左利きの人の脳:違いと利点
右利きの人のためにデザインされたような世の中で、左利きの人が抱える問題について考えたことはありますか? 左利きの人を考慮して作られたツールや物もありますが、それは皆に浸透しているわけではありません。つまり、左手が利き手の人、左利きの脳の持ち主は、慣れることを必要とされる場面が出てきます。
ここでは、慣れの必要性の他に、左利きの脳の特性についてもお話します。また、左利きの人は、脳の活動をどのように構成するか、そしてこれにより変わることについても考えてみます。解剖学から日々の活動のパフォーマンスまで、幅広い要素を考慮していきたいと思います。
左利きの人の脳の左右差
まず左利きの人は、左半身が優位だということができます。そのため、何かをする時、左足、左目、左手、左耳を優先します。これを専門家は、脳の左右差と呼びます。
この左右差は、精神運動性スキルから生まれます。精神運動性スキルとは、身体像の発達、活動するための筋肉の発達、それを行うために必要なバランスなどを指します。そして、左利きの人の体は、右利きの人とは精神運動性のプロセスが違います。左利きの人は、体の左側を強化し左が優位になるのです。
脳の左右差に関しても、そのプロセスが異なります。これを理解するには、脳の多くでみられる半球の優位性を明確にする必要があります。具体的には、左脳は言語機能、順次情報処理などにおいて比重が高くなります。そして、右脳は空間や身体情報の活動をほとんど司ります。
そのため、脳の左右差において、左利きの人も構成は同じですが、機能が異なります。言い換えると、左半身の刺激の受け方が違い、つまり身体像、筋肉の発達、バランスが異なる刺激の受け方をするのです。右脳の一部で優先される部位もありますが、左脳を忘れることはありません。
こういった意味で、脳の左右差が完全に決まるのは、学校で必要とされるスキルであるマルチスキルの獲得の段階と一致します。そのため、マルチスキルの発達にも影響する可能性があります。
左利きの人の学校でのスキル
書くことなど、学校の活動で片手を使う時どちらの手を使うかが左右差として表れます。この学習過程で、脳内に書く時に必要な部位の感度回路や動作制御回路が作られます。
この回路の発達は十分に行われますが、左利きの人にこの過程で困難が生じることがあります。左利きの人は自分が書いているのか、よく見ることができません。そのため、学習過程でミスが多くなりがちです。また、書く時にインクが手につくなどの問題もあります。
さらに、読みにも問題が生じると専門家は指摘します。左利きの人は右から左に読もうとする生まれもった傾向があります。しかし、多くの言語では、左から右に読むことが必要とされます。そのため、予測しながら読むことが難しくなったり、このスキルの獲得が遅れる場合があります。
学校で生じる左利きの人が抱える問題には、他にも鉛筆と紙の使用や切るなどの手作業があります。
手の動く方向をよむ時により慎重になる必要があるため、これらの活動の発達が遅くなる傾向があります。また、手を動かす時、自分の物を汚さないよう、より注意が必要です。
創造性に関する左利きの利点は?
左脳に起因する特徴には、次が挙げられます。
- 空間・視覚スキル
- 創造性
- 統合する力
- 芸術的才能
「左利きの人の脳」は、より感受性豊かで、想像性や想像力が高いと専門家は考えます。これは、発達期に半球が受ける刺激によるもので、これにより上記の特性が強くなるのです。
そして左利きの人は、創造性を必要とする作業が上達しやすくなります。芸術がその良い例で、歴史を通して有名なレオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ・サンティ、ミケランジェロも左利きでした。
ここで、右利きだからといってこの能力を高めることができないということはないことを指摘しておきましょう。単に左利きの人の脳は、継続的な刺激を受けるためこの領域の発達が進みやすいということなのです。
左利きの人の脳の精神的特性
機能イメージング研究で、左利きの人は脳梁が大きいことが明らかになりました。これは、情報の適切な統合や正しい活動の発達のために、脳が半球間の接続をより多く生成したからだと考えられています。
また、左利きの人は方向や旋回の感覚が異なることも分かっています。何かを回転させる時、私達は時計回りに回します。
さらに、図形情報の処理も右から左に行われます。これにより、三次元の物をより抽象化しやすくなり、視覚空間スキルがより正確に発達します。
右脳が優勢の人の特性で他に分かっていることに、自分の周りに関する知識の獲得の方法と関係するものがあります。左利きの人は、まず全体に焦点を当て、その後で詳細をみていく傾向があります。これにより一貫性を生みやすく、日々の問題に対してもより自由な解決法を見出しやすくなります。
柔軟性と適応性
多くの場合、左利きの人は幼少期から、右利きの人のために作られた世界に適応するようプレッシャーを感じています。それに伴い、左利きの人は精神運動性が発達します。またこれは、新しい情報の学習を促し半球間の接続を促進します。
さらに適応する能力により、柔軟性、特に認知的柔軟性が高まります。これは、マルチスキルやイノベーションに関するタスクを行う時に発揮されます。変わる要求に対し、それに合った解決法を見つけるのが得意になります。
まとめ
まとめると、左利きの人は、右利きの人のために意図されデザインされた世界で生きているということを理解することが重要です。そのため、左利きの人は常に適応することを必要とされます。そして脳が鍛えられ、特定の状況における認知的利点が得られるストラテジーを生み出すようになります。
これらのストラテジーを使っても、読み書きの学習では難しいところもありますが、いずれ何か方法を見つけ、右利きの人と同じペースで学習するようになります。また、脳への刺激により創造性が発達するため、問題への新たな解決法を見つけやすくなるという利点もあります。
引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。
- Andrade-Valbuena, L. P. (2016). Diferencias en flexibilidad cognitiva entre zurdos y diestros manuales. Recuperado de https://reunir.unir.net/handle/123456789/4573
- Pérez, J. A. P. (2009). Cerebro Derecho, Cerebro Izquierdo. Implicaciones Neuropsicológicas de las Asimetrías Hemisféricas en el Contexto Escolar. Psicología educativa, 15(1), 5-12.
- Taco, C. L. A. (2014). Lateralidad zurda, un problema y una solución. Alétheia, 2(1), 29-38. https://doi.org/10.33539/aletheia.2014.n2.1089