マーダーアビリア:殺人事件関連収集品について
クエンティン・タランティーノ監督の最新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に登場したことで、殺人カルト集団を率いたチャールズ・マンソンが、再び人々の関心を得ることとなりました。
彼の起こした事件はハリウッドを揺るがす事件であり、今日まで一部の人を魅了しているのも事実です。
チャールズ・マンソンの信奉者の男女4が女優のシャロン・テイトを殺したこの事件においても、この殺人を取り巻く状況に対して病的な魅力を感じた人が存在するという共通の分母を持つ無数の理論へとつながります。
またシャロン・テイトの事件が、今回の主題であるマーダーアビリアの起源だという説があります。
幸いなことに、タランティーノ監督はこれまでの作品以上に素晴らしく進化しており、彼の頭の中で実際の殺人事件をひっくり返しました。タランティーノ監督は、殺人事件の前の若い女優の喜びと才能にカメラの焦点を合わせ、その視点から悲劇的な殺人の犠牲者だけでなく、快活で才能のある女性としてのシャロン・テイトの記憶を人々の中に回復させることに成功したのです。
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マーダーアビリアとは?
日本語では殺人事件関連収集品と訳されるマーダーアビリアは、大量殺人犯や連続殺人犯に何らかの形で関連する品を収集することを指します。
殺人犯に関するドキュメンタリー、映画、テレビ番組は無数にあり、人々はそれらに飽きることは決してないだけでなく、一部の熱狂的なファンは有名な犯罪者を崇拝しています。殺人犯や残虐な事件の持つ不気味さに魅了される人がいるだけでなく、殺人(マーダー)という言葉に関連したビジネスや業界も存在します、
被害者とその家族にとって苦しみの原因となる加害者の持ち物にお金を払う人がいるという事実は、病気としか例えようのないくらい気分の悪いことでしょう。資本主義には闇の部分が存在するのも事実ですが、本来はレイプ事件や殺人事件に関連した物事でお金を稼ぐべきではありません。
売り手は、言論の自由と市場の自由に関する権利を行使していると主張してその身を守ります。彼らがマーダーアビリアを売るのは、需要があるからです。殺人に関するこの不気味なビジネスには、連続殺人犯や残虐な殺人鬼の中からスターを生み出しているという闇があります。
犠牲者(特にレイプや殺人事件の場合)は事実上匿名のままですが、次世代に向けた恐怖の物語のようです。
昼は平凡な芸術家、夜は殺人者
アメリカで最も有名な犯罪者達に関連する「芸術」は、常軌を逸したものであるか、ただ悪いものである傾向があります。彼らの作品は、創造的な輝きや独創性が顕著に欠如しています。
世間が注目すべき点は、モンスターのような殺人鬼が、人を退屈にさせるような芸術作品を創るという点です。真実は小説より奇なりと言われますが、本物は実は見劣りする傾向があります。
ジョン・ウェイン・ガシーの絵画は、彼の犯した罪がなければ、全く価値のない芸術作品であり、美しいからと買う人はいないでしょう。
殺人という概念は、聖人の残した遺物から公的な処刑の恐怖に至るまで、人々の宗教的な死への欲望に似ています。聖人が処刑された時、群衆は聖人の遺体だけでなく聖衣も切望したといいます。
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マーダーアビリアの始まりは?
このタイプの「芸術」と収集は、一般人と悪名高い情け容赦のない反社会的殺人者との間の橋のような存在となっている可能性があります。
芸術は意識の加工品であり、通常は短命ですが、そこから抑圧された題材や人生の闇を垣間見ることができます。言い換えれば、芸術とは芸術家とそれを鑑賞する人の間の一種の鏡となります。
この理論は、殺人者の心の一部は非暴力的な手段を通じて表現できるという仮定に基づく視点から成り立っています。芸術、映画、ドキュメンタリーは、視聴者を犯罪や暴力に触れさせ、彼らの好奇心を呼び覚ますだけでなく逆に落ち着かせる働きがあります。
これらの手法は、視聴者の持つ一般的な好奇心からある特定の殺人者に対しする熱狂まで、様々な気持ちを刺激します。
殺人犯の持ち物を購入する理由
コレクターと呼ばれる人たちは、収集したいという気持ちとの明らかな相関性を引き起こし、自分が望む精神状態へと繋げます。この精神状態は、暴力的な事件やそれを伝えるニュースを非人道的な娯楽と考える人には同調しやすいでしょう。
コレクターはまた、本質主義的な理論と「魅力的」な名声という概念によってその収集を動機づけるかもしれません。コレクターは、有名人の持ち物を手に入れたら、有名人の質(善悪)が自分にも「感染」することを期待しています。さらに、持ち物を所有することで、有名人への特定のアクセスが与えられたように感じます。
収集家が購入するもの
コレクターが殺人犯に魅了されることの危険性は、殺人犯の生活から抽出された要素である持ち物に対して、同情などの感情を持つ倒錯感です。コレクターと呼ばれる人々は、髪の束から犯人が描いた絵まで、様々なものを芸術品と考えて何でも購入しようとします。
これまでに販売された中で高価なマーダーアビリアは、BTKキラーまたはBTK 絞殺魔として知られるアメリカのデニス・レイダーの封筒、アルバート・フィッシュのサイン、クレイ兄弟の写真、ジャック・ルビーの拳銃、テッド・バンディのクリスマスカード、チャールズ・マンソンの髪、エド・ゲインの車であるフォードセダン、ジョン・ウェインガシーの絵などがあります。
セオドア・カジンスキーが1996年に逮捕されたときに残ったものは、最も有名なマーダーアビリア・オークションで売却されました。2011年にオンラインで販売されたアイテムには、カジンスキーのパーカー、サングラス、スミスコロナ製タイプライター、叔母であるフリーダからの手紙、手書きの声明などが含まれます。
FBIが、テッド・カジンスキーを「大学・航空機爆弾犯」の頭字語であるユナボム(UNABOM)というコードネームで呼んでいたことから、メディアはカジンスキーのことをユナボマー(Unabomber)と呼んでいました。
テッド・カジンスキーは他の殺人犯と同じ殺人者ですが、彼の知性とマニフェストの議論は、血に飢えた殺人者の持ち物よりも、よりコレクターを魅了していると言われています。
多くの収集家は女性である
レイプ、誘拐、殺人事件などの語に興味を持つ女性の数は、男性よりも多いと言われており、男性は戦争や戦いなどの暴力に関する話に興味を持ちます。
また女性は、難しい質問を避けた内容の本よりも、犯罪に関する正確な詳細をより多く伝える本を好むと考えられています。この理由の一つは、統計的に女性はレイプ被害にあいやすく、男性は暴力被害に遭いやすいからだと考えられます。
また、女性は、難しい質問を避ける本よりも犯罪に関する多くの正確な詳細を備えた本を好む傾向があり、女性の方が男性と比べて、連続殺人犯の「ファン」になる可能性が高い傾向があります。
一部の研究者は、過度または極度に暴力的な男性に執着する女性が存在するのは、先祖から続く時代錯誤的な進化の戦略によるものだと主張しています。
暴力的であるという事実は、最も価値のある強い男性の兆候と捉えるからだと考えられています。
また、過去に受けた心の傷が癒されていない男性に女性が惹かれる傾向があるのは、その男性の傷を癒すのを女性が助けることができるからだという別の理論があります。
昔から、野獣を従順にさせたり虐待された少年を癒すのは女性だと考えられていました。