病的賭博をしてしまう人と認知の歪み

06 2月, 2020
今回の記事では、病的ギャンブラーがよく陥る、認知の歪みの種類とその治療法について紹介します。

認知の歪みに対しては、よく認知治療が必要であるとされています。また、病的な賭博者のような精神障害を取り扱う場合は、より認知治療が大切となります。多くの場合、認知の歪みが症状の原因または要因であることがほとんどだからです。

ギャンブルは、人類の歴史の中でも最も前史的な行動の一つと言えるでしょう。歴史書に目を通せば、ギャンブルにふけっていた歴史上の人物の名前をあげることができます。クラディウス皇帝、フョードル・ドストエフスキー、ジャコモ・カサノヴァなどはその一例です。

しかし、1980年代になり、ギャンブルが深刻な問題に繋がるということがわかって初めて医療の注目を集めるようになりました。そして、精神障害の診断と統計マニュアルに、病例として追加されたのです。

診断

病的ギャンブラーとは賭博のことを差すので、テレビゲームはこの分野に入りません。しかし、だからと言ってテレビゲームをする人たちが中毒的症状に陥らないということではありません。

診断と統計マニュアルによる病的賭博者は、ギャンブルに対しての抑制ができない人物で、簡単に見分けることができます。そして依存した関係を築いてしまうことからもわかります。結果が伴わないと知りながらも、賭け事がやめられなくなるのです。

現在、第5版診断と統計マニュアルでは、病的賭博者は衝動抑制障害の分野から中毒障害の分野へと移されました。これは多くの症状が中毒障害の特徴を持っているためです。

ギャンブルへの欲求に無駄に抵抗しようとすると、自分の目標、または家族や仕事での目標なども持てなくなってしまうのです。

病的賭博者の認知的偏り

病的賭博 認知の歪み

病的賭博者は、特定の不合理な考えや認知の歪みを抱えていることがあり、賭博への中毒が進行してしまいます。

認知の歪みとは、情報を処理する過程で何らかの偏りが働くことにより起こります。程度は違いますが、これは全ての人に言えることで、これ自体が病的であるこいうことはありません。しかしこの度合いが高く前に進むことができない状態であれば、修正が必要です。病的賭博者に見られる歪みには以下のようなものがあります。

  • コントロールの錯覚:これはゲームの結果が可能性ではなく行動によるものであるという考えです。自分がゲームの結果をコントロールすることができると信じ込んでしまうのです。例えば、病的賭博者は「確実に勝てる方法を知っている」と考えます。この偏った考えを信じ、賭博を続けてしまいます。
  • 起こった出来事への執着:これは、損失を無視して儲けのみを見て成功していると思い込むことです。ギャンブルは、勝つよりも負ける方がはるかに多いものです。しかし、この偏りにより中毒から抜け出せなくなってしまいます。
  • 迷信や錯覚による相互性:これは偶然起こる特定の出来事や行動と、賞金との関係性を信じ込むことです。何かすることで勝つ可能性が高まるといった考えを信じ込んでしまいます。これはなにか特定の儀式の際にお守りを身につけるといった行動とよく似ています。明らかにギャンブルで勝ち負けをコントロールすることはできませんから、このような考えは意味をなしません。例には「サイコロを振る前にサイコロにキスをすれば勝つことができる」といったような考えがあります。
  • 機械の化身:賭博者の中には、ゲームの機械や、ゲームに使用する物を人物として考える人もいます。例えば、「この機械は私を騙しているんだ。迷わせようとしている。でも私の方が偉いからそうはさせないぞ」などと思い込む賭博者もいます。

病的賭博者を助けるには

病的賭博者の認知の歪みを克服するための第一歩は、その歪みに気づくことにあります。認知の偏りは、時間をかけて仕組まれたものであり、なかなか気づくことはできません。1つの方法に、賭博者がギャンブルする欲求にかられた時に、何らかの自己管理などの書類を書くように勧めるといった方法があります。もし全ての情報を正確に埋めることができていれば、そこで自分の歪みに気づくことができます。

それには、賭博者に多い偏りをあらかじめ紹介しておき、自分にはどの偏りがあると思うのか聞いてみると良いでしょう、すると、そのような考えの偏りによって自分もギャンブルをやめることができないのだと理解することができるでしょう。

偏りを修正するには、目標と現実に基づく考えを交換し質問してみることが大切です。これは、ソクラテス式問答法によって達成することができ、発見を導くことができるでしょう。ここで、ある特定の考えの基本になっている証拠や根拠を自分で考えてみることが重要です。例えば「自分の方法は絶対に負けないと信じているのはどうしてか?勝ち負けは本当に自分次第なのか?その根拠はなにか?」などです。

病的賭博者についてのまとめ

ソクラテス問答法で自分に問いかけ、間違った考えに気づいた後は、今までの考えを変えることが以前に比べると容易になります。そのためには質問をもう一度見直し、その一つ一つに合理的に答える必要があります。その後はその答えがスローガンのようになるでしょう。例えば、「無作為に動く機械をコントロールすることはできない」「何回か勝ったけれど、データによるとそれ以上に負けている。だから勝ちで負けを補うことはできない」などです。

練習することで、賭博者も無駄な自分の行動に徐々に気づくことができます。自身の問題が、さらなる問題を作り上げるに過ぎないということに気づくでしょう。最終的にはギャンブルに対する興味がなくなり、賭博しなくあることもあります。

  • Mañoso, V., Labrador, F.J., y Fernández-Alba, A. (2004). Tipo de distorsiones cognitivas durante el juego en jugadores patológicos y no jugadores. Psicothema: Vol. 16, nº 4, pp. 576-581