良い交渉人になるには
ある意味で、私たちはいい交渉人になるために特別なトレーニングを受けていると言えます。ほとんどの子どもはすでに容赦のない交渉人です。子どもは自分の手札をわかっています。他の人のしてほしいこと(例えばいい子にすることなど)を実行できる可能性が自分にあるとわかっていて、自分の欲しいものを得るためにそれを遠慮なく切り札にするのです。
いい交渉人になるためには、一連のスキルとそれを適切に管理することが必要です。例えば、信頼、物事をはっきりと言うこと、柔軟性、良い姿勢などが特に重要です。しかしまだまだ他にもあります。そして喜ばしいことに、自分を鍛えてこれらのスキルを身に付けることができるのです!
いい交渉人になるための学習と経験
交渉人の主な管理ツールは基本的に二つです。それは勇気と誠実さです。そのおかげで、自分の関心事や価値観に対して説得力を持たせることができ、それと同時に雄弁かつ賢明になることができるのです。そのため、何かを交渉しようとしているなら、特に正しいタイミングを選んで使用することで役に立つ特別な戦略があるということを知っておくのはいい考えだと言えるでしょう。
すでに述べたように、子どものときでさえ潜在能力がありました。例えば、お話をもう一つ親に読んでもらいたいときや寝る前にあともう数分だけ背中をさすっていてほしいときなど。知らず知らずのうちにすでに交渉を始めているので、親は私たちの最初の好敵手なのです。
私たちはこういったスキルを、経験、忍耐、練習と学習によって発達させます。
交渉のプロセスにおける脳の動き
私たちが交渉しなければならない時、最初に前頭前野が活発になり緊張を感じることは普通のことです。そして、その状況に対処できないと思うと、偏桃体が恐怖を感じさせます。
あらゆるパニックを克服するためには、その状況をあらかじめ予測し、計画を立て準備をすることがベストです。例えば、目的は何なのか、どのように進めていくのかについて明確な考えを持ち、可能な限りたくさんの情報を集めるのです。数量に関しては「アンカリング効果」を使って交渉を始めるなど、コツをいくつか知っておくのもいいでしょう。
次に、私たちの脳の活動はミラーニューロンに集中しています。これは目の前の人に共感しようとするのに役立ち、理解と信頼の空気を生み出します。私たちは話している相手がどう感じ、どう行動するかについてのサインを探そうとします。そしてその人のムードや行動に合わせます。ここでは、コミュニケーションスキルが必要不可欠です。
言葉で言われないことの重要性
交渉の中で、後には引けない地点に行ってしまうことがあります。しかし、あきらめてしまう前に、言葉に出す出さないに関わらず、使える道具は全て使うべきです。身振りは言葉と同じくらい欠かせないものです。例えば、自分たちの提案に対して相手が顔をしかめたり姿勢を頻繁に変えていたり、視線を外したり自説に固執しすぎているのに気づいたら、進め方を変えた方がいいでしょう。
特に注意を払わなければならない重要な瞬間が2つあります。それは最初の挨拶と最後の挨拶です。ベストな握手の仕方は、手をひねったりおおげさな動きをすることなく、垂直に上下に動かします。取引をまとめるときには、相手の腕を左手で軽く触り、親密さを伝えることもできます。
脳は引き分けではなく勝利を欲している
交渉が終わったあと、両者ともに利益がある場合、脳が満足しないかもしれません。こういった場合、私たちの頭はウィンウィンの状態だとは考えず、勝つか負けるかしかないと思っているのです。成功は利益の観点だけではなく、意識上の満足感でも測られるのです。
交渉の種類には、お互いの合意を探すものもあります。この場合、互いの交渉人は一方が満足しない場合まもなく合意が破綻することがわかっています。ですので、このような状態において私たちが能力のある交渉人であるなら、自分たちの利益を守ろうとするだけでなく、相手も結果をポジティブにとらえられるよう努力します。
交渉の結果がいいものだったと自分で評価すると、報酬回路が動き出します。それが活発になると、ドーパミンやオキシトシンなどの快楽神経伝達物質が体に放出されます。しかしうまくいかなかったと思った場合、脅威に関わるアドレナリンなどの神経伝達物質が放出されます。これにより、怒りや落胆、意気消沈などを感じるのです。
感情の役割
多くの専門家が、いい交渉人になるには感情を脇に置いて、客観的になることが必要だと指摘しています。 これはゲーム理論の基礎です。これは関わっている人が完全に合理的であるという、冷たく無味乾燥なプロセスを支持しています。
しかし私たちは人間なので、感情は私たちの一部であるということを考えると、これを行うのはとても難しいでしょう。感情が交渉に影響することは避けられないので、それにいたずらされないように感情を支配できるようになるといいでしょう。
いい交渉人になるには、感情的知性をうまくコントロールし、自己批判をする能力が欠かせません。それがあれば、敗北を理解し、その理由を分析し、それから学び、将来の交渉によりうまく対処できるようになります。
いい交渉人になるための簡単な戦略
芸術的な交渉を行うために、いい交渉人が持っておくべきスキルをまとめました。
- しっかり聞くこと:ただ耳に入れるだけでなく、相手に対して100%注意を払いましょう。
- はっきり言うこと:自分の観点を相手に伝え、同時に相手の権利や考えを尊重しましょう。
- 自信:勇気を持って正直に言いましょう。あなたに確信が無いと、あなたの立場が防御的になってしまいます。
- バランス:与えることでお返しを期待しましょう。これは交渉であって、チャリティーではありません。
- 楽観性:交渉し、提案に耳を貸し、変化に進んで適応しようとすることが、いい結果をもたらします。
- 共感:追い詰められたと思った時には、忍耐と上品さが心を整えるのに役立ちます。
いい交渉人になるには、自分の脳をどう使うかを知り、神経科学のアドバイスに従うことがカギになります。さまざまなタイプの性格の人がいますが、成功のポイントは感情と論理の正確なバランスを見つけることなのです。
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