優れた医師、ペルガモンのガレノスの伝記
ペルガモンのガレノスという名前は医学の歴史にとても密接に関連しているため、現在でも全ての医師たちが何らかの形で彼の教えを利用しています。ヒポクラテス以後、古代の医療分野において最も有名な代表的人物と見なされています。当時彼が医学にもたらした貢献は非常に大きく、それらは今日でも広く認識されています。
ガレノスの確立した概念は1000年以上の間医学界を導く存在でした。彼の人体についての研究は人体の解剖学的構造全体を理解するための基礎を築き上げたのです。たくさんの功績がある中で、特に目覚ましかったのが血管を通して循環しているのは空気ではなく血液である、という事実を発見したことでしょう。
さらに彼は、心臓弁、腎臓や膀胱の機能、そして脳についての基本概念に関する重要な発見もしています。
また、ガレノスは伝染病の流行を目の当たりにし、これについて記述した最初の人物の一人でもありました。彼は「ガレノスの疫病」としても知られるアントニヌスの疫病の直接の目撃者だったのです。この疫病の前後では古代世界の歴史は大きく変わってしまいました。当時の医師たちも完全には病気の正体を理解できていなかったものの、これに関する重要な情報をいくらか残してくれています。
ペルガモンのガレノス、神に運命を定められし者?
ガレノスは呼び名の通りペルガモンの土地で紀元後129年か130年に誕生しました。この街は当時ギリシアの支配下にありましたが、現在ではトルコの一部となっています。彼が生まれたのは、裕福な貴族の家庭です。父のアエウリウス・ニコンは成功をおさめた建築家兼地主でしたが、母親については難しい気性の持ち主だったこと以外ほとんどわかっていません。
ガレノスの両親は息子にしっかりとした優れた教育を受けさせようと熱心でした。伝承によると、ある晩彼の父親は医学の神アスクレーピオスの夢を見たそうです。その夢の中でアスクレーピオス本人から「お前の息子は医学を学ぶべきだ」と伝えられ、この理由のためかあるいは他に理由があったのかは定かではありませんが、この父はガレノスに医師という職業を目指すよう勧めました。
ガレノスはまず、ペルガモンにあるアスクレーピアンという治療を行う寺院のような場所で学びました。そこで彼は当時の医学的知識と宗教的信条とを合体させます。その後この医師の卵はスミルナとコリントで学業を続けてその地でヒポクラテスの功績に詳しくなりましたが、この知識は彼の学びに絶大な影響をもたらしました。
傑出した医師
その後ガレノスは当時学問のメッカとされていたアレキサンドリアの街へ向かい、そこで主に解剖学と生理学に関する研修期間を終えました。 この大都市では死体を解剖する機会に恵まれていたため、人体の機能への彼の理解はさらに深まっていきます。
父親が亡くなって故郷の街へ戻った彼は、剣闘士の学校で医師として働き始めます。この経験により、彼は打撲や負傷に詳しくなりました。優れた治療者としての名声を成長させながら、彼はこの学校で4年間働きました。
162年には当時の「世界の首都」、ローマに移り住みます。彼の名声は大きく高まり、マルクス・アウレリウス・アントニウスやコンモドゥス、セプティミウス ・セウェルスといった複数の皇帝たちの専属医にまで登りつめました。ローマに滞在したことで、彼は研究者としての能力を自由に活用する機会に恵まれ、この期間に約400ほどの著作を書き上げたとされています。しかし現在まで保存されているのはそのうちの150冊のみです。
絶対的な功績
ローマでは人体の解剖が禁じられていたため、ガレノスは生きた動物や死んだ動物を対象として研究を行わねばなりませんでした。この研究により腎臓や脊髄の基本的な機能を理解することが可能になったのですが、悲しいことに彼の著作物の大部分は171年に起きた火事で燃えてしまったそうです。
彼の主要な著作である『On the Art of Healing』という論文は15世紀の間に渡って権威を保ち続けました。また、この医師の著作は薬局方の無くてはならない基礎的要素であるとも見なされています。熱心な実験者だった点は、彼の素晴らしい美徳のうちの一つです。つまり、彼は何よりもまず証拠を探そうとし、それができて初めて関連する理論を組み立てていくような科学的な人物だったということです。
ペルガモンのガレノスはさらに、深い倫理観が伴わない限り医学的知識の探求あるいは実践は不可能であるという確信も持っていました。彼は医学とはまず第一に博愛主義的技術であると信じていたのです。医師とは徳の高いよく訓練された人物であるべきで、自制的であるという特徴を持っていなければならないというのが彼の考えでした。
この著名な医師は死を迎える前に故郷ペルガモンへ戻り、そこで216年頃に亡くなりました。
ガレノスの存在なしには、きっと医学も薬学もその知識や実践がこれほど急速に進歩することはなかったでしょう。
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Rodríguez, R. M. M., & Ballester, L. G. (1982). El dolor en la teoría y práctica médicas de Galeno. Dynamis: Acta Hispanica ad Medicinae Scientiarumque Historiam Illustrandam, 2, 3-24.