なぜ別れたいのに別れられないのか
誰かと付き合っているとき、そのまま付き合い続けるべきか別れるべきかを考え始めるという可能性が常に伴います。不快感や悲しみ、孤独、空虚感など全てに耐えられなくなってしまうことがあるからです。ではなぜ別れたいのに別れられないのでしょうか?
さまざまな状況を別の視点から見てみると、おそらく自分で自分にどれほどのダメージを与えているかに気づくことができるでしょう。それは物事に対する見方を変えるとても良いチャンスです。友情や家族など、そのほかの人間関係においてでも、何かに執着し、(自分も含めて)周りのもの全てが粉々になっていくのを見るというのは、別の角度から見た時には不必要なことに思えるでしょう。
その視点からは全てを明確に見ることができ、相手も同じように周りが見えます。しかし、本当に多くの人が、まるで何事もなかったかのように元の関係に戻るのです。苦しみや気持ちを傷つけること、常に批判していたことなどがなかったかのように振舞うのです。
幸せではないのに、そんなものだと思って別れないという人がたくさんいます。少なくとも頭の中には、最初からやめることは選択肢にはありません。そうすることは失敗を認めることになるからです。
かつては別れることが少なかった
こういったことを何度も聞いたことがあるのではないでしょうか。たいていの場合は年上の人ですが、同年代の人でもこういうことを言う人もいます。しかし振り返ってみると、幸せではないのに別れないでいるということは、偉大な功績のように扱われてきたように思われます。まるで障害物のある競技場を通過できたことに対して、メダルをもらえるような感じです。このレースでは、長く別れないでいられた人が優勝です。
最近は、別居や離婚の数が増えてきました。多くの人が、関係が上手くいっていないならさよならをするということに躊躇しなくなっているのです。しかしそれでも未だに別れないでいることが良いことだと考えている人もたくさんいるのです。それは恋愛についての私たちの考え方のせいかもしれません。不幸せや不快感に耐えることを、そこに愛があることの証明のように考えています。こういった考えは未だに多くの人の思考回路の中に根強く残っているようなのです。そういう人は、時が経てば問題も解決するだろうと思っています。ですが、一緒にいるために本当に必要なのは、コミットメントや、お互いの気持ち、そして互いの幸福のために成長していきたいという気持ちなのです。
「別れない」とはどういうこと?
これはあいまいな言い方なので、ここでの意味を明確にしようと思います。これは努力をしなければならなかったり、関係に問題が生じたりしているときのことではありません。これは本来耐えなければならないことではないことに耐えている状態のことです。ですので、その状況を見分けられるようになり、別れないように努力をすることで、上手く行く状況もあります。
- 理解不足。きちんとしたコミュニケーションの取り方がわからなかったり、話を聞かなかったり、誠実でなかったりすることが、誤解や混乱したメッセージにつながってしまうのです。お互いの役割を知ったり、カップルセラピーを受けることなどでこれに対処することができます。
- 性的な問題。情熱の欠如、早漏、またはその他の性的な問題が終わりを意味するわけではありません。これらすべてには解決法がありますが、セックスセラピーを受けるのがベストというケースもあります。
これらはほんの一例ですが、どんな恋愛においても起こりうる問題です。それが別れに必ずつながるわけではなく、努力や外部からの助けによって問題を解決することができます。しかし問題の中には、できるだけ早く別れることがあなたにとって一番いいというものもあります。
有害な恋愛にとどまること
情熱のない、あるいはコミュニケーションがうまくとれていない恋愛は、あなたを苦しめるものからは程遠いものです。こういったものは乗り越えることができ、なんらかの行動をとり、努力をすればいいというだけです。しかし事態が悪化する前に離れることが最善の選択肢であるということもあります。それがあなたの自由や幸せを妨害している場合は特にそうです。
明らかにその人と一緒にいない方が自分は幸せだという瞬間があるのにも関わらず、別れられないと言うことがあります。これは不貞や虐待、心理操作や尊重の欠如などの状況が含まれることが多くあります。こういったタイプの関係は、あなたの自尊心や尊厳を踏みにじるようなことになる高いリスクをはらんでいます。しかしそれでも、すべてが崩壊しているのにあなたはそれをつなぎとめようとしているのです。
相手があなたのことをなじり、操作し、尊重してくれなくても、その人と一緒にいなければならないと思う時もあります。それらすべてを流して、正当化してしまうのです。なぜなら、あなたは相手のことを愛していたり、相手に依存していたり、単にそれ以上に良い選択肢がないからかもしれません。
別れられない理由
そういった状況から抜け出せないのは、それが愛だと思っているからという場合もあります。ある有名な歌のように、「愛は痛むもの」だという考えを信じ始めることさえあるかもしれません。しかしそれは愛ではないのです。愛とは何の関係もありません。
あなたの恋愛が拷問のようで、エネルギーを吸いとられ、常に苦しめられているなら、それは本当の愛だと思いますか?それとも実際は相手に自分を傷つけることを許しているということなのでしょうか?
通常の心理状態にある人は、痛みを探し求めようとはしません。誤って手を火に近づけすぎたら、すぐに手をひっこめますよね。しかし、燃えるような辛い関係にいると、なぜかそこにとどまり続けてしまうのです。
愛についての考え方を見直し、その見方を変え、自尊心を高めようとすることが本当に大切です。これが愛が本当は何なのかについての誤解をするのではなく、健全な恋愛をするのに最善の方法なのです。
ここで、本気で考えてみてください。愛という名のもとに、これまでどんなことに耐えてきましたか?