ドン・ファン・マヌエルの5つの名言
ドン・ファン・マヌエルは中世を生きた作家です。多くの人が、彼を中世最初の散文小説家だとしています。この記事では、そんな彼の最も大切な言葉をまとめてみました。彼の考え方がよく現れているものばかりです。
名言の紹介をする前に、ドン・ファン・マヌエルがアルファンソ10世の家庭教師であったことを述べておきましょう。彼の作品はいくつかありますが、その中でも秀でているのが、「ルカノール伯爵」でしょう。
1.ドン・ファン・マヌエルの友情についての考え方
「嘘つきの行動や噂話を鵜呑みにして、良い友達との友情を切ってしまうことはするな」
この最初のドン・ファン・マヌエルの言葉は、嘘をつく人に対しての直接的で明確な批判です。特に、誰かを傷つけようと、または、誰かのことが妬んでわざと嘘をつく人に向けた言葉です。例えば、この言葉の中に現れる良い友達のことを妬んでいるような場合です。
その結果としてよくあるのが、真実の半分しか世間に広まらないということです。しかも、嘘をつく人によって、自分が友達と思っている人に対して持っているイメージを崩されてしまうことにもなります。それゆえ、ドン・ファン・マヌエルは噂話と嘘には気をつけるように、この言葉を残しました。
2.ファンタジーから離れる
「証明された現実は信じてもいい。でもファンタジーからは逃げなければならない」
よく私たちが陥ってしまうのは、ここでドン・ファン・マヌエルが言うファンタジーです。これは空想とも言えますし、恋にふけってしまうことも指すでしょう。その結果、現実とは完全に隔たれた状態になってしまいます。
それでは、どのようにしてファンタジーと現実世界を見分ければよいのでしょうか?それはドン・ファン・マヌエルによって説かれることはありませんでしたが、人間には人それぞれの現実が存在するので、それを定義づけるのは不可能なことでしょう。なにせ、現実とは自分の経験からなり、どの経験も意味を成すものなのですから。
3.恐れずに自分のしたいことをしろ
「間違ったことをしていない限り、自分が一番いいと思うことを、批判を恐れてやめることはしてはいけない。」
恐れは現代社会で、最も邪悪なものだと言っても過言ではないでしょう。明らかに、13、14世紀にも、身をすくませるこの感情があったことは確かです。他人が何と言うかや批判に対する恐れは、本当にしたいことから自分を遠ざけてしまいます。この恐れは適応不可能です。
この3つ目のドン・ファン・マヌエルの言葉は、自分の行動に対して、他人が何と言うか、何と批判するかを気にするべきではないという、よい忠告でしょう。決して間違ったことをしていないと思うなら、ぜひ続けるべきです。そうでないと、遠くない未来にあの時もっと積極的に行動しておくべきだったと後悔することでしょう。
4.ドン・ファン・マヌエルのアルコールの乱用についての考え方
「ワインには良い点がたくさんあるが、乱用すると毒になる」
ワインを適度に摂取しても、健康に害を与えることがないことは、ご存知でしょう。しかし、この言葉で彼は、ワインの乱用や過剰摂取について警告しています。
もちろん、この概念を、生活の他の場面に当てはめることもできます。なぜなら、何でも過剰に摂取したり、度を越えると、いいことよりも害になることの方が多いからです。この言葉にもあるように、ワイン自体に害はありませんが、摂取量がコントロールできないというのは危険なことです。
5.称賛で人を騙すことができる
「あなたが値する以上に褒めてくれる人には気をつけ方がいい。あなたを騙そうとしているかもしれない。」
最後はこの言葉で締めることとしましょう。みんな自分のことについて良いことを聞きたいものですが、この言葉は、異常に褒めてくる人には注意した方がいいという警告です。ドン・ファン・マヌエルが言うように、多くの場合、あなたを騙そうという動機が隠れています。
ドン・ファン・マヌエルがここで言う「騙す」というのは、称賛の後ろに隠された動機のことです。例えば、称賛の引き換えに何かを期待していたり、相手を操ろうとしていたりという場合です。ですから、注意しましょう。褒め言葉が嘘か本当かくらいわかるはずです。
この記事を読む前からドン・ファン・マヌエルのことをご存知だったでしょうか?ルカノール伯爵を読んだことはありますか?今日ご紹介した名言は、中世でも重要だった価値観に近づけていただけましたか?何か考えさせられることがあったと思います。あなたの一番のお気に入りはどの言葉だったでしょうか?
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