エクスタシー=ラブ・ドラッグ

この記事では、エクスタシーがなぜ「ラブドラッグ」と呼ばれるかについて見ていきましょう。
エクスタシー=ラブ・ドラッグ

最後の更新: 12 10月, 2021

エクスタシーとして知られる精神活性物質は、合成麻薬です。これは、研究室で化学的に合成して作られたことを意味します。製造者は、普通法の網をくぐるためにこのように薬物を製造します。製造者は、研究室で違法の物質に小さな変化を加えます。こうすることで、実質的には違法でない新たな化合物ができます。

エクスタシーはMDMA(メチレンジオキシメタンフェタミン)の俗称です。セックスの時、色、音、手触りの感覚を強めるため、「ラブ・ドラッグ」と呼ばれます。また、「ハグ・ドラッグ」「キャンディー」「モリ―」などの俗称もあります。

この薬物は心と体に破壊的影響を及ぼします。エクスタシーの「かわいい」名前は、薬物の売り手が販売促進のために使うマーケティング戦術です

「悪癖は客のようにやってくる。客のように訪問し、主人のようにとどまる。」

-孔子-

アントン

エクスタシーの歴史

1912年、アメリカのメルク研究所の科学者アントン・クリッシュにより、歴史上初めてエクスタシーが作られました。彼は、薬物の材料の頭文字をとり、MDMAと名付けました。50年代、アメリカ政府が戦闘で試験的に使ったり、精神尋問でこの薬物を使っていたことが分っています。

60年代、エクスタシーは社会的抑制に対する治療薬としてエクスタシーが使われ始めます。パーティーやその他の社交イベントで、レクリエーショナルドラッグとして使われるようになるのは、70年代になってからです。その後80年代、この薬物の人気が高まります。1985年、アメリカ政府はこの薬物の流通を禁止しました。

1990年代初め、売人たちの間でこの薬が「エクスタシー」と呼ばれ始めます。実際、このほとんどが元のMDMAとは関係ありませんでした。専門家は、この薬物に含まれる原料を犬の駆虫薬、ネズミ駆除薬などから見つけました。現在、道でエクスタシーを買う人は、何を摂取しているか知りません。そして、それは非常に危険な薬物です。

現在、エクスタシーのほとんどがヨーロッパで製造されています。主要な国は、オランダとベルギーです。ロシアの犯罪組織がイスラエルの犯罪者と共謀し、エクスタシー流通の大部分を支配しています。そのかなりの割合を、アメリカの多くの売人が買っています。

 

摂取に関する事実

一般的に、エクスタシーは錠剤です。しかし、液状のものや、水に溶かして注射する粉上のものもあります。昨今、製造者や売り手は、様々な色、デザイン、形を取り扱っています。それは、若い人々を惹きつけようとしているためです。

手のひらの錠剤

アメリカは、エクスタシー使用者が多い国です。2007年、ドラッグ消費と健康に関する全国調査で、1200万人以上が、一度はエクスタシーを使用したことがあると分かりました。これは、当時のアメリカの人口の5%に相当します。さらに、2016年、国連薬物犯罪事務所は、その年に少なくとも2千万人が薬物を摂取したと示しています。

2007年の研究では、エクスタシー使用者の92%近くが、コカイン、ヘロイン、アンフェタミン等の薬物に移ったと発表されました。この研究で、エクスタシー使用者の中に12歳という若い使用者もいたことが分かっています。

このような気になる所見に加えて、アンドリュー・パロットという人物が、非営利団体の幻覚剤学際研究会 (MAPS)とともにある研究を行いました。その目的は、MDMAに特定のセラピーでポジティブな影響があるかを評価することです。その結果は、心的外傷後ストレスの患者に役立つようだというものでした。ところが、後に、その物質が長期にわたるダメージの原因となり、最小限の利点も勝るものではないとされています

 

エクスタシーの効果

MDMAは幻覚剤に分類されます。幻覚効果とは、実際存在しないものを使用者が見たり、知覚することを意味します。評判の良さとは異なり、この幻覚はいつも楽しいものではありません。実際、薬物の影響で、非常に恐ろしい経験をすることもあります。

エクスタシーは体温を急激に上昇させます。ここでの問題は、使用者が自分の体で何が起こっているか明確に理解する能力が妨げられることです。さらに、パーティーや閉ざされた空間で、多くの人に囲まれ薬は使用されることが多く、重大な反応を起こすことにも驚きはないでしょう。

