幼少期に正直さを身につけることと「心の知能」
幼少期に正直さを身につけることは、心の知能を発達させる上で重要です。例えば、お皿を割ってしまった我が子を、即座に親が叱りつけるとします。結果として、その子は今後は怒られることがないように嘘をつこう、と決意してしまうかもしれません。ここでこの親は、正直さが痛みに繋がるのだと子どもに学ばせるようなネガティブな雰囲気を作り出してしまったのです。叱られたり罰せられたりするのを好む子などいませんよね。
では、親は何をすれば良いのでしょう?まずは、幼少期に正直さなどの価値基準を育てることで、子どもたちの心が豊かになるということを知っておかねばなりません。また、それは心の知能の発達にも同様に役立ちます。そのため、我が子がアクシデントに遭遇したりミスを犯したり、あるいは何かをやりたがらない時に正しい教訓を授けてあげられるように、親たちがポジティブな環境を作らねばならないのです。そのような環境の中では、親子で問題について話し、交渉し、そして望ましくないあらゆる状況が大きな騒ぎに発展するのを防ぐことができるでしょう。
先ほどは、ただ昔からよく例に出されるような割れたお皿の話を取り上げただけでしたが、例えば食べたくないものがあった時や宿題をやりたくない時などには嘘をつくことが唯一の勝ち抜け方法なのだ、と子どもたちに学ばせてしまい得る状況は他にもたくさんあります。
“痛みを、キャンプ場としてではなく踏み台として使え”
-アラン・コーエン-
幼少期に正直でいることが、心の知能の強化に役立つ
子どもは正直さを通じて自尊心を高めます。だからこそ、子どもの行動を良い方向に向け用として嘘に頼るのを避けることが、親や大人、あるいは保護者たちにとっては大切なのです。
成長するにつれ、子どもたちは嘘と真実との違いを学んでいきます。そのため、親から学んだ教訓の多くが正直なものではなかったことを識別できるのです。要するに、目的を果たすための手段として嘘をついても良いのだ、と理解してしまいます。
また、5歳の頃にはすでに、子どもたちは大人の発言に疑問を抱く能力を有しています。お分かりの通り、この時期は子どもが私たちを見本にし始める決定的な時期なのです。そして、8歳頃から意図的ではない嘘と騙すための嘘とを分類できるようになるため、この点がさらに重要になります。
嘘をつくという選択肢の存在を、その嘘がもたらすダメージを理解することがないまま認識し始めるようになると、もうそこから引き返すのは困難です。このことは、人間が見たくないものを見ないようにするのが上手い生き物だという事実に関連しています。だからこそ、子どもたちを正直なまま育ててあげられるように、ヒントとなる要素をいくつか知っておくことが重要です。さらに、子どもがミスを犯してもそれを受け入れ、子どもたちには限界があることも理解してあげねばなりません。
子どもに正直でいることの価値を教え、心の知能の発達を促すためのカギ
正直でいることの価値を学ばせるためのベストな手法の一つが、子どもの教育にアサーティブネスを取り入れることです。これにより、人には真実を主張する権利があること、誰であれ他人に自分を操作させるのを許すべきではないということ、そして嘘をつく人からは逃げても良いのだということを子どもたちに教えることができます。さらに、子どもたちは自然な成長の中で善と悪を区別できるようになり、自らのミスの責任を持てるようになり、嘘をつく以外の手段を見つけて障害を乗り越えられるようになり、そして目標を叶えられるようになっていきます。その中でも何より、愛されることや理解してもらえることで彼らは学びを得ていくのです。
非難は禁物
子どもたちは、幼い子であれば特に、悪意を持って何かを行うということはしません。したがって、いつも子どもの行動を非難してばかりいると、推論したり、思慮深く考えを巡らせたり、大人の目には止まらないような隠れた動機を分析したりするチャンスが阻害されてしまいます。子どもの嘘の背後には何があるのでしょうか?状況を見極め、批判的にならずに子どもと話し合うことが大切です。
アクティブ・リスニングを実践しよう
子どもの話に注意深く耳を傾けることが、子どもをより良く理解するための優れた方法です。これを実践すれば、嘘をついているのか、架空のストーリーを想像しているのか、または罪のない嘘をつこうとしているだけなのかを見分けられるようになるでしょう。
行動修正はアサーティブに
子どもたちを叱らねばならない機会はたくさんあるはずですが、これは正常なことであり、教育の一環だと言えるでしょう。とは言え、この時大切なのはアサーティブに叱ることです。その方が、子どもたちは叱られた内容を内在化しやすいですし、将来同じような状況に遭遇した時、行動する前に考えてくれるようになります。
ポジティブ行動の強化
子どもが良い振る舞いをした時にご褒美を与え、そのような行動をしてくれるのをこちらがどれほどありがたく思っているかを伝えて、ポジティブな行動を強化することが非常に重要です。この手段を用いることでその行動あるいは似たような行動を繰り返す可能性を高めつつ、ネガティブな行動を減らすことができます。
幼少期と心の知能 − 子どものロールモデルはあなた
大人、親、そして保護者たちが、子どもの従う手本です。そのため、自分がしているのと正反対のことを教えようとしても意味がありません。 我が子に身につけさせようとしている正直さを、自らが身をもって示しましょう。
子どもたちは親や教師、兄や姉などの権威を持つ人物を真似する傾向がある、という事実を心に留めておいてください。そして、子どもの前では責任を持った行動を取るようにしましょう。
最後に、幼少期に正直さを身につけることは、心の知能を高めることにもつながります。要するに、自立心と責任感と自信を備えた子に育って欲しいのであれば、子どもたちが自分自身の感情に触れて自己を知るための機会を存分に与えてあげなければならないのです。
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Giráldez Hayes, A., Prince, E.M. (2017). Habilidades para la vida: Cómo aprender a ser y aprender a convivir en la escuela. Madrid: Ediciones SM – Biblioteca Innovación Educativa.