ロバート・ヘアのサイコパシーチェックリスト
サイコパシーチェックリスト、PCL-Rは、その人に精神病質があるかを識別する国際的なツールです。これはとりわけ囚人に使われておりますが、臨床や法医学の分野でも有効です。愛着、相互関係、行動問題などの情報を得ることができる信頼性、有効性のある方法なのです。
これをデザインした人が特徴的であることから、もっとも興味深い臨床的ツールの一つになっているのでしょう。作成したのは、ロバート・ヘアで、彼は心理学博士で教授です。犯罪研究の分野で今も活躍しています。彼の精神病理学や精神生理学における功績は素晴らしいものです。
サイコパシーチェックリストの作成にあたり、彼は暴力行為で有罪判決を受けた人に関する価値ある情報を提供するのに使えるツールをデザインしようと試みました。これにまもなく成功したのには、2つの理由があります。1つ目は、このツールが非常にシンプルで適用しやすいことです。20の項目(質問)があり、評定者は個人のプロフィールと精神病質の原型を比較することができます。
ロバート・ヘアのサイコパシーテストが広く認められている理由の2つ目は、犯罪者のみが対象ではないところです。
暴力的傾向や男性、女性、思春期の若者などの性的攻撃性を評価するシンプルで有効なツールとして、臨床の場で使われるようになっているのです。つまり、(多少のエラーは伴うものの)その人が犯罪行為を行う可能性を評価できるということです。
これについて詳しく見ていきましょう。
サイコパシーチェックリスト:目的・適用・信頼性
精神病的人格に関する本に、ロバート・ヘアの著書『診断名サイコパス 身近にひそむ異常人格者たち』があります。この本の中では、著者のこの分野の広域にわたる体験が描写されいます。彼が心理学の学生であったところから始まり、当時刑務所で実習を行い、そこから犯罪の世界に興味を持ち始めたことがわかります。
ヘアは著書の中で、サイコパスは(社会病質者と違い)、形成されるものではなく生まれもつものだと言っています。これが理由で、根本的要因を評価する方法を見出す必要性を感じたのかもしれません。彼によると、人口の1%がこの傾向にあります。サイコパシーチェックリストは、彼の実践的経験、研究、インタビュー、法医学のケースからできたのです。
「サイコパスは社会的捕食者で、他の捕食者同様餌場を求める。権力、名声、お金が手に入る所で、彼らは見つかる」
-ロバート・D・ヘア-
サイコパシーチェックリストは何を評価する?
サイコパシーチェックリスト、PCL-Rは、臨床、法、研究目的で、人に精神病的特性があるかを判断するのに使われます。このテストは1990年代に作成され、初めは人の精神病的傾向を評価するのに使われていました。しかしそこからヘアと彼の研究チームは、少しずつこれについてより詳しく見ていくことにしたのです。
その理由は、ある繰り返される事象でした。サイコパスの多くが、暴力行為を繰り返すのです。ですので、当事者が過去の行為を繰り返すリスクを見るために、現在のPCL-Rが作られました。
専門家はこれをどう適用するか?
サイコパシーチェックリストには20の項目があり、これが評価尺度になっています。つまりインタビューを行い、専門家が各質問に0~2で評価する半構造化インタビューです。しかしこの評価はインタビューから始まるものではありません。犯罪歴、専門家の記録、職歴、家族歴、裁判の記録、ピアアセスメントなどの重要な素因を考慮する必要があります。
では、サイコパシーチェックリストの評価範囲を見てみましょう:
- 多弁、表面的魅力
- 自己中心性、自己価値が高い
- 刺激のニーズ、退屈傾向
- 病的ウソ
- ずるがしこい、操作的
- 後悔や罪悪感の欠如
- 感情的な浅さ
- 冷淡、共感の欠如
- 寄生的生活様式
- 行動のコントロールの欠如
- 無差別性的行為
- 早期行動問題
- 現実的長期目標の欠如
- 衝動性
- 無責任
- 自分の行為へ責任をとることができない
- 複数の短期結婚
- 思春期の非行
- 仮保釈取り消し
- 犯罪の多様性
複数の書類の分析やインタビューを行い、このテストの結果を出すにはおよそ1時間半を要します。ここで得られた結果から、当事者に精神病傾向があるかが分かります。さらに、犯罪行為を行う(あるいは再犯の)可能性や有為性を図ることができます。
サイコパシーチェックリストの信頼性と有効性
このテストから、どの種のサイコパスと自分が向き合っているかが分かるとロバート・ヘアは指摘します。重要なのは、すべての精神病者が暴力行為を働いたり殺人を犯すのではないと知っておくことです。多くの人が、操作的、自己陶酔的人格と判断され、彼らは共存や識別が難しいのは事実です。
サイコパシーチェックリストの有効性に関し、ここ数年で行われた分析について触れておきましょう。このデータは常に高い一貫性、有効性、信頼性を示しています。例えば、カナダのオタワ、カールトン大学の研究があります。この研究では、クリストファーJ.ブラジルが、法医学、臨床、研究の分野での有用性を再確認しています。
サイコパシーチェックリストは間違いなく非常に興味深いツールです。ロバート・ヘアは85歳になった今でも、犯罪行為やサイコパスの分野で偉大な専門家であり続けています。
「サイコパスはあらゆる社会的交換を『エサを得るチャンス』であり、商社が一人だけの競争、意志の試練だと捉える。彼らの動機は冷酷に人を操作し、人から取り上げることであって後悔をすることはない。」
-ロバート・D・ヘア-
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