共感する脳:人間のつながりの力

共感は人が持つメカニズム。感情や感覚を呼び覚ます能力です。
共感する脳:人間のつながりの力
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 14 4月, 2024

共感する脳は、他人の感情とニーズを意識するように人をプログラムします。これは社会化の進化の結果です。 わたしたちと他人をつなげ、調和して生きてくことを可能にします。この気づきによって、対立を解決することができ、生き残りを保証できます。共感は、人間の幸せを保証する能力です。

人はかなり特定の理由で「~すべき」という表現を使います。わたしたちの多くは、共感が人道的行為を保証するわけではないということは分かっていると思います。人は他人の感情を制御したり読んだりすることができます。それはすばらしいことです。苦しんでいる人がいたらわかるし、恐怖をかぎ取ることができるし、他人の表情に不安を見ることができます。しかし、自分を相手の立場に置いて考えることは次のステップへと自動的には導いてくれません。常に助けを差し出すとは限らないんです。

 

「共感力がなく有意義な人間関係もなかったら、どんなに賢くてもあまり遠くへはいけません。」

—ダニエル・ゴールマン—

有名な神経学者のクリスティアン・キーザース(ネザーランド・インスティチュート・フォー・ニューロサイエンス)が説明しているように、共感する脳に関してはまだわからないことばかりです。90年代のジャコモ・リッツォラッティのミラーニューロンの発見によって、人間は新しい進化のステージに行き着いたのだと人は信じました。多くの人が人間をホモ・エンパシウス(共感を意味するエンパシー/empathyから)と呼びたがりました。

 

しかし、人間のふるまいはいまだ個人主義的です。共感は他人とあなたを結び付け、相手の感情を自分の感情のように感じることを可能にします。この能力は人間に類まれな力を与えます。それにもかかわらず、そのポテンシャルを人間はいかしきれていないんです。科学者が指摘しているように、人間は共感への本気のコミットメントに欠けています。感じるだけでは十分ではありません。この能力は使わなくては意味がありません。それではもっと詳しく見てみましょう。

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共感的な脳とその目的

ホセ・オルテガ・イ・ガセットがこれを良くあらわしています。他の人がいなければ、「相手」がいなければ、人間はお互いを理解することはありません。社会という考え方も理解することができません。ガセットは、人は他人として社交の場に現れ、交互に送り手にも受け手にもなりえるとしています。この考え方は言葉遊びのように、哲学の先を行く現実を作り出しています。心理学や神経学をも包括する考え方です。

ミラーニューロンは、キーザース博士が言ったように文明という考え方を形成するものです。相手を意識することで文明を成し遂げてきました。この相手を観察し真似ます。相手の中に、自分自身の姿を見るんです。共感する脳のお陰で、目の前にいる人の見方がわかるだけではありません。意図やニーズを予想する助けにもなります。相手に自分自身の投影を見るからです。の中では、「他人」は自分の延長線上です。

共感の本当の目的とは何かと考えているかもしれません。この疑問へのはっきりした答えはありません。共感は他人とつながることを可能にする能力です。しかし、ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドランなどの有名な行動神経学者によれば、共感の目的は他人の幸せとは限りません。人間は、常に助けを求めたり人道的な行いをしようしているわけではありません。

共感は同情の同義語ではないからです。多くの社会的な状況で、人間は他のものへの興味を抱くものなのです。

力

他人の見方から物事を見ることができるのは、とてもパワフルなことです。他人の目を通じて世界を見ることは、強力な武器です。これは例えば、目の前にいる人に悪意があるかどうかなどを知ることができる、より完璧な精神的「地図」を描くことが出来るということです。さらに、相手のリアクションも予想できます。弱みを利用して他の人を操作することもできます。人は自分のために他人の感情をもてあそぶこともできてしまうんです。

種としての進化を促進する共感

ラマチャンドラン博士は、ミラーニューロンはわたしたち種が素晴らしい遺伝子的な発展をしてきたことを思い出させてくれるといいます。他の生き物も共感的な能力を持っているというのは本当です。しかし、人間には驚きの進歩をほのめかす特別な組織があります。これは、文化、社会、文明の起源を支持します。

意識が広がり、思考がさらに抽象化し、他人とのコミュニケーションの仕方が洗練されます。残忍で暴力的になることもあります。しかし、もっと人間的になるんです。幸せ、秩序、バランスを促進する方法へ向かいます。 共感的な脳は、人間関係と学びのエッセンスです。適切な方向へ少しずつ進んでいくことを可能にしてくれます。

2人の人

すでに示したように、共感は常に行動を示唆するわけではありません。人によって異なる共感レベルを持っています。ミラーニューロンは、すべての人に同じように機能するわけではありません。すべてが社会的コミュニケーションや問題を解決する能力に影響します。他人とどれだけうまくやれるかにも影響します。ミラーニューロンは進化しており、その力はますます前進しています。

いつかこれらのニューロンが本当の平和を生み出してくれるかもしれません。もっと調和の取れたバランスのある敬意に溢れた社会を作り出す助けになってくれるかもしれません。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。