精神病質の父ハーベイ・クレックリー
ハーベイ・クレックリーという名前は聞きなれないかもしれません。精神病については聞いたことがあると思いますが、間違った使い方をしている人も少なくありません。現在私達が精神病として知るものの研究を始めたのがこのアメリカ人精神科医です。
1903~1984年の彼の人生の中で、複数の精神病患者の繊細な臨床的・医学的観察を行いました。著書The Mask of Sanity(1941)には、彼がキャリアを通して精神医学を学んだ場所で、カウンセラーまたはインターンとして出会った精神病患者16人について記されています。
精神病とはどんなものか考えたことはありますか? 定義はどのようなものでしょう?精神科医ハーベイ・クレックリーはこの分野の研究において革命を起こし、特に精神病全体を深く調査しました。ここでは、そのカギを見ていきます。
精神病の基準
ハーベイ・クレックリーは、自身の患者を観察しました。精神病の人は感情、洞察、意識の基本的欠乏に苦しむというのが彼の考えです。そのために、人と同じような体験をすることが難しいのです。
社会的、倫理的、法的決まりを統合し受け入れることが難しいと感じます。
クレックリーは、精神病の主な特徴を集め、16の基準を作りました。それは大きく3つのグループに分けられます。
ポジティブな整合
- 表面的な魅力と高い知性
- 論理的思考のサインの欠如
- 「緊張」や精神病的兆候がない
- 自殺の可能性が低い
慢性的行動逸脱
- 悔いや恥がない
- 虚偽や不誠実性
- 愛することができず、感情を表現することができない
- 洞察力の欠如
感情的対人関係の欠如
- 信頼できない
- アルコールや一般的な物質の影響で異様な行動をとることがある
- はっきりとした人生設計に従うことが困難
- 経験から学び、判断することができない
- 不適切に刺激された反社会性行動
ハーベイ・クレックリーは精神病をどのように理解したか?
今ご紹介したスタート地点を元とし、ハーベイ・クレックリーは、その分野をさらに広げ、精神病の主な特徴を定義しつつ、研究を続けました。
ポジティブな整合
クレックリーは、精神病の人はほとんどの場合、カリスマ的で、誠実で、心地よいと言います。また、知的で、完璧な推論をし、他にも多くのスキルをもっています。社会的決まりについて論理的に話し合い、理解します。さらに行動と結果の関係もよく理解しています。
また、クレックリーは、一般的に人が緊張しストレスを感じる場面で、精神病の人は落ち着き、不安の症状がないと言います。
クレックリーの研究によると、多くの場合、精神病の人は自殺を考えたり、自殺を図ろうとはしません。自己破壊的でカオスな人生を送りますが、命を絶とうとする人は空虚な人なのです。彼らは、家族から注目してほしいためにこのような行為に至るのです。
慢性的行動逸脱
精神病質者の行動は、家族や親しい友人そして自身を危険にさらすことがよくあります。それでも、平気で、嘘をついたり、隠れたり、責任を人に押し付けます。クレックリーは、精神病質者の真実に対する無関心さは明らかだと結論づけました。
この事実に、表面的な魅力、操作力や説得力が加わり、彼らが本心を言っているのかわからなくなります。また、それはおかしいという明らかな証拠があっても、彼らの考えが疑わしくなります。
次に、彼の患者の感情的容量について考えてみましょう。一般的に、精神病質者は家族や妻、子どもに対する素敵な愛情を抱くことができます。しかし、彼らの行為はその反対を示します。
彼らの気持ちや感情は単に表面的なようにも見えます。周りに対し示す態度には説得力があります。しかし、その行為は感情に突き動かされたものではなく、罰を避けるため、欲するものを手に入れるためなど、論理的な理由から生じています。
誰かがどんなに犠牲を払っても、どんなに愛を示しても、精神病質者は同じような反応を返すことができません。良い人には良いことをしようという人間の倫理は、彼らにとって都合の良い時にしかありえないのです。
感情的対人関係の欠如
感情の分野で、性的乱交の多くが明らかになりました。多くの性的パートナーを持ち、性的乱交の傾向がみられたのです。
性的サービスを利用し、パートナーを傷つけることもあります。クレックリーによると、自制心の弱さと精神病質者のもつ衝動性からこのような行動は生じると言います。自分の行為に対する責任への無関心さがこれに関わります。さらに、後悔、恥、罪悪感がなさが加わります。
クレックリーが説明する典型的神経病質者は、頻繁にお酒を利用したり、お酒にはまり、人生設計に従うことができません。そのため、目的に向かって努力することができません。そして、信用されなくなるのです。
さらに、精神病質者は、ミスから学ばず、同じ行為を繰り返す傾向があるため、人生が変わるような経験をしません。
洞察力の欠乏、自分の行動から生じる悲惨な結果の可能性に無関心であり、悔いや恥のなさが加わることでより大きくなります。
彼らの過去や行動を見ると、悪い判断が目立ちます。一方で、倫理的ジレンマのある仮説的状況で、精神病質者は最適な判断をします。
クレックリーの患者と犯罪
クレックリーは、精神病質者による犯罪は小さな犯罪が多いと言います。例えば、万引きや車両泥棒、ケンカを仕掛ける、公共の場での中傷、偽の小切手などです。警察による16件の報告の内、攻撃性が繰り返されたのは3件のみでした。
それにもかかわらず、ここで強調する主な特徴は、意味のない反社会的行動です。彼らの行動には、特に目的がない、あるいは利益を超越したリスクのあるものがほとんどです。
「普通」の犯罪と精神病質者の犯す犯罪の違いは、洞察力の有無と行動の裏にある意味にあります。「普通」の犯罪の行為の裏には、何かを遂げるという目的があります。日々の生活では共感されにくいものの、理解できる目的と方法があります。
精神病質者の場合は違います。行動に関し、理解できる理由や目的がありません。例えば、何を盗むことなく生活できるのに、見つかるリスクを背負いながら少額のお金を盗むのです。
ハーベイ・クレックリーのレガシー
ここで紹介した精神病質者の性格は、精神病の深い研究に基づいたものです。ハーベイ・クレックリーが70年以上も前に著書The Mask of Sanityを出版した時の時代、属性、科学的文献の乏しさを理解し、考慮する必要があります。
科学的進歩やその後の研究により、クレックリーの提案がすべて調整され、より完全になり、拡大されたということを忘れてはいけません。それでも、その構成の理解への彼の重要な功績は、今でも非常に価値あるものです。
私達はこれからも、ハーベイ・クレックリーの名と精神病、特に、精神病の研究を一緒にして覚えていることでしょう。彼の研究やThe Mask of Sanityがあったおかげで、この問題に関するさらなる調査が行われたのでしょう。彼のレガシーは参考として、精神病質の未来の研究への扉として、今でも生き続けています。
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- Cleckley, H. (1988). The mask of sanity: An attempt to clarify some issues about the so-called psychopathic personality (5º Ed.). Augusta, Georgia: E. S. Cleckley
- Hervey M. Cleckley. (n.d.) Recuperado el 31 de Mayo, 2014, de la web Wikipedia http://en.wikipedia.org/wiki/Hervey_M._Cleckley
- Patrick, C. J. (2006) Back to the future: Cleckley as a guide to the next generation of psychopathy research. In C. J. (Ed.), Handbook of psychopathy (pp. 605-617). New York, NY, US.: Guilford Press