脳をクールダウンしてくれるあくびの効果
人は1日におよそ28回あくびをすると科学者は言います。必要なさそうで、コントロール不能なあくびに、私達は毎日約4分を費やしています。胎児が5か月の頃からあくびは始まり、死ぬ数日前まで続きます。あくびは失礼にあたる場面もありますが、健康に必要なものです。脳をクールダウンするだけでなく、あくびの機能は他にもあります。
あくびは疲れている時、退屈な時に出ますが、これがあくびのすべてではありません。胎児、そして脊椎動物(魚類、鳥類、爬虫類、哺乳類)もあくびをします。
多くの文化で、人前であくびをするのは失礼だとされています。しかし、きちんとしつけをされた人でも、あくびをします。また、あくびは伝染します。近くであくびをしている人を見ただけで、同じようにあくびが出ます。
あくびは脳の健康に必要なものです。あくびは一生関わる脳の適切な発達や機能に役立ちます。
脳の発達を助ける胎児のあくび
先にも言ったように、生まれる前の赤ちゃんもあくびをします。およそ20週であくびは始まり、その後ずっと続きます。
もちろん、おなかの中の赤ちゃんは退屈したり、疲れたためにあくびをするわけではありません。成長のこの段階では、あくびが順序だった脳の発達を促します。あくびは、筋肉の動きを調整する末梢神経や脳の適切な発達のサインだと多くの研究で示されています。
胎児のあくびは非常に重要で、あくびがないと、脳の機能不全の可能性さえあるのです。
誕生後、脳は1日数回あくびを必要とします。
あくびは注意を働かせる
あくびの機能は脳に酸素を送ることだと思っている人が多くいます。これは、理屈に合っていません。人は口や鼻を通じて、常に呼吸をしており、脳の酸素濃度とは関係ありません。
脳細胞に酸素を供給するのは、主に、脳に集まる血管です。もし、あくびが脳に酸素を送っているのであれば、息を止めた時もっとあくびが出るはずです。また、酸素が薄い場所でもあくびが出るはずですよね。
つまり、この定説は正しくないようです。他の研究では、あくびは体を省エネモードから注意モードに変えるとしているものもあります。ワルシンスキ(2014)によると、あくびは、脳内の液体の量を増やし、より複雑なタスクに必要とされる集中力や注意力を高めるそうです。言い換えると、あくびはタスクを切り替え、集中するのに役立つのです。
あくびは、体温を調整し、脳をクールダウンするという研究もあります。
あくびは脳をクールダウンする
アルバニ―大学が開発したあくびの機能に関する実験をしてみましょう。まず、人に囲まれた場所であくびができるようにします。
額に保冷剤を当ててください。冷たすぎで、肌を傷めないようにしましょう。額に保冷剤を当てるのは、体温を下げるのに役立つ汗腺が他のパーツより多いためです。
額に保冷剤を当てている時、周りの人があくびをしても、あくびがうつる確率が通常の1/5になります。額を温めた時は変わりません。
この実験で、額を冷やすと脳が冷え、あくびが伝染しにくくなることが分かります。また、鼻で深く呼吸することでも、冷却を促すことができます。ぜひ試してみてください。
あくびをすると通気量が増え、脳の温度が下がります。また、睡眠不足や激しい精神活動の後の精神疲労は脳の温度を上昇させます。起きた時、寝る時、精神的に負担がかかることを長時間続けた時にあくびが増えるのは、そのためなのです。時と場合によりあくびは失礼だと思われがちですが、これは普通で必要不可欠な活動なのです。
いつもよりあくびが出るのは、脳の病気のサインかも
ここまでは、あくびは良いことであるとお話してきました。しかし、あくびが多すぎるのは、病気のサインかもしれません。多すぎるとは、どのくらいでしょう?例えば15分に3回のあくびが続く場合です。
脳卒中、多発性硬化症、パーキンソン病、片頭痛、脳腫瘍、頭蓋内圧亢進症、慢性不眠、てんかんの患者はあくびが多いです。パーキンソン病は合、継続的、過剰なあくびが症状のひとつにあげられます。
1日だけ、いつもよりあくびが出るのは心配いりません。脳が疲れており、冷却を必要としているのかもしれません。あくびは異常ではありません。
抗うつ剤、オピオイド、精神安定剤などの服薬により、あくびが多くなることがあります。また、カフェインの摂りすぎにも注意が必要です。
これを読んで、あくびが出たのであれば、それは良いことです!興味を持ち、脳が活性化したことを意味します。あくびをして脳をまたクールダウンしてあげましょう!