インナーチャイルドセラピー:写真療法について
私たちの心の中には子どもがいると言われています。世の中にいる大人には誰しも一度は子どもの時がありました。そして、他の誰もがそうであるように、特定の環境の中に特定の遺伝子を持って生まれてきました。その環境は、その人の生い立ちや物事の見方に大きな影響を与えます。だからこそインナーチャイルドセラピーが重要になってくるのです。
インナーチャイルドセラピーの目的は、患者が今も抱えている問題に対処する方法として、自分の中にいる子ども、つまりインナーチャイルドと触れ合うことです。記事後半では、それを行うための1つの素晴らしい方法についてお話します。
しかし、まずは基礎知識をおさえておきましょう。アタッチメント(愛着)とは二人以上の間で、相互作用に基づいて形成される、強く長く続く特別な絆のことを指します。愛着は心地よい安定や保護をもたらすため、危険な出来事の発生時に寄り添う人を作ることを短期の目標としています。ほとんどの子どもは健全な愛着パターンを身に着けています。
しかし、そうでない子もいます。基本的に全ての子どもは安全、自信、そしてもちろん生き延びるために必要な食料、衛生、安全な場所などを必要としています。これらが手に入らないと、大人になってからも問題を抱え込むことになりかねません。
このような不足は子どもの無意識の心の奥底に刻み込まれてしまいます。大人になると、理由もわからず問題行動パターンや厄介な感情に苦しめられることがあります。つまり、自分の子ども時代がどのようなものであったか、そして欠けていたものが何かを知ることは、現在の自分自身をよりよく理解するために不可欠なのです。
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インナーチャイルドセラピーの写真療法とは
写真療法はインナーチャイルドセラピーのツールの一つで、自分に必要な愛情を与えることを目標としています。それは、あなたが抑制しているかもしれない記憶、感情、感覚を呼び覚ます感情に訴えるツールです。
セラピストは、患者が自分のインナーチャイルドについて話しやすくするためにこの療法を使用します。ポイントは、内に秘めるインナーチャイルドとの象徴的なコミュニケーション形態を築くことです。
このセラピーを実践するには複数の方法があります。患者一人一人にうまく応用するためには、セラピストの創造性が重要になってきます。例えば理性的で非感情的な傾向がある患者に対してはこのテクニックを実践するのは難しいかもしれません。
患者が子どもの頃の写真を手にしたら、偏った判断をしないで数分間写真を見てもらうようセラピストは促します。患者は、自分の中にいるインナーチャイルドと気持ちを通わせようとするだけです。
インナーチャイルドと気持ちを通わせる
気持ちを通わせることができたら、セラピストはインナーチャイルドと誠実で心理的なコミュニケーションを確立します。そして、次のような質問をするでしょう。「親に振り向いてもらえないとき、その子の中にはどのような感情が芽生えますか?」「その子が必要としているのは、どんなものですか?」
このプロセスは、インナーチャイルドの感情を明確にするために質問から始まります。ほとんどの場合、その質問の答えは患者が大人として抱いている感情を反映しています。そのため、次のような回答が聞かれるでしょう。「その子は孤独で空っぽな気持ちになっている」「お母さんが帰ってきて抱きしめてくれるかどうか不安で不安でたまらない」
さらに踏み込む
上のような質問の後、患者は自分のインナーチャイルドを助けるステップに入ります。つまり、自分自身を助けるということです。
セラピストは続けて次のような質問を投げかけます。「これからはその子にどのようなものを与えようと思いますか?」「常にあなたを非難するようなパートナーといる価値があると思いますか?」「その子がその状況から抜け出して安心できるようになるには、どうしたらいいですか?」
患者は、このプロセスを経ることで大人になっても自分のインナーチャイルドは安心と安全を求めているということに気付かされます。また、大人になってもその欠けているものを探し続けているため、場合によっては飲酒、不健全な関係、仕事などでそれを埋めようとしていることもあります。
大切なのは、子どもの頃のように、安心や安全は外的なものではないということを理解することです。安全に対する不安は、実際には自分自身に対しての考えと関係しています。そのため、患者が自分のインナーチャイルドを癒し無条件の愛を与えることができれば、インナーチャイルドも大人の自分も共に傷を癒す第一歩を踏みだせるのです。
インナーチャイルドを助けた後は?
写真療法は、一般的なセラピーで使われることもある他の心理的・経験的な心理学的ツールの一つです。ただし、これは目的を達するための手段であり、これが最終的な目的ではありません。
インナーチャイルドの傷をしっかりと癒すためには、患者は自分のインナーチャイルドに約束した愛情と注意を毎日与え続けることが重要です。これを実施しやすくするには、写真の後ろに短いメッセージを書いてもらう方法があります。例えば、「もう誰にもあんな風にあなたを扱わせません。あなたのことを大切にします。」などと書いてもらいます。
しかし、ただメッセージを書くだけでは不十分です。メッセージの内容を約束として行動に移す必要があります。このような場合、行動療法が非常に有用です。インナーチャイルドを助けることができたら、患者はより自由で充実した人生を歩み始めることができるでしょう。
外の世界から安心と安全を強く求めることはなくなり、自分の中にそれを見つけることが出来るようになるでしょう。自分を受け入れ、無条件の愛を自分にも与えることができるようになるのです。
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- Cadarso, V. Abraza a tu niño interior. Editorial Palmyra