必見のアカデミー賞受賞作品6選
アカデミー賞の授賞式を見ていると、様々な受賞作品について思いを巡らさずにはいられません。本年度の受賞作品である韓国の『パラサイト 半地下の家族』は、まさに歴史を作った作品です。しかし、これまでの受賞作品一つ一つが、それぞれ歴史に貢献してきたと言えます。
中には、フェミニズムや宗教と言った難しいテーマを扱った大胆な作品があります。また、『タイタニック』や『ロード・オブ・ザ・リング』のように、視覚効果で観客を楽しませるような受賞作品もあります。
アカデミー賞は議論を呼ぶイベントです。中には、映画をプロモーションするための下品でうわべだけの行事に過ぎないと考える人がいます。その一方で、エンターテインメントと映画の魔法が最大に表現される場だと考える人もいます。ここでは、そんなアカデミー賞へのトリビュートとして、過去に作品賞を受賞した6つの作品について見ていきましょう。
「今夜は楽しんだらいい。大金持ちがお互いに金のトロフィーを授与し合うのを見ることほど、世界経済の様々な問題を忘れさせてくれる行事はないのだから。」
-ビリー・クリスタル-
『アパートの鍵貸します』
これはおそらくロマンティック・コメディーの最高傑作でしょう。主人公のC・C・バクスターを演じるのはジャック・レモンです。この映画で皮肉なのは、この登場人物が、自分の会社の重役が女性を連れ込めるように、普段から自分のアパートの鍵を彼らに貸していたということです。
バクスターが好意を寄せるエレベーターガールのフラン・キューブリック(シャーリー・マクレーン)は、彼の上司であるジェフ・シェルドレイクと関係を持っていたました。既婚でありながら、ジェフは彼女との関係を取り繕うとします。そのために、彼はバクスターにアパートの鍵を貸すよう頼むのです。
若い従業員であるバクスターは、自分の上司がフランを誘惑しているという事実を受け入れるしかありません。しかし、ある出来事がきっかけで、バクスターとフランがアパートに居合わせることになり、そこからお互いのことを知っていきます。
『ゴッドファーザー』
ソニー役のオーディションで素晴らしい演技を披露したにもかかわらず、コッポラ監督の目にかなわなかったのがロバート・デ・ニーロでした。しかし2年後、スコセッシ監督との仕事で成功をおさめていったデ・ニーロは、若きヴィトー役に抜擢されます。
若いヴィトーが屋根の上を渡り歩くシーンは、彼のキャラクターの変化を象徴する瞬間です。また、ロバート・デ・ニーロのキャリアや映画史の中でも重要な点です。ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの比較が始まったのもこの時からです。
観客は『ゴッドファーザー Part II』を第一作よりも高く評価しています。その中では、フラッシュバックを通してヴィトー・コルレオーネが権力を手にしていく様子、そしてその地位にたどり着くためにどれだけの犠牲を払ったかが描かれています。
ロバート・デ・ニーロはこの役を重く受け止めました。シチリア諸島に自ら赴き方言を学んだり、第一作でヴィトーを演じたマーロン・ブランドに似せるためにプロテーゼの口を付けることまでしています。口ひげを生やしたのも役作りでした。
『イヴの総て』
これはブロードウェイの世界を題材にした傑作です。アカデミー賞で14のノミネートを受け、この記録に並ぶのは歴代で『タイタニック』と『ラ・ラ・ランド』だけです。そしてこのうち6つの賞を受賞しました。
『イヴの総て』は実話に基づいた作品で、エンターテイメント界の舞台裏の影を、女優志望のイヴ・ハリントン(アン・バクスター演)を巡るストーリーで見事に描いています。映画の中でベティ・デイヴィスが放つセリフ、「みんなシートベルトを締めなさい。今夜は荒れるわよ。」は、名セリフとして歴史に残っています。
『スポットライト 世紀のスクープ』
この映画は、「ボストン・グローブ」紙の一部であった「スポットライト」という調査報道班の実話に基づいたストーリーです。深刻なケースに注目しては、優れたジャーナリスト達が最前線で調査を行っていました。
新たな編集長の元、子供への性的虐待を訴えられていた神父についての記事として始まった調査は、より複雑なものへと発展していきます。最終的に彼らが発見したのは、アメリカの様々な州のカトリック教会を巻き込んだ、子供への性的虐待を隠す巨大なネットワークでした。この映画は、歴史を変えたジャーナリズムとその調査に対するオマージュです。
『フォレスト・ガンプ/一期一会』
このコメディドラマは、アラバマ州の架空の町「グリーンボウ」出身で、知能障害を持つ若者フォレスト・ガンプ(トム・ハンクス演)の物語を綴ります。
このフォレストという名の男性が、バス停で自分の隣に座る様々な人に、自分の過去のストーリーを語っているところから物語は始まります。
「走れフォレスト、走れ!」というセリフに呼応するかの如く、この作品は観客や批評家から絶賛され続けました。アカデミー賞で6つも賞を受賞した(作品賞、監督賞、主演男優賞といった主要部門を含む)のも納得です。またこの年のアカデミー賞では、『パルプ・フィクション』『ショーシャンクの空に』『フォー・ウェディング』といった評価の高かった諸作品を押しての作品賞受賞となりました。
『イングリッシュ・ペイシェント』
1996年に公開されたこの作品は非常に高い評価を受け、作品賞を含む9部門でアカデミー賞を受賞しました。また英国アカデミー賞では作品賞、ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ドラマ部門)を受賞しています。
舞台は、第二次世界大戦前と対戦中です。重症のやけどを負い、ベドウィンに救われた男性から物語は始まります。その一方で、ジュリエット・ビノシュ演じるハナが北アフリカの連合軍のために働く看護師であること、恋人と友人を戦争で失ったことが描かれます。
火傷を負った患者は、英語を話しますが何も覚えていません。彼は、イタリアの修道院跡でハナの看護を受けます。ハナの世話の下、患者は記憶を取り戻していき、フラッシュバックを通して自らの過去を語っていきます。
この英国人患者は、ハンガリー人のアルマシー伯爵(レイフ・ファインズ演)であると判明します。彼は地図作成者として、1930年代末にリビアとエジプトで地図作成のための探検を率いていました。ここで、クリスティン・スコット・トーマス演じる人妻のキャサリンと出会い、恋に落ちたのです。
この6つのアカデミー賞受賞作品は、どれも一度は見ておきたいものです。文化知識を高めてくれると同時に、私たちを楽しませてくれる作品ばかりですよ。