魂を愛撫すれば鎧は壊れる
鎧はかなり傷ついた証です。これ以上のダメージを防ぎ、壊れてしまうことを避けるために人が使う保護法です。これは防衛反応です。一時的な避難で、世界に「もうたくさん!」と伝える方法でもあります。
鎧を着て生きることは簡単ではありません。鎧の下には、傷つくことへの恐怖が潜んでいます。これは人を最も麻痺させるような恐怖です。恐怖によって壁を築き、感じることをやめて麻酔がかかったような人生を送るようになります。人生に疲れ果て、自分を守るために、傷の痛みを感じる代わりにできるだけ何も感じないようになってしまうんです。
「あなたの鎧は、あなたをぼろぼろにした女性から守ってくれるでしょう。でもそれを取り払わない限り、愛している人からも、豊かにしてくれる人からも遠ざかってしまいます。」
-リチャード・バック-
苦しみから引き起こされる消耗と涙
人生は、幸せが約束された道ではありません。その旅路で、不確定、不安定、苦しみにぶち当たります。それを予測し準備ができれば、対峙しやすくなります。苦しみに耐性がある人なんていません。しかし、それに対処する方法は学ぶべきです。 そうでなければ、暗闇にのまれます。
生きることは、リスクに直面することであり、すべてが望み通りにはいかないということを受け入れることです。幸せの瞬間を心に刻み、苦しみは時々やってきて自分を試すものだということを受け入れましょう。
受けた衝撃や傷を癒すことのコントロールは簡単ではありません。必ずしも支援システム、資金、方法があるわけではないからです。もしあったとしても、使い方がわからないかもしれません。落胆や予期せぬ出来事をうまくコントロールできる人もいれば、気分に大きく影響してしまう人もいます。自分の苦しみを制限するために守りに入る人もいます。そして、自分が選んだその方法は、日々の生活に影響を及ぼします。
それでも、どのような対処法を選んだかにかかわらず、苦しみは身体的、精神的に影響します。やる気が出なかったり、モチベーションや喜びがなくなったり(無感動症)する状況から抜け出せなくなります。気を付けておかないと、うつや不安症になるかもしれません。肉体的にも消耗されます。疲労困憊し、持っているすべてのエネルギーを消耗します。深いレベルでは、セトロニンのレベルを下げ、コルチゾールの分泌量が増えます。
鎧による間違った保護
誰しも鎧、つまり自分の防衛メカニズム、痛みから自分を守る盾を持っています。これは人生の一部です。自分の存在の最もデリケートな部分は、何らかの方法で守らなくてはいけません。起こり得る脅威やつまずきに対して強くいなくてはいけません。
鎧をかぶると問題が起こります。その鎧が生活を牛耳って、世界を見るフィルターをかなり保守的なものに変えてしまいます。壁を築くことで孤立します。苦しみや不確定さからだけでなく、愛情や社交的経験からも孤立してしまうんです。
自分を守ろうとして、感情的に自分をブロックするまで自分をボイコットします。苦しむのを避けるため、感じることをやめます。自分の生き残りのためにこの間違った方法を繰り返してしまいます。気を付けないと、かなり高い代償を払うことになります。そして、中身が空っぽになってしまいます。よく読みも考えもせず同意してしまった契約のようです。
その空虚感は、感情の不在となって表れます。生きているように感じられず、他の人とつながりを持てなくなります。恐れていた苦しみの餌食になります。感じなければ苦しむことがないということはありません。
鎧は、人を保護と安心感の感覚に化けた不快感につなぎとめてしまう無意識の罠です。だから、様々な防衛メカニズムを特定し内省することが重要です。
「苦しみに立ち向かうには、死に立ち向かうより大きな勇気が必要だ。」
-マレーネ・ディートリヒ-
魂を愛撫する技術
鎧の後ろに隠れてしまっている人は、防衛的な態度を取って他の人を遠ざけてしまう傾向にあります。傷つく恐怖が強すぎて、そうしようとしているわけでもないのにみんなを追いやってしまいます。ただその人を知ろうとしていたり、愛していたりするだけの人まで追いやってしまいます。自分を激しく守ろうとするのは、 胸が張り裂けるような思いをしたことがあるのが原因です。
傷の痛みを避けるために、自分のテリトリーを守る凶暴な動物のようにふるまいます。どんな人も敵になり得ます。自分を防衛しようとしている人に少しでも触れたら、大きな悲しみを感じてしまいます。
どんな解毒剤ならダメージを回復することができるでしょうか?かなりの苦しみを経験した人の鎧を壊す方法はあるのでしょうか。鎧を壊すのを助けることはできるのでしょうか。 鎧はゆっくりと少しずつであれば破壊することができます。愛情、忍耐、理解、受容、努力を必要とするプロセスです。
お分かりいただけると思いますが、この状態を治すのには魔法の解決方法などありません。他人との深いつながりや、自分とのつながりが助けになります。鎧をまとった人が周りにいる場合、そうさせているのは彼ら自身ではなく恐怖であるということを理解しなくてはいけません。これは、感じることをやめるのが痛みを避ける一番いい方法だと思い込ませる巨大なモンスターです。この恐怖を理解することは、愛情を見せることと同じくらい重要な人間関係の側面です。つまり、魂を愛撫して、敏感な部分に触れ、守られていると感じさせる方法を学ばなくてはいけません。
「愛は一つの方法でしか機能しません。
力ではなく、
愛撫を通じてのみ
鎧が開かれます。」
-マルワン(Marwan)-
努力の大部分は、鎧を作り出した人が行わなくてはいけません。苦しみを避けることは中期的・長期的苦しみを増幅させると理解しなくてはいけません。人生は必ずしも簡単ではありませんが、苦しみは自分の物語の章の一つです。 自分を受け入れ、愛への第一歩を踏み出すために、罪の意識、硬く強固な態度をやめなくてはいけません。傷ついたときに自分で癒すことは、最も強力な治癒力を発揮します。
「人は毎日髪をまっすぐにするのに、こころはまっすぐにしないのはなぜですか?」
-中国のことわざ-