を用いる。
- 睡眠パターンの完全な変容。
- 過剰な疲労。
- 学業あるいは仕事への支障。
- 健康問題(手根管症候群など)
- 一般的に、依存症はインターネットの過剰な利用の引き金となる特定のアプリやサイトと関連している。
これらの特性からお分かりいただけるように、ネット中毒には、中毒的パターンや明確な症状があります。しかし、依存的になっているためにインターネットを使っているのか、仕事のためにインターネットを使っているのかっ区別することが難しい場合もあります。これをより理解するのに、上に挙げた特性が役立ちます。
依存的行動嗜好:食への依存や過食
摂食問題といえば、まず拒食症や過食症を思い浮かべるでしょう。一方で、食べることや食に対し依存的になっている人は、一般的に、自分の体型や体重をあまり気にしていません。それにもかかわらず、依存とされる要素がそろっています。
主な特徴を見ていきましょう。
- 貪欲に食べる。
- お腹が空いていなくても食べる。
- 不快になるほどお腹がいっぱいになるまで食べ続ける。
- 食べ過ぎた後、罪悪感を抱く。
- 長く続く不安やうつ状態の結果として過食になることが多く、精神面も重要。
食べ物に対する依存は、摂食障害とは異なる特徴があります。最も大きな課題の一つは、適切な診断の仕方を理解することです。
運動依存
最初にお話した通り、ランニングや運動などの行為は、悪いものと考えられる行動とは程遠いものです。しかし、他の活動の回避であるかのような運動依存も存在します。本質的には、生活の他の面で見つけることのできない快楽を得るために衝動的に運動します。
運動依存の主な特徴を見ていきましょう。
- 運動をすることに関する過剰で強迫的な思考。
- ケガや病気にもかかわらず、1日1回以上運動する。
- 運動をしないと、禁断症状が出る。
買い物、仕事、セックス依存
診断マニュアルに含まれることはほとんどない、よく見られる依存的行動嗜好は他にもあります。薬物中毒と同じように問題となり、個人の生活に同様の障害が現れる原因となります。
買い物中毒
買い物中毒は、一般的に30~40歳代の女性に見られます。18~20歳で発症することが多く、持続的です。興味深いことに、うつ、物質的依存、摂食障害、不安と深く関係しています。
買い物に行く前は、気分が良くないことが多く、その後買うことへの期待により興奮が高まります。コントロールができなくなり、余計なものをたくさん買い、後で後悔します。このサイクルは、本人の不快感が鎮まるまで続きます。
仕事中毒
仕事量に関する認知的歪みに加え、生産的でありたいというニーズがあり、この思考が繰り返されます。
例えば、長期休暇や休みの日に仕事ができないと、苛立ち、不安を抱き、不機嫌になります。
セックス依存
セックスをしたくなくても、しなければならないと感じ、衝動的な性的行動が見られます。求めていないのに抑えることのできない行動なのです。
大人との合意のあるセックスや性的倒錯行動といった行動を通してのみ、個人的、精神的満足を得ることができます。
満足の源としての行動
これらの依存的行動嗜好の始まりは、その行為が満足できる主な、そして唯一の源となることが関係します。これらの行為自体は病的ではありません。実際、社会的に認められ、価値あるものだったりすることもあるのです。
そのため、次のような臨床特徴がある時、依存的行動嗜好だと考えられるということを覚えておきましょう。行動に対するコントロールの喪失、精神的依存や渇望、我慢しなければならない状態、禁断症状、害のある深刻な影響などに注意しましょう。
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- CEDE (2012): Psicología clínica. CEDE. Madrid.
- Graña, J.L. (1994). Conductas adictivas. Teoría, evaluación y tratamiento. Debate. Madrid.