心理学者の倫理行動規程について

28 5月, 2020
今回の記事では、心理学者の行動倫理規程における原則について簡単にまとめてご紹介します。これらの原則を知れば、この規程の目的について全般的な考え方を理解することができるでしょう。

心理学とは、人間の行動とそれに呼応する認知プロセスについて研究する学問であり、その最終的な目標は我々のクオリティ・オブ・ライフを向上させることです。心理学では、我々のメンタルヘルスを鼓舞し、ケアすることを目指します。しかし、誰が、あるいは何が心理学者にこういった原則を守らせる責任を負っているのでしょうか?そこで登場するのが、心理学の倫理規程です。

心理学者の倫理行動規程は心理学に携わる者全員に対するガイドブックです。スペインではこの規範は義務論的規範としてよく知られています。これは、マドリードで1984年5月に行われたオフィシャル・カレッジ・オブ・サイコロジストの第一回会議の成果です。この会議で、心理学の実践には規制が必要であることを確認されました。そこで倫理的観点から不正だと考えられる医療行為を防ぐためのガイドを作ろうと、スペイン人心理学者たちを集めてワーキンググループを作ることを提唱されました。

この倫理行動規程には59の条項があり、これらの条項が専門家たちの競合や介入、研究、教育、情報の獲得・使用、宣伝、報酬、手続き上の保証を規制します。いずれかの条項に違反があると、懲戒委員会がその侵害を犯した専門家に関する調査を行うことになります。そしてその問題の深刻さが判断され、それに応じた懲罰が下されるのです。懲罰は軽いものもあれば重大なものもあり、その人物の称号や開業資格が取り消される場合さえあります。

今回の記事では、この行動倫理規程における原則について簡単にまとめてご紹介します。これらの原則を知れば、この規程の目的について全般的な考え方を理解することができるでしょう。第5条から15条までが、これらの原則を定めています。

 

心理学者 倫理行動規程

行動倫理規程の一般原則

一般原則の一つ目(第5条)は、心理学の目的を定める内容です。この目的は人間およびウェルビーイングや健康、クオリティ・オブ・ライフといった社会的目標を見定めたものであり、心理学に携わる者の中でこれらの目標に背く者は、職業倫理に反しているということになります。

第6条は現役の専門家たちの誠意に関するものです。心理学者が事実情報を把握していれば、情報を変更したり誤った解釈を伝えてしまうことはありません。全ての職業的活動は、責任と正直さ、そしてクライアントや大衆に対する誠意に基づいたものでなければならず、ここで用いられるべきなのは科学的かつ客観的なツール・技術のみなのです。

次の第7条では、心理学の悪用について説明しています。この行動規程は心理学者が培ってきた知識を個人の自由を制限するために使用したり、虐待に関与するために用いることを全面的に禁じています。心理学の不正な採用を正当化する状況など存在し得ないのです。それが武力衝突や義務、内戦、革命、テロ行為、あるいは犯罪を正当化しようとするようなその他の状況下であろうと同じことです。

第8条では、全ての心理学者に対して人権侵害や虐待、あるいは残酷な収監について知っていることがあれば報告するよう求めています。こういった状況では、クライアントの秘匿特権や機密保持契約は守られません。残念ながら、心理学者たちが最も侵害しているのがこの条項です。

次の一般原則(第9条)では、クライアントの道徳観念や宗教的信条を尊重することについて説明しています。ただ、もし治療の枠組み内で必要とされるのであれば、クライアントの信条を疑うことが敬意の欠如であるとはみなされません。

心理学者 倫理行動規程

第10条は、心理学者たちによる差別を禁じています。これには、人種やジェンダー、性別、信仰、イデオロギー、その他の様々な要因による差別が含まれます。心理臨床は普遍的なものであるため、反差別の原則を尊重しなければならないのです。

第11条の一般原則は、心理学者は自身の権力あるいは優位な立場を患者から何らかの利益を入手するために利用すべきではない、と定めています。この利益とは、個人的なものの場合もあれば第三者にもたらされるものの場合もありますが、自らの地位をそのように利用することは心理学の目的には反しています。

第12条で定められているのは、報告書や診断書を書く際に注意すべきことについてです。精神疾患や心理評価は社会的な不名誉だと捉えられたり、レッテルを貼られてしまうことが多くあるため、心理学者たちは言葉遣いに最新の注意を払わなければならないのです。彼らは常に、クライアントの社会的地位を下げてしまうことがないよう努めなければなりません。

第13条は悪質な患者紹介を避けることを目指すものであり、違法なクライアントの斡旋についても定めています。心理学者はクライアントを決して独占すべきではなく、患者紹介にあたっては規定の法的手段に従わなければなりません。これにより、患者は抱えている問題に対して可能な限り最善の治療を受けることができます。

第14条における行動規程は、心理学者が彼らの名前あるいは署名を第三者に貸すことを禁じるものです。署名することができるのはその心理学者たちのみだということです。また、これには資格を持たない人々が心理臨床を行うのを防ぐという目的もあります。さらに、あらゆる疑似科学的臨床の隠蔽についても言及しています。

最後に第15条ですが、この条項では利害の対立を扱っています。利害の対立が生じてしまった場合、心理学者はできる限り公平に振る舞うよう努めなければなりません。また、そのような状況が発生した際には心理学者たちは自分自身を制度的権威から守らなくてはいけません。

倫理行動規程の重要さ

ここまでで、倫理行動規程の一般原則について見てきました。では、職業倫理のガイドブックを作ることはなぜそれほど重要なのでしょうか?ここで、臨床心理学が医療専門職であることを忘れないようにしてください。つまり、クライアントはサービスが適切で信頼できるものであることを要求できるのです。結論として、個々の心理学者の臨床行為がこの職業全体の倫理を反映する、ということになります。

心理学者 倫理行動規程

しかし、行動倫理規定が重要視されるのには、もう一つ別の理由もあります。この規程は、心理学という分野における価値観の中にある願望や規制を正しい方向へ導くための指針となるのです。私たちが求めているのは、前進が続いている、良好な状態の科学です。従って、心理臨床がそういった目標から逸脱してしまわないように、専門的な行動規程を作成することが不可欠なのです。

最後に付け加えておきたいのが、全心理学者には自らの行動を批判的に考慮する義務がある、という点です。彼らには彼ら独自の倫理規範があるのでしょうか?献身的な心理学者たちの間で交わされる継続的な議論は、全員に利益をもたらしてくれます。これにより、臨床がより良いものとなり、私たちは科学に則って、そして困っている人々の健康状態を基準として働くことが可能になるのです。