不安な女性

幻覚効果は、知覚の変化と関係します。エクスタシーを摂取すると、色が特に鮮やかで喜ばしく感じます。音や肌への感触も同じです。そのため「ラブ・ドラッグ」は、多くの若者に、身体的接触を促し、「変わった」経験をさせるのです。

一般的に、摂取後、その効果は約20分続きます。まずは、うずくような感覚が突然起こり、そして落ち着きます。また、薬物は、幸福感をもたらします。活力や興奮の強烈な感覚を覚えます。また、妄想、激しい不安、混乱に陥ることもあります。使用者は、嘔吐したり、吐き気を感じたり、さらに、不整脈や筋肉の痙攣も起こりえます。

 

短気と長期の悪影響

エクスタシーの影響は、使用者の耐性に大きく左右されます。多量の摂取であまり影響が出ない人もいます。また、少量で不快を感じたり、重大な問題が生じる人もいます。これは、摂取量と薬物の影響の直接的な相関がないことを意味します。

エクスタシーは、「セロトニン」と呼ばれる神経伝達物質を放出させます。セロトニンは気分を高める脳の化学物質です。しかし、エクスタシーの摂取は、それとは矛盾するように、このホルモンへのアクセスを妨げる障害物を形成します。これは、「セロトニン症候群」と呼ばれるもので、脳内のセロトニン密度が高い時に起こります。その結果として、混乱、動揺、体温上昇が生じるのです

痛みを抱える男性

エクスタシー摂取による典型的な副作用の一つが歯ぎしりです。歯をこすり合わせたり、食いしばったりします。これは、薬物があごの筋肉の激しい緊張を生むために起こります。また、首、背中、肩のコリの原因にもなります。エクスタシーが摂取される場所では、おしゃぶりやガム、マッサージ器などが見つかることが多いのです。

長期の悪影響には、次のようなものがあります。

  • 学習能力や記憶に影響する脳のダメージ
  • 睡眠障害
  • 常に混乱する
  • 重篤なうつ病や不安
  • 腎不全
  • 心血管障害

 

中毒と摂取の危険性

身体的観点から言うと、エクスタシー摂取による依存はまだ証明されていません。しかし、薬物の常用者には、具体的な危険が伴います。まず、先にも言ったように、摂取する錠剤の中に何が含まれているか分からないことです。製造者は、薬物を良くするために薬を変えるのではないと言いきれます。彼らは、より安く製造するために変えるのです。

他には、素早く薬物に耐えられるようになるという危険があります。こうなると、初めと同じ効果を得るために、より多くを摂取する必要が出てきます

パニック

さらに、薬物の効果が切れると、落ち着いてあっけない終わりを迎えます。その感じは、摂取量が多ければ多いほど激しくなります。そして、使用者は、それを解消するために他の薬に移るのです。エクスタシーが他の精神活性物質の摂取へとつながるのは、このためです。

精神的観点から言うと、エクスタシーは依存の原因になります。人は、エクスタシーを使用した時のみ、気分が良くなると考えるようになります。そのために、体への重大な副作用や不快感があるにもかかわらず、摂取を続けるのです。

 

エクスタシーの影響に関する研究

ジョン・ホプキンズ大学の科学者は、MDMAは脳細胞を損傷すると言います。彼らの仮説を実験するために、ネズミにその物質を与えました。そして、ニューロンにあるセロトニン作動性軸索の皮質の損傷を示すことに成功しました。

脳スキャンを用いた人間の脳の観察では、エクスタシー使用者の脳には、セロトニンの劇的な減少が見られました。常習者だけに影響が見られたのではなく、一度錠剤を摂取した人にも見られたのです。

エクスタシー

同様に、テキサス大学のセンター・フォー・ソーシャル・ワーク・リサーチの研究で、MDMA常習者は頻繁にうつの症状を呈し、集中が難しいことが分かりました。また、MDMA使用者の多くで、頻繁な痙攣や緊張が観察されました。

さらに、これらの研究に加え、2007年、科学者デビッド・ナットによるエクスタシーの研究が英国で行われました。この研究の目的は、最も危険な20の精神活性物質を危険な順に並べることです。エクスタシーは18番目で、多くの人がこれはあまり危険ではないことを意味すると解釈しました。しかし、道で売られている物質の異物混入や組み合わせがもっとも危険であるということを、ここで繰り返しておきます。


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