「受け入れてもらえない」死の矛盾

「受け入れてもらえない」死の矛盾

最後の更新: 08 9月, 2018

愛する人の死は、心の痛みの大きな原因です。あなたが愛する人が亡くなることに完全に準備ができるということはありえません。その死が驚くべきことではない場合でさえもです。しかし、その痛みに対処するのがさらに困難な場合があります。それが、「受け入れてもらえない」死への悲しみである場合です。

「受け入れてもらえない」死とは、あなたが見せることのできない悲しみで、特定の環境や社会全般によって、ある意味禁じられているものです。どのような理由であれ、社会がその死の悼みを受け入れがたいもの、不必要なものだと見なすのです。こういった場合、あなたは一人で苦しみ、痛みを隠すことになります。

自分の感情を表現できず、あなたの苦しみは認められたものではないと感じることで、それを乗り越えることが困難になります。サポートを得ることもできず、そのため対処するのがより難しくなるのです。今日は、「禁じられた」または「受け入れてもらえない」死についてお話しします。

「死が鮮やかな間は、気をそらそうとする試みすべてがますます自分を辛くさせるだけです。悲しみが消化されるのを待てば、楽しいことがその残骸を散らしてくれるようになるでしょう。」
ーサミュエル・ジョンソンー

社会が死別に価値を置いてくれないとき

この状況は、遺族にとって最もダメージになるものの一つです。それは死になんの社会的価値も与えられず、他の人にとってはそれが何の意味も持たないということです。

例えば、危険な犯罪者や|、恐れられていたり見下されているような人が死亡した時、その死は良いことだと見なされます。しかし犯罪者にも家族や友達がいて、その死を悲しんでいるかもしれません。しかし「悪い」人の死を悲しむことは他の人にいつも理解されるとは限らないので、残された人は苦しみを表現しないことにするのです。

社会的に許容されない死

「受け入れてもらえない死」のその他の例が、ペットの死です。ペットの死を嘆き悲しむことは、やりすぎだとか芝居がかっていると考える人もいるかもしれません。それでも、犬や猫、馬などの死を血のつながった人の死と同じくらいに感じる人はたくさんいるのです。

禁じられた関係と受け入れてもらえない死

この場合、受け入れてもらえないのは、その関係がモラルに反するとか、社会的に許容できないと考えられているからです。愛人の死について考えてみてください。この前提では、正当な痛みは夫や妻が感じるものであり、第三者ではないのです。しかし、その人たちも皆痛みを感じる資格があります。

今日の社会はより開放的になってきましたが、このようなことが同性愛の関係の中で今だ見られます。パートナーの死を悲しむことは社会から受け入れられていないかもしれないのです。その関係が秘密でなければならなかった場合などは特にそうです。同じことが、不可能な、同じように報われない恋愛においても起こります。

死の状況

例えば自殺などで命を失った場合、その悲しみは特別な状況で起こります。きっと最初は、周りの愛する人たちはその辛さについて話すことが難しいでしょう。その状況は多くの疑問や自らを責める気持ちを生みます。「どうしてこうなってしまったんだろう?どうして別の道を見つけられなかったんだろう?」と。こういった状況では、その答えは永遠に見つからないかもしれません。

死が暴力的な状況で起こった時にも、似たようなことが起こります。特に、それが家族に関わるものだったり、無責任な行動による結末だった場合などです。例えば、ある人がスピードを出しすぎて事故を起こし死亡した場合、人々は「自分で招いた結果だ」、「リスクは承知の上だった」と考えるかもしれません。ですので、それが「受け入れてもらえない」死のおぜん立てをするのです。過量服薬や性感染症などによる死にも同じことが起こります。

自業自得と考えられる死

認知されない遺族

このタイプの「受け入れてもらえない」死は、遺族が死を悼んでいないと考えられている場合です。これは子どもに多く起こります。大人は、子どもは死が何かを理解していないので、単純な「その人は天国に行ったんだよ」というような言葉で慰めます。子どもは死を悲しまないと考える人はたくさんいます。しかし、子どもは実際は死を悼み、それは幼いためにずっと辛いことかもしれないのです。

ある種の認知障害や神経異常のある人も、このように放っておかれることが多くあります。こういった人たちの痛みは、他の人ほどは深くないと推測するのです。

「受け入れてもらえない」死があるとき、それが病的な悲しみに変わってしまう可能性は大いにあります。苦しみを表現することが制限されていたり、正当だと考えられていないと、痛みを乗り越えるのがずっと難しくなるのです。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。