芸術心理学の概念と特徴について
芸術心理学とは、心理学的立場からクリエイティビティや芸術的審美眼を研究する心理学の分野です。芸術心理学のゴールは、関連するその他の心理学の分野が追究しているものと似ています。そこには、知覚や記憶、情動といった基本的なプロセス、そして思考機能や言語機能といったさらに高度な機能を研究する分野などを含めることができるでしょう。
しかし、この分野の目標は実用的なものだけでなく、理論的なものでもあります。芸術心理学ではクリエイティビティと知覚活動、両方の理論を詳細に分析する試みをしています。ただし、そうすることによって心理学の基本概念や原理が放棄されるわけではありません。
芸術心理学と学問分野
芸術心理学には、それ自身の分野だけでなく関連する心理学の他部門から研究されている学問分野も含まれています。精神生物学、進化心理学、精神病理学、またはパーソナリティ研究などは芸術と関連しており、様々な側面が共通しています。実は、この学問分野にはかなり複雑な研究領域が含まれているのです。
多くの国々において、芸術心理学は真新しい研究分野です。英語で書かれた文献はたくさんある一方で、スペインなどその他の国々ではまだそれほど存在しません。それに加えて、そういった文献のほとんどが精神分析に基づいたものだという事実もあるほどです。
芸術心理学は、哲学などのその他の学問分野とも関係性を維持しています。哲学については、美意識にまつわる現象への理解とともにその基礎的部分から貢献を得ています。美術史における功績も心理学的立場から分析することができるため、この分野からの貢献もあります。
芸術心理学の軌跡
多くの心理学者たちが、芸術が個人に、あるいは集団にもたらす癒やし効果を研究し、試そうとしてきました。心理学的要素と芸術的要素とをアートセラピーとして組み合わせる研究領域も存在しています。
アートセラピーは、執筆や音楽、絵画などのテクニックを用いたリハビリテーションプログラムを通じて数十年前に登場しました。それにもかかわらず、診療現場への導入はまだそれほど進んでおらず、困難なままです。
しかし、いわゆる芸術心理学の人気は増してきています。その内容は、クリエイティビティの発達やストレス・不安の削減を、昔からある芸術テクニック(絵や彫刻、そして補足的な造形芸術)によって目指すというものです。
造形芸術という領域の専門知識を持つ心理学者たちは、クリエイティブな創作物を治療関係における媒介として使用することができます。こうすることにより、心霊的なものや主観的なもの、文化、そして社会に関連する質問に取り掛かることができるのです。
この学問分野は、多様な分野から影響を受けて発展してきました。 ゲシュタルト学派、グスタフ・フェヒナー、ジークムント・フロイト、ヴィゴツキー、そしてガードナーが、芸術心理学の確立において重要な役割を果たしてきた主な学者たちです。
ヴィゴツキーは、市民性の大部分を占めるのが芸術や文化の表現であり、仕事は社会歴史的進歩の手段であると考えました。彼の執筆した芸術心理学に関する博士論文が心理学において画期的だったのは、芸術の基本的側面を定義するにあたり、「無意識」にアプローチしていたためです。
しかし、ヴィゴツキーは芸術が原始的な欲求というわけでも、生理学的欲求というわけでもないことに気づいており、アブラハム・マズローの視点を考慮に入れていました。さらに彼は、芸術の無意識的側面を例えば夢などの無意識的プロセスと比較することはできないとも考えており、芸術とはむしろ、覚醒状態の真っ只中にいる人間の、密かな潜在意識へアプローチするためのステップなのだ、と主張したのです。
芸術の心理学的利点
専門家たちは最近、ドーパミンという報酬を得た感覚を与えてくれるホルモンや、エンドルフィンという快感を与えてくれるホルモンが絵を描くことで放出されるのを発見しました。例えば、後者のホルモンはエクササイズをした時などにも放出されるものです。
一方で、芸術作品を完成させることにより、我が子が生まれた時に経験するのと非常によく似た幸福感がもたらされることもわかっています。これはオキシトシンが放出されるために起こります。
以下は、芸術から得られる主な利点です。
- 社交スキルの発達
- ストレスと不安の減少
- 心理的ウェルビーイング
- 行動制御
- 潜在意識を理解するための手段としての芸術の使用
簡潔に言うと、芸術心理学は新しい学問分野ではあるものの、その一部はヴィゴツキーによる初期の論文が元となっています。この論文は、潜在意識に働きかける時に必要な、自己を知るための方法論であると見なされているのです。また、心理学の様々な分野での研究における必要不可欠な要素でもあります。
例えば心理評価という文脈においては、芸術は評価者のより具体的な関心に応じて用いられる一方、アートセラピーのワークショップでは、セラピストはこれを自由な治療ツールとして、あるいは自己認識を深めるためのツールとして用いるのです。
芸術心理学を理解することで、芸術の種類に関わらないあらゆる種類の表現に触れるための夢の扉を開くことができるでしょう。
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