オセロ症候群ーコントロールできない病的嫉妬
恋愛関係において、嫉妬はよくあるものです。問題は、それがコントロールできず、継続的で不健康な場合です。こうなると、嫉妬はもはや懸念ではなく、オセロ症候群と呼ばれるものにもなりうる本当の問題です。
オセロ症候群は、シェークスピアの悲劇「オセロ:ヴェニスのムーア人」から名前が付けられました。妄想的な嫉妬として言及する心理学者もいます。悲劇オセロの主人公は、妻デスデモーナの不貞行為を疑います。そして、自分の考えに確信をもち、彼女を殺し、自殺します。
オセロのように、パートナーに対する不信感や激しく強迫観念的な疑いのサイクルにはまる人がいます。事実に基づいたものはなく、動機づけるものもなく、ただ自身の想像でしかありません。このようなタイプの人は
、オセロ症候群に苦しむ傾向にあります。次に、オセロ症候群の特徴、考えられる原因、治療について詳しく見ていきましょう。
オセロ症候群の特徴
DSM-5によると、オセロ症候群は妄想性障害―嫉妬型です。これは、パートナーが不貞行為を行っているのではないかという思いを後押しする病的または異常な嫉妬が基礎軸であることを意味します。
オセロ症候群の人は、完全に非合理的に振舞います。つまり、自分の疑いに関する証拠があるかないかを考えることなく、自分が信じたいと思っているものを見るのです。最大の関心は、パートナーの証拠を徹底的に探すことです。携帯やパソコンを調べ、日課に関して常に質問するでしょう。妄想により、不貞行為以降、パートナーの習慣が変わったと信じることもあるでしょう。
コントロール不能で不合理な嫉妬の罠に本人をはめて、重大な結果を招くことがあるのがオセロ症候群です。パートナーから裏切られ、自分は悪だくみの被害者であるかのように思い込む人もいます。
また、周りの人達にも嫉妬を助長するのに一役買う人がいます。例えば、オセロに出てくるイアーゴーがこれで、今日では様々なコミュニケーション方法が更に油を注ぎます。疑いを確証づけるものであれば、何でも重要になるのです。
オセロ症候群であるかどうかは、次の状態によって見極めることができます。
- 常に尋問し、パートナーの日常をチェックする。
- 何の証明もなく、他に相手がいると突然疑う。
- 認識に欠けるため、嫉妬をコントロールすることができない。
- 衝動をコントロールできない。
- パートナーの行動に関する誤った解釈や疑いを確証づけるための理由を常に探している。
オセロ症候群の原因
現在まで、オセロ症候群の原因を完全に説明する研究は、まだありません。しかし、この症状を酷くする要因はたくさんあります。その中には、アルコール依存症、統合失調症、中毒も含まれます。
アルツハイマーやパーキンソンなどの神経変性疾患とオセロ症候群が関係しているという研究結果もあります。専門家の中には、脳の損傷とオセロ症候群に何らかの関係があるという人もいます。それは、オセロ症候群の原因が生物学的なものである可能性を意味します。
これは、単なる行動の問題ではありません。自尊心に関連する感情的な側面についても忘れてはいけません。オセロ症候群の原因を完全に理解するためには、まだまだ研究が必要とされています。
病的嫉妬の治療は?
病的嫉妬は、専門家の助けを得ることで治療が可能です。助けを得ることで、嫉妬をコントロールし、個人の落ち着きを取り戻す方法を学ぶことができます。さらに、人間関係の調和を取り戻すことも可能です。そのためには、嫉妬の元を、本人が徹底的に査定することが重要です。その状態の程度を認識し、この症状がどのような結果をもたらしているのかを理解することも大切です。
オセロ症候群にもっともよく使われ、効果的なのは、認知行動療法です。心理士は、一方で露見や反応の予防など行動的テクニックを使い、もう一方の認知側面では、認知の再構成を行います。また、重篤な場合、衝動をコントロールするための向精神薬を勧められることもあります。
最後に、カップルセラピーも重要です。それは、オセロ症候群の人の嫉妬が、本人の過去に関係していることがあるためです。
お分かりいただけたように、オセロ症候群は、重大な状態を引き起こしかねない病気です。そのため、できるだけ早く対処されるべきであり、専門家に相談しましょう